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半導体設計を支えるEDA統合基盤の高度化
シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは、東芝デバイス&ストレージ株式会社のパワーデバイスおよびアナログ半導体開発に向けたEDA設計基盤強化を支援する。
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シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは、東芝デバイス&ストレージ株式会社がパワーデバイスおよびアナログ半導体の開発力強化を目的に、シーメンスの電子設計自動化(EDA)ソフトウェアを導入したと発表した。これにより、同社は設計精度と検証効率を高め、次世代半導体開発の加速を図る。
パワー・アナログ半導体設計に求められる設計環境の進化
パワーデバイスやアナログ半導体では、電力効率、熱特性、信頼性が製品性能を左右する主要要素となる。近年は、回路の高集積化や3D IC構造の採用が進み、従来以上に設計初期段階からの熱解析や電源品質検証が重要になっている。
東芝デバイス&ストレージでは、こうした設計要件の高度化に対応するため、アナログ—デジタル協調設計の精度向上や検証プロセスの効率化を目的として、シーメンスのEDAツール群を設計フローに組み込んだ。設計環境の統合により、開発スピードと品質の両立を図る。
3D ICを見据えた熱設計フローの構築
東芝デバイス&ストレージが導入を進めているEDA環境の中核には、3D ICアーキテクチャに特有の熱課題への対応がある。2.5Dおよび3D ICでは、異種チップの積層や高密度実装により、局所的な発熱や熱集中が発生しやすい。
同社は、Innovator3D ICソリューション・スイートを用いて、チップおよびパッケージを含む設計・シミュレーション・管理を統合的に実行する環境の検討を進めている。加えて、Calibre 3DThermalソフトウェアを活用し、設計初期の実現可能性検討から最終サインオフまでをカバーする熱設計フローの構築を目指している。
これにより、パッケージ設計の最適化や精密な熱モデリングが可能となり、長期信頼性を考慮した設計判断を設計初期段階で行えるようになる。
電力最適化と信頼性検証の強化
電力特性と信頼性の確保は、パワーデバイスおよびアナログ半導体設計における重要な評価指標である。東芝デバイス&ストレージは、Calibre Insight AnalyzerおよびmPower Analog EMIRソフトウェアを用いて、リーク電流の最適化や、エレクトロマイグレーションおよびIRドロップ(EMIR)の検証精度向上を図る。
これらの解析により、電源ネットワークの健全性を設計段階で評価し、製品信頼性に影響を与える要因を事前に把握できる。また、PowerPro Designerソフトウェアを設計初期段階のRTL解析に適用することで、消費電力の最小化を目的とした最適化を早期に実施する設計フローを構築している。
デジタルサプライチェーンにおける設計基盤の役割
EDAツールの統合は、単なる設計効率の改善にとどまらず、半導体開発におけるデジタルサプライチェーンの高度化にも寄与する。設計データと解析結果を一貫した環境で管理することで、設計変更への対応力が向上し、品質とトレーサビリティの確保が容易になる。
東芝デバイス&ストレージは、これまでに確立してきた品質・信頼性基準を維持しつつ、EDA設計基盤の高度化によって、パワーデバイス、アナログ半導体、さらにデジタル/ミクスドシグナル半導体分野における技術競争力の強化を進めている。
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