www.engineering-japan.com

車載PoC積層インダクタが高周波フィルタリングを小型化

TDK株式会社は車載PoC回路向けに高周波インピーダンスを高めた積層インダクタMLJ1608WGC1R2MTD25を開発し量産を開始した。

  www.tdk.com
車載PoC積層インダクタが高周波フィルタリングを小型化

先進運転支援システム(ADAS)のセンサ搭載数増加に伴い、車載カメラと電子制御ユニット(ECU)間を結ぶワイヤハーネスの重量増加と設置スペースの逼迫が深刻な車載設計課題となっています。同軸ケーブル1本で電力供給と映像信号伝送を同時に担うPower over Coax(PoC)技術において、TDK株式会社は高周波ノイズ分離と小型化要求に応える積層インダクタ「MLJ1608WGC1R2MTD25」を開発し、車載カメラモジュールの小型化および信頼性向上を支援します。

高周波インピーダンス向上によるフィルタ回路の省スペース化
車載PoC回路では、同軸ラインに流れる直流電力から高周波映像信号を分離、または高周波成分が直流電源回路側へ漏洩するのを阻止するため、広帯域にわたり高い交流インピーダンスを維持するバイアスT回路用フィルタが不可欠です。本製品は独自の磁性材料設計および内部電極パターン構造の最適化により、1608サイズ(1.6mm×0.8mm×0.8mm)の小型パッケージでありながら、従来品(0.56μH)を大きく上回る1.2μHのインダクタンスを達成しました。

この高インダクタンス化により、300MHzから2GHzにおよぶ高周波帯域で極めて高いインピーダンス特性を発揮します。特に100MHzから700MHzの周波数領域では、従来品比で1.7倍から2倍のインピーダンスを実現しており、ノイズ抑制効果を高めながら信号品位の劣化を防ぎます。従来は広帯域のインピーダンスを確保するために複数のインダクタを直列接続する必要がありましたが、本素子の採用によって部品点数を削減し、高密度実装が求められるカメラモジュール内部の基板面積縮小に寄与します。

量産体制および車載品質への対応
本製品は日本国内の製造拠点で2026年10月より月産1000万個の規模で量産を開始しました。サンプル単価は税抜40円に設定されています。フロント、リア、サイドサラウンドビュー用カメラのECU接続ラインをはじめ、複数台の車載カメラを統合制御する車載通信網へ展開されます。TDKは積層工法、巻線工法、薄膜工法の各プロセス技術を組み合わせ、伝送信号の高周波化が進む車載通信市場の要求に応じたインダクタ群の拡充を進めています。

追加コンテキスト:
本セクションでは、元の製品発表には含まれていない技術仕様および競合ベンチマークの詳細を記載します。

ギガビットマルチメディアシリアルリンク(GMSL)やFPD-Linkなどの車載高速シリアルシグナリング技術では、解像度の高精細化(4K/8K対応)に伴い、通信周波数がギガヘルツ帯へ到達しています。PoCフィルタ設計では、伝送信号帯域全体(数十MHz〜数GHz)にわたって数キロオームのインピーダンスを維持する必要があり、寄生容量による自己共振周波数(SRF)の低下を防ぐことが設計上の重要課題となります。

類似の車載PoC用インダクタ市場においては、村田製作所(LQWシリーズなど)が主に巻線構造で広帯域・高Q値特性を実現しているほか、太陽誘電(CBシリーズなど)が小型電源用インダクタを展開しています。巻線型インダクタは直流抵抗(Rdc)を抑えやすく高電流耐性に強みを持つ一方、構造上1608サイズ未満への小型化や基板占有面積の低減には制約があります。これに対し、TDKの積層工法を採用した本製品は、閉磁路構造による漏れ磁束の低減、外部ノイズ耐性の向上、および外形寸法の厳密な寸法公差制御を低背1608サイズで両立させています。

車載グレードの受動部品には、AEC-Q200に準拠した厳格な信頼性試験が求められます。エンジンコンパートメントや車体外装付近に配備される車載カメラモジュールは、過酷な温度サイクル(一般にマイナス40度からプラス125度、またはプラス150度)や激しい機械的振動に曝されます。積層型モノリシック構造は内部電極とセラミックフェライト材料を一体焼成しているため、巻線型と比較して耐振動衝撃性に優れ、はんだ接合部の熱応力破壊耐性が高いという工学的特性を備えています。

Natania Lyngdoh(Induportals編集者)による編集。AI支援を使用。

www.tdk.com

  さらに詳しく…

LinkedIn
Pinterest

フォロー(IMP 155 000フォロワー)