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新たに進歩した CMOS 技術は、バイオメディカルアプリケーション用 sCMOS センサーに取って代われるのか?

新たに進歩した CMOS 技術は、バイオメディカルアプリケーション用 sCMOS センサーに取って代われるのか?
相補型金属酸化膜半導体 (CMOS) 技術は、現在、多くのバイオメディカルアプリケーションで必要とされる高度な撮像能力を提供していますが、高額な sCMOS (scientific CMOS) センサーの代替となり得るでしょうか?CMOS および sCMOS センサーは、これまで複数の業界においてマシンビジョンの性能と価格の基準を定めてきました。ここでは、高い撮像性能が要求されるバイオメディカルやライフサイエンスといった分野のアプリケーションに使用する際の、各技術の利点とコストについて説明します。

CMOS センサーと sCMOS センサーの違いは?
一般的に、sCMOS センサーは「次世代」の CMOS センサーと考えられています。sCMOS 技術は CMOS 開発の初期段階において、新しい CMOS センサーと従来の CCD (電荷結合素子) センサーとのギャップを埋めるために導入されたものです。当初の CMOS センサーにはダイナミックレンジ、読み出しノイズ、フレームレート、解像度に妥協があったため、バイオメディカルアプリケーションでは使用することができませんでした。 sCMOS カメラが登場した際 、CMOS センサーと非常に似た設計原理と製造技術が使われていましたが、同時に初期の CMOS の欠点を補うための機能がいくつか追加されていました。これにより sCMOS センサーは、低照度性能とダイナミックレンジおよびハイファイ (高再現性) が重要視される科学的なアプリケーションに適したセンサーとなったのです。

しかしながら、sCMOS カメラの登場から数年の間に従来の CMOS センサーの量子効率と内部ノイズ低減性能が大幅に改善され、CMOS カメラも多くの先進的なバイオメディカルアプリケーションの実用的な選択肢と捉えられるようになりました。また、ほとんどの CMOS カメラは、sCMOS カメラよりもはるかに低価格で提供されています。このことだけでも、多くの技術者や研究者にとって顕微鏡カメラや組織検査用カメラ、細胞診・細胞遺伝子学用カメラ、あるいは落射蛍光顕微鏡カメラを選ぶ際に、最新の CMOS センサーの導入を検討する動機になっています。


新たに進歩した CMOS 技術は、バイオメディカルアプリケーション用 sCMOS センサーに取って代われるのか?

CMOS センサーと sCMOS センサー、どちらを選ぶべき?

CMOS と sCMOS、どちらのセンサーを選ぶべきか様々な要素によって決まります。あなたがもし選択を迷っているとすれば、落射蛍光照明を使用しているのではないでしょうか。なぜなら、白色光は十分明るいため sCMOS センサーを必要としないからです。どちらのセンサーがより適しているかは、カメラに届く光の量や使用するアプリケーションに固有な性能の組み合わせなど、単純な要素によって判断されることがあります。CMOS か sCMOS かにかかわらず、モノクロセンサーが本来持つ量子効率のメリットを活かしたいのであれば、カラーセンサーではなくモノクロセンサーを選ぶことをお勧めします。

sCMOS センサーは、裏面照射と大きいサイズの画素を採用したことで、CCD 技術と同様に全体的なノイズを低減しているのが特徴です。さらに、通常の sCMOS カメラにはペルチェ素子を使った冷却装置が搭載されており、長時間露光時に発生する熱ノイズを減らしています。また、CameraLink や CoaXpress のような画像入力ボードを備えた広帯域のインターフェイスを必要とし、それによりビジョンシステムが複雑化するため結果的に高額になっています。

この問題に対処すべく、CMOS センサーの製造メーカーはこれまで、量子効率 (入射光子を収集する能力) の大幅な向上、読み出しノイズの低減 (低レベルの入射光子でもノイズで逃さないようにするため) および裏面照射の実装に取り組んできました。一部の CMOS センサーではペルチェ式冷却装置もオプションとして実装可能ですが、量子効率とノイズリダクションが改善されたおかげで、バイオメディカルイメージングのアプリケーションによっては冷却が不要になっています。

CMOS カメラのコストが抑えられているもう1つの要因は、インターフェイスにあります。CMOS センサーは、長年にわたり USB3、GigE、10GigE などの民生用インターフェイスを用いています。こうしたインターフェイスは画像入力ボードを必要としないため、システムが複雑にならずコストを軽減することができるのです。今後登場する 25/100GigE や USB4、CXPX などのインターフェイスでは帯域幅が格段に広くなるので、これらを利用できるようになればコスト面の問題はなくなるでしょう。

