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高温掘削用途向けMEMS加速度センサの耐熱拡張

TDK株式会社は、Tronicsブランドの高温対応MEMS加速度センサに新モデルを追加し、掘削環境向け慣性センシングの適用範囲を拡張した。

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高温掘削用途向けMEMS加速度センサの耐熱拡張

TDK株式会社は、Tronicsブランドの高温対応MEMS加速度センサ「AXO315®T1」を追加し、高性能MEMS慣性センサの製品ラインアップを拡充した。±14gの入力範囲とデジタルインターフェースを備え、最大+175℃での動作に対応する本製品は、掘削時測定(MWD)を中心とした過酷環境での計測用途を対象としている。

掘削環境における慣性計測の要求
石油・ガス分野をはじめとする掘削作業では、高温、高振動、高衝撃といった厳しい条件下で、坑内の姿勢や傾斜を高精度に測定する必要がある。特に方向性掘削では、センサの温度耐性と長期安定性が、測定精度と作業効率を左右する要因となる。

近年は、デジタル化やツールの小型化が進む一方で、従来用いられてきたクオーツ型センサは、サイズやコスト、システム統合の面で制約が生じやすい。こうした背景から、高耐熱かつ低SWaP(サイズ、重量、消費電力)を実現するMEMS慣性センサへの期待が高まっている。

耐熱性能を強化したAXO315T1
AXO315T1は、2025年6月に発表された「AXO315T0(最大+150℃対応)」の後継として開発され、動作温度上限を+175℃まで拡張している。これにより、より深部での掘削や高温条件下での坑内測定に対応可能となった。

本製品は、+175℃環境下で1,000時間以上の製品寿命を有しており、長時間にわたる連続運用を前提としたMWDツールへの組み込みを想定している。

クローズドループ型MEMSアーキテクチャ
AXO315T1は、Tronicsセンサで実績のあるTDK独自のクローズドループ型MEMSアーキテクチャを採用している。この方式では、検出された変位をフィードバック制御することで、センサの線形性と安定性を向上させる。

従来のオープンループ型MEMS加速度センサと比較して、振動整流誤差を約10分の1に低減できるとされており、高振動環境下でも信頼性の高い傾斜・加速度測定が可能となる。この特性は、方向性掘削ツールにおける姿勢計測の精度向上に寄与する。

クオーツ代替としての位置付け
AXO315T1は、クオーツ型加速度センサの代替として、コスト効率、デジタル出力、低SWaPといった利点を提供する。デジタルインターフェースの採用により、信号処理やノイズ対策が容易となり、システム設計の簡素化にもつながる。

これにより、複雑で非定型な掘削条件に対応する次世代MWDツールの実現を支えるセンサとして位置付けられる。

提供形態と評価環境
AXO315T1センサおよび評価ボードは、サンプル提供が開始されており、顧客による評価およびシステム検証に利用可能である。高温・高振動環境を想定した実装検討や信頼性評価を通じて、量産ツールへの適用が見込まれている。

高温慣性センシング分野での意義
AXO315T1は、高耐熱MEMS技術とクローズドループ制御を組み合わせることで、従来の慣性センサが対応しきれなかった掘削環境でのデジタル計測を可能にする製品である。TDKは本製品を通じて、過酷環境向け慣性センシングの選択肢を拡充し、掘削・エネルギー分野における計測技術の高度化を支えていくとしている。
 
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