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06
'09
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REDEX
ツインドライブ型ラック&ピニオン駆動に新たな進化 KRPX
REDEX ANDANTEX(レデックス・アンダンテックス)社の高い技術に裏打ちされたラック&ピニオン遊星 減速機の最新モデルKRPXは、組付けが容易でコスト効果も高い。コラム移動型やガントリー型機械 で高い性能を発揮する製品となっている。KRPXは2台の遊星減速機から構成されるため、機械構造要素の両サ イドへの取付けにはとても優れた構造となっている。また、電気的プリロードシステムを採用して、真のゼロ・バックラッシュを実現した。さらに、遊星減速機のラック&ピニオン用ギアの剛性は格段に高い。これは、とり わけ同社の考案となる一体型出力ピニオン技術によるもので、他に類を見ないラジアル剛性(実に 全剛性の60%を担う)を持っている。
KRPXは同社ラック&ピニオン駆動製品の最新開発品だが、これはまた、先進の工作機械関連メーカーと、 最も戦略性に富む部品サプライヤの1社たる同社とのコンカレント設計開発の好例ともいえる。高い組込み性とコスト削減効果
コラム移動型やガントリー型機械に対し、サーボ減速機2台と電気的プリロードシステムによるゼロ・バッ クラッシのツインドライブ製品を組み込むには、かなりの困難を伴うことが多かった。というのも、減速機 それぞれの取付けに際し、構造要素の両サイドに拡張部を設けるか、あるいは特別な取付けブラケットを設 計・製作するといった必要があったからだ。そのうえ、この種の取付け部品には、動特性の低下を招かないよ う、機械全体の剛性を保つうえで少なくとも主構造と同等以上の剛性が求められる。 こうした新たな構造設計に時間を要するのは周知であり、また特別な部品を作るにはコストもかさむ。さら に比較的大きな部品ともなれば、その加工精度を維持するには課題も多い。 対して、KRPXでは主構造への高精度な取付け部品を設計する必要もなければ、その加工や組付けも不要。 したがって、従来の製品等に比べ、はるかに組込みが容易でコスト効果は大きい(最大15%ものコスト削減 になる)。 このKRPXハウジング部は高品位な球状黒鉛鋳鉄製で、十分なサイズのボルトによって機械構造へ確実に締 結できる。こうした構造は、加速時でもたわみを生じないようFEM解析を用いて最適化されたものだ。また、取付け面にはキー溝が設けてあり、完全な取付け姿勢を保つ一方、非常に容易な組付けが可能となっている。そうした点からは、不適切な取付けや装置のたわみといった、あらゆるリスクを回避するよう考え抜かれた同システムの洗練さが垣間見える。
工作機械の精度を生み出す極めて高い剛性 加えて、KRPXは、ツインドライブがもつ性能上の利点を最大限保ったまま、重度に過酷なラック&ピニオ ン駆動アプリケーションに必須となる極めて高い全体的な剛性をもつ。 KRPXには標準としてサイズ2、3、4と3モデルが用意されているが、それぞれは、ピニオンの高さが104、127、148mmを超えることなく、非常にコンパクトで組込み上の優位性は明らかだ。こうしたラック&ピニオ ン駆動の新コンセプトからすれば、工作機械設計者にとって、最大フィード容量105kN、ラック上での最大 剛性333kN/mmと、市場水準を上回っている。 KRPXのこのような高い剛性は、ピニオンの一体化と軸受の強化を図ったその先進的設計から生まれた必然 の成果に他ならない。ピニオンはその軸と同径に加工され、これがラックへの許容伝達トルクと剛性の最適 なバランスを実現した。また軸受部は、十分にオーバーサイズなアンギュラころ軸受2列にプリロードをかけて構成されている。さらにこの軸受は、構造上、力の作用点にできるだけ近い位置でピニオンを支える。軸受と ピニオンを隔てるのは、軸受ロックナットの厚さに過ぎない。 こうした設計により、半径方向の曲げは格段に小さい。
既存のシステムでは、半径方向の曲げが全たわみの60%にいたるにもかかわらず、うまく解決されていないのが実情だ。本システムにおける、このたわみの低 減は、より大きな積載重量を高速で搬送する能力にも与って、動的精度を向上させることになっている。ま た、その慣性の小ささともあいまり、全体的な剛性からみたその性能は、より大きな加速度(最大25m/s2)の達成にも表れている。結果として、ラック&ピニオンを合わせた全駆動システムの固有振動数も大幅 に上げることができるだろう。