ドイツ鉄道、ABB SF6フリースイッチギア技術で規制に先行対応
ドイツ最大の鉄道事業会社であるドイツ鉄道が、欧州初のSF6フリーPrimeGear ZX0スイッチギアを採用、差し迫ったFガス規制対応において一歩先行。
- ドイツ鉄道は、地球温暖化の影響がほぼゼロの代替手段として、持続可能な混合ガスAirPlus™へ移行
- 最大限の安全性と最高レベルの信頼性を確保し、総所有コストを最大30%削減
年間約48億人の乗客を輸送するドイツの国営鉄道会社であるドイツ鉄道は、2040年までに路線網の脱炭素化を図るという壮大な計画を掲げています。ABBは、同社のゼネコンであるRail Power Systems GmbH(RPS)からドイツ最北端のシュレースヴィヒ=ホルシュタイン州で計画されているバッテリ駆動の列車専用の充電用変電所4カ所を供給するプロジェクトの一環として、六フッ化硫黄(SF6)を含まない最初の三相ガス絶縁スイッチギア(GIS)ソリューションを供給する契約を獲得しました。
今回の受注は、スイッチギアに使用される世界で最も強力な温室効果ガスであるSF6を排除するというドイツ鉄道の要件に基づいています。ABBの独自技術により、SF6を地球温暖化への影響のほとんどない持続可能な混合ガスであるAirPlusに置き換えます。
SF6は地球温暖化係数がCO2の25,200倍と高く、大気中で約3,200年持続しますが、その優れた絶縁性から、現在でもスイッチギアに一般的に使用されています。「グリーントランスフォーメーション」への130億ユーロの投資1の一環として、ABBのSF6フリーガス絶縁スイッチギアPrimeGear ZX0とAirPlusの実装は、2040年までにネットワークを脱炭素化するというドイツ鉄道の壮大な計画をサポートします。これは、将来世代のために温室効果ガスを排出しない鉄道路線網を構築することを目的とした、鉄道事業会社のサステナビリティに関する広範な取り組みにおける重要なマイルストーンとなるものです。
これは、欧州委員会が最近発表した、新規の高圧電気機器について、2026年から24kVまでのアプリケーションでのSF6使用を禁止し、2030年から52kVまでのアプリケーションにおいて禁止する計画2を受けたものです。
ABBのPrimeGear ZX0スイッチギアは、北ドイツのハイデ市、テニング市、フーズム市にある地方鉄道路線の充電用変電所でのパイロットプロジェクトの一環として、リード請負業者のRail Power Systems GmbHによって欧州で初めて採用されました。ABBの持続可能なAirPlusガスと併用することで、PrimeGear ZX0の地球温暖化係数(GWP)は1未満となり、地球温暖化への影響がほとんどありません。
Rail Power Systems GmbHのAC鉄道エネルギーシステムプロダクトマネージャーであるThomas Wehr氏は次のように述べています。「ABBのSF6フリー技術は、特に有害な温室効果ガスを排除するという点で、従来の資産に代わる興味深い代替手段を提供しています。このスイッチギアは、当社の変電所設計に問題なく組み込むことができます」
このデジタル対応スイッチギアの統合により、次世代のインテリジェンスアップグレードがサポートされるため、効率がさらに最適化され、信頼性が向上します。これは、ドイツ鉄道の将来を見据えた鉄道路線網に向けたロードマップにおいて大きな前進を示しています。
従来のSF6代替品とは異なり、万が一漏れが発生した場合でも、ABBのランフラットテクノロジーにより、修理・保守作業が実行されるまで安全な稼働継続が可能になります。これにより、コストのかかるダウンタイムや鉄道サービスの遅延のリスクが軽減されます。スイッチギアのコンパクトで堅牢な設計により、従来のオプションに比べて発熱量が20%少なく、アーク発生時の安全性を高めます。オプションでセンサや遠隔監視・診断機能を統合することで、ネットワーク運用をリアルタイムで可視化し、障害の早期検出、最高レベルの信頼性、計画的なメンテナンスを実現できます。これらの革新的な機能を組み合わせることで、設置面積の削減、よりスマートな運用、資産の最適化が可能になり、従来のGIS設置と比較して、総所有コストを最大30%削減できます。
ABBのガス絶縁スイッチギアグローバルプロダクトグループマネージャーであるHarikishan Narayananは次のように述べています。「規制による最初のSF6使用禁止日がわずか3年後に迫る中、鉄道事業者はSF6フリー技術への移行を真剣に検討し始めなければなりません。幸いなことに、ABBはすでに実績のある非常に効果的で環境に優しい代替品を提供しています。
当社のAirPlus™ランフラットテクノロジーは、SF6と同様の性能特性を有し、地球温暖化への影響のほとんどなくしながら、継続的な運用と高度な安全性を実現します。PrimeGear ZX0は、監視・診断機能が組み合わされ、よりスマートな運用と所有コストの削減も実現しています。ドイツ鉄道向けのRPSとの共同プロジェクトが示すように、結果として、環境に優しいだけでなく、事業にも貢献する信頼性の高いパフォーマンスを実現しています」
現在、世界中で9,000台以上のABB ecoGIS™ユニットが稼働し、最大40.5kVまでの幅広いアプリケーションに対応しています。
ABBはまた、ドイツ鉄道の最初の主力高速列車シリーズであるInterCity Express(インターシティエクスプレス、ICE1)のアップグレードなど、さまざまなプロジェクトで同社と協力しています。
ABBがお客さまの将来のFガス規制への対応をどのように支援できるかについての詳細については、ホワイトペーパー(EN)をダウンロードください。
www.abb.com