AI関連機能を搭載した「SMARTDAC+」のペーパレスレコーダ、データロギングソフトウェアと、耐環境性に優れ、さまざまな産業におけるAI活用に適したエッジコンピューティングプラットフォーム「e-RT3 Plus」を発売
AIによる問題の早期発見や生産効率向上に向けた活動に貢献.
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、操作性・拡張性に優れたデータ収集制御システム「SMARTDAC+」のパネルマウントタイプペーパレスレコーダ「GXシリーズ」と、ポータブルタイプペーパレスレコーダ「GPシリーズ」、データロギングソフトウェア「GA10」にAI(Artificial Intelligence:人工知能)関連機能を搭載し、併せて、各種装置に組み込んで制御を行う、耐環境性に優れたエッジコンピューティングプラットフォーム「e-RT3 Plus」にPython※1(パイソン)対応のモジュールを追加し、「GXシリーズ」、「GPシリーズ」、「e-RT3 Plus」を4月8日、「GA10」を5月13日に発売しますのでお知らせします。
「SMARTDAC+」はOpreX Data Acquisition 、「e-RT3 Plus」は、OpreX Control Devicesのラインアップの製品です。
今回、世界で初めて※2、収集したデータをもとに予測波形をリアルタイムに描画できる当社独自の機能を未来ペン機能としてレコーダに搭載するなど、AIを導入することで、お客様の工場内の問題の発生防止や、生産効率向上に貢献します。
※1 Python:AIの開発現場で広く利用されている汎用のプログラミング言語。コードがシンプルで扱いやすく設計され、さまざまなプログラムを分かりやすく少ないコード行数で書けるという特徴があり、機械学習をはじめAIのアプリケーション開発に便利なオープンソースのライブラリが充実している。
※2 2020年3月現在 当社調べ
機能強化の背景
製造業では、AIなどの解析ツールを活用することで工場内の問題発生防止や生産性向上につなげる活動に注目が集まっています。一方で、AIの導入に関しては、現状のAI関連製品の使い方が初心者には難易度が高かったり、専門家による解析が必要であったりすることから障壁が高いという声も聞かれます。
レコーダは、さまざまな産業の生産現場や開発現場等において、電圧、電流、温度、流量、圧力などのデータの収集・表示・記録に使用される機器で、当社が世界トップクラスのシェアを有しています。また、当社は、これまで多くのプラント・工場での設備異常予測や、原因特定解析、製品品質予測解析において機械学習技術などを活用したコンサルタントサービスで多くの実績をもっています。今回、このレコーダやデータロギングソフトウェア、コントローラに、お客様が容易に利用できるAI関連機能を搭載しました。「GXシリーズ」、「GPシリーズ」では、収集したデータをもとに予測波形をリアルタイムに画面に描画することができ、問題を事前に検知し、対処することが可能となりました。また、e-RT3 PlusはAI開発で広く用いられるプログラミング言語「Python(パイソン)」に対応し、AIを活用した生産性向上活動を支援します。
機能強化の概要
各製品の機能強化のポイントは次のとおりです。
1. AIによって予測波形をリアルタイムに描画できる未来ペン機能を搭載
今回、「GXシリーズ」、「GPシリーズ」に、収集したデータをもとにAIによって予測波形をリアルタイムに描画できる未来ペン機能を搭載しました。未来のある時点までの予測波形を示すことで、アラームが発生する可能性の有無が確認でき、問題が発生する前に対応策を講ずることが可能です。従来、レコーダは過去や現在のデータを収集・記録し、さまざまな設備の監視に活用されてきましたが、レコーダ自体に未来予測機能が搭載されるのは世界で初めてです。
2. 機械学習による違和感検知で故障の予兆を検知
「GA10」では、収集したデータをもとに、設備が正常に稼働している際の「正常値」を機械学習し、その動きと異なる事象が起こった際には「違和感」として検知します。これまで熟練運転員しか感じとることのできなかった違和感を検知し、監視画面を黄色い枠で囲んでハイライトすることで知らせます。これによって故障前に保守を行うことができ、生産活動への影響を最小限に抑えることが可能です。異常値を収集する必要がないため導入が容易であることも特長です。
3. AI開発で広く用いられるプログラミング言語「Python」に対応
「e-RT3 Plus」は、各種装置に組み込んで制御を行うコントローラで、今回、機械学習をはじめとするAIの開発現場で広く利用されているプログラミング言語、Pythonに対応するCPUモジュールを発売します。AIを活用した予兆診断の機能を実装する際などに、Pythonの豊富なソフトウエアライブラリを活用することが可能になり、開発期間の大幅な短縮に貢献します。また、優れた耐環境性能をもち、従来のIO(入出力)モジュールにも容易に接続できるため、開発から実装、運用までを1台で完結することが可能です。このCPUモジュールを備えたe-RT3 Plusは、AI活用に適したエッジコンピューティングプラットフォームとしてさまざまな産業におけるAIの導入を支援します。さらに、今回のe-RT3 Plusは汎用OS Linux Ubuntu※3に対応しており、より自由度の高い運用を可能にします。
※3 Ubuntu:英国のCanonical社が提供している、Linuxの配布・導入パッケージ。
主な市場
- GXシリーズ:鉄鋼、電力、化学、紙パルプ、食品、薬品、熱処理装置、上下水道、電気・電子など幅広い産業の生産現場
- GPシリーズ:家電、自動車、半導体、新エネルギーなどの開発部門や大学および公的研究機関
- GA10:GXシリーズおよびGPシリーズ双方の対象市場
- e-RT3 Plus:産業用製造装置、電子部品/電子機器の組み立て装置など
用途
環境モニタリングや設備管理、生産工程、製品開発過程での性能評価試験、製品品質検査過程での安全性・信頼性評価試験などにおける電圧、電流、温度、流量、圧力など各種信号の監視および記録
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