CMOS センサーは経済的な代替品
コストが低く抑えられるということから、多くの技術者やシステム設計者は sCMOS センサーをベースとしたシステムの代わりに最新の CMOS センサーの導入を検討し始めています。ビジョンシステムの設計者のほとんどは、適切な CMOS カメラが 1,000ドル以下で見つかることに驚いています。似たような性能を持つ典型的な sCMOS カメラのセットは、通常 10,000ドル以上するからです。

sCMOS であれ CMOS であれ、大半のカメラメーカーはカメラを比較する際に同一の規格を基準にしているわけではありません。このことが、センサーの種類に関係なくカメラの比較を難しくしているのです。マシンビジョンの世界では、EMVA 1288 規格がヨーロッパ、アメリカ (AIA - Automated Imaging Association)、日本 (JIIA - 日本インダストリアルイメージング協会) でカメラの仕様と寸法の標準として認められています。マシンビジョンカメラ用 EMVA 1288 規格の詳細については、こちらをクリックしてください

簡潔に言えば、極端に高度な性能が求められるアプリケーションでは sCMOS カメラは必需品かもしれません。ですが、CMOS カメラか sCMOS カメラかのどちらかに決めてしまう前に、使用するアプリケーションに最も重要な性能が何かを特定し、それに対応する両者の性能を公平に比較してみてはいかがでしょうか。CMOS センサーは常に進化し続けており、CMOS と sCMOS のコストパフォーマンスの差は急速に狭まっています。アプリケーションの要件が従来の CMOS センサーでカバーされるのであれば、あなたやあなたのチームにとって、はるかに安価な代替手段となることでしょう。


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フリアーシステムズの CMOS マシンビジョンカメラのご紹介
落射蛍光顕微鏡を使用するアプリケーションに CMOS カメラの導入を考えているあなたに、フリアーシステムズのカメラシリーズで最も人気の高い Blackfly S と Oryx をご紹介します。
Blackfly S カメラシリーズは、USB3 と GigE の両方に対応する幅広い種類のセンサーとインターフェイスを提供しています。また、ケースモデルとボードレベルモデル両方のフォームファクターに合った、多種にわたるセンサーオプションもございます。

Oryx カメラシリーズは、10GigE 高速インターフェイスと組み合わせた高解像度センサーを搭載しているのが特徴です。フル機能を備え、より高度なアプリケーションに適していますが、フォームファクターは Blackfly S よりも大きくなります。転送速度が重要要件である場合は、迷わず Oryx カメラをお選びください。

どちらのカメラシリーズも、GenICam3 と Spinnaker SDK を使用して制御およびプログラムが可能で、アプリケーションの構築をより速く行えるように設計されています。

カメラモデルの選択肢をさらに絞り込みたい場合は、14 項目以上のイメージング条件 (EMVA 1288 基準) でフィルタリングできる弊社のマシンビジョンカメラモデル選択ツールをご利用ください。低照度性能に優れたモデルをお探しでしたら、絶対感度、量子効率、ダイナミックレンジの値が高いものを選別します。絶対感度とは、センサーで観測されたノイズと同等の信号を得るために必要な光子の数量を意味します。量子効率は、ある波長において光子が電子に変換された割合を指します。ダイナミックレンジは、長時間撮影により発生するダークノイズ (無信号時におけるセンサー内のノイズ) を含む、信号とノイズの比率のことです。また、カラーモデルよりモノクロモデルの方が低照度性能が良いことも覚えておきましょう。

マシンビジョンカメラの性能の詳細は、各モデルの EMVA 1288 撮像性能ガイドをご覧ください。このガイドは、各カメラのサポートページの「リソース」タブまたは「マシンビジョンカメラセンサーレビュー」で閲覧できます。

カメラ選びや特定プロジェクトに関するご質問・ご相談はお気軽にどうぞ。お問い合わせはこちらをクリック。マシンビジョンカメラのエキスパートがお手伝い致します。バイオメディカルおよびライフサイエンスアプリケーションに適したマシンビジョンカメラの選択に重要な要素の詳細は、別掲載記事「バイオメディカルイメージング:マシンビジョンカメラの仕様の選択および計測方法ガイド」をご参照ください。

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