ジェムアルト社向け高速欠陥検出

ジェムアルト社は、キーエンス社製CV-5000画像処理システムを利用することで生産性を向上させています。このシステムで、スマートカードのマイクロモジュールが保護用透明樹脂で被覆されていることを検査し、欠陥が検出されれば即座に生産を停止します。

スマートカード製造業者であるフランス系企業のジェムアルト社は、急成長を遂げているこの業界でリーダー的存在です。ジェムアルト社には、マイクロプロセッサベースのバンキングカード、携帯電話用のSIMカードまたはUICCカード、ePassport、スマートIDカード、オンライン認証用製品、非接触型決済システムなどの幅広いアプリケーションがあります。また、ジェムアルト社は、これらのソリューションを実装したり、これらのセキュリティ保護された機器に保存されているアプリケーションや個人情報を遠隔で管理したりするために、サーバーソフトウェア、コンサルティング、研修、幅広い外部委託管理サービスも提供しています。2010年には、ジェムアルト社は19億ユーロの収益を達成し、従業員数は10,000人以上に達したと発表しました。

「フランスにある当社のジェメノス工場では、保護用樹脂オーバーレイが正しくマイクロモジュールを覆っているかどうかを確認します。具体的に言うと、寸法、センタリング、清潔さ、樹脂がはみ出さず均等に貼られているかというところです。

樹脂は繊維で強化されているため、分配による欠陥が常に発生する可能性があります。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。当社ではマイクロモジュールの不良品数を少なくするために、できるだけ迅速に問題を検出したいと考えていました。」ジェムアルト社コーティング／アセンブリのエンジニアであるThierry Padovani氏はこのように述べています。

ジェメノス工場では、１時間あたり12,000個のモジュールを生産しています。スマートカードは12か所の異なる場所に配置されるため、同時に12個のモジュールが検査されます。観察距離は50 cmで設定されています。以前は、樹脂分配の工程後に3～4 mの距離から検査を実施していました。

「当社では、高い生産率を維持しながら微細な検出を迅速に実行することができ、500か所でアラームが鳴るようにすることができる安定したソリューションを求めていました。この画像処理システムは機械のコントロールシステムと連動しており、完璧な処理をしてくれます。この画像処理システムのおかげで、大幅な生産性アップを達成することができました。キーエンス社のカメラは、6つのラインにそれぞれ設置されており、別のラインにもう一台導入する予定です。この3年間、カメラは毎日24時間稼働しており、カメラの安定した検出に私たちは大変満足しています。」とPadovani氏は述べています。

検出工程は、使用している樹脂が透明なため、より複雑になります。「当社では、特別な照明装置を追加し違いがわかるようにすることで、すぐに問題は解決しました。撮像した画像は、解像度120万画素のモノクロで処理されます。設定もあっというまで、すぐに使用することができました。キーエンス社は、すぐに使えて精度の高い検証モジュールを開発してくれました。」

CV-5000画像処理システムは、撮像用に選択可能な、カラー、モノクロ、単一カメラ、マルチカメラを取り揃えており、検出の安定性を高めることができます。その用途は、寸法測定、位置決め、外観検査です。CV-5000は市場で最も有力な自己完結型画像システムです。100万画素であれば、20.5 msで処理することが可能です。また、この処理能力により複合検査を実施することができ、驚異的な再現性（現行標準の7倍）および検査精度を最適にする多くの画像処理タスクにより、工程中の検査においても信頼性を高めています。

CV-5000シリーズのモデルでは、高速カラー画像処理エンジンと高速RISC-CPUを使用しています。これらに加えて、画像処理向けに設計されたDSPも2個使用しています。

CV-5000シリーズのモデルはすべて、これら4つのプロセッサを使用することで並列処理が可能となり、業界最速の処理を実現しています。これは、市場で入手可能な主力モデルの2倍の速さです。また、このシステムはダブルバッファメモリを搭載しているため、画像処理中に次のトリガ入力が可能です。これにより全画面読み取り時でも、約16 ms（3,700個/分）の検査タクトを可能にします。CV-5000シリーズは、制御I/O機能、イーサネット、USB、RS232ポートがあるため、連結性にも優れています。このシステムは、PLCまたはPCと接続することが可能です。

  さらに詳しく…