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世界最小の実装面積および世界最高の電圧変換効率を実現した薄型DC-DCコンバータを商品化

株式会社村田製作所(以下、「当社」)は、世界最小※1の実装面積および世界最高※2の電圧変換効率を実現したDC-DCコンバータモジュール「UltraBK MYTNシリーズ」(以下、本製品)を商品化し、販売を開始します。

世界最小の実装面積および世界最高の電圧変換効率を実現した薄型DC-DCコンバータを商品化

※1 ※2 当社調べ、2020年10月28日時点。

近年、5GやディープラーニングをはじめとしたAI技術などの進展にともなうデータトラフィックの増大により、IT機器の高機能化・高密度化のニーズが急速に高まっています。電源回路は、電子デバイスが必要とする各電圧に変換する重要な役割を担っていますが、マザーボード(主要な電源回路基板)の基板面積の30~50%を占有してしまい、設計者は深刻なスペース不足に悩まされています。そこで当社は、周辺回路を含めた総実装面積削減と優れた電圧変換効率の両立を実現する本製品を開発しました。

本製品は、当社が長年培ってきた電源回路技術に加え、子会社の「pSemi Corp.」※3が有する独自のプロセス技術、電圧変換効率を高める技術を結集して開発した初めての製品です。また、当社の通信モジュール事業で培った高密度パッケージングによって電源IC、インダクタ、コンデンサをワンパッケージ化し、DC-DCコンバータの超小型化・薄型化を実現しています。

※3 2014年に買収した半導体RF部品メーカー「Peregrine Semiconductor Corp.」のこと。

同社は2017年に業界をリードする電圧変換効率を高める技術を持つ小電力パワー半導体開発メーカー「Arctic Sand Technologies, Inc.」を買収。2018年pSemiTM Corporationへ社名変更。

DC-DCコンバータモジュールは、電源IC、インダクタ、コンデンサなどをひとつのパッケージにした製品のことで、体積の大部分をインダクタが占めています。一般的に、高い変換効率を求めるとサイズの大きなインダクタが必要となるためDC-DCコンバータのサイズは大きくなります。一方で、スペースの確保を優先し、小型のインダクタを採用すると電圧変換効率が低くなってしまいます。また、入力電圧と出力電圧の差が大きいアプリケーションでは、デューティーサイクル※4が非常に小さく、その影響が電源の入力ラインに現れるため、ノイズ低減を実現するためにも大型のフィルタ回路が必要となります。

本製品は、独自の「チャージポンプ技術」※5と従来のDC-DCコンバータ回路を融合させた新しい方式「2ステージアーキテクチャ」を採用しました。入力電圧を小刻みな電圧ステップで降圧することで低耐圧FET※6の使用を可能とし、個々のインダクタへの依存度を軽減することで、小型でありながら高い電圧変換効率のDC-DCコンバータを実現しています。さらに、この降圧された電圧がDC-DCコンバータ回路の実質上の入力電圧となるため、入力電圧と出力電圧の差によるデューティーサイクルの課題も解決できます。

※4 オン時間と全サイクル時間との比のこと。DC-DCコンバータの場合、入力電圧と出力電圧の比で決まる。
※5 入力電圧とコンデンサに充電した電圧を重ね合わせることによって出力電圧を上昇/下降させる技術。
※6 Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ。

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