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09
'21
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Infineon News
量子コンピューティング研究プロジェクト:インフィニオンが工業化の専門知識を提供
インフィニオン テクノロジーズは、ドイツの5つの研究機関に所属する一流の科学者と協力して共同プロジェクト「超伝導量子ビットに基づくドイツ製量子コンピュータ」(GeQCoS)に取り組み、量子コンピューティングの開発と工業化を推進します。ヨーロッパの大手半導体メーカーであるインフィニオンは、特殊な半導体チップの工業生産や、イオントラップなどの量子コンピューティングアプローチに関する専門知識を提供します。
量子コンピュータは、その特殊機能により、特定のアプリケーションにおいて既存の従来型コンピュータに取って代わる驚異的な可能性を秘めています。たとえば、化学や、製薬業界の複雑な分子のシミュレーション、自動車および航空業界の入り組んだ構造の最適化、複雑な財務データの分析による新たな発見などを計算することが可能です。量子コンピュータの活用はこれまで特定の学術的問題を解決し、基本的な機能を実証することに限られていました。現実的な問題の計算に適したアーキテクチャでは、基本的なハードウェアモジュールや量子ビットから、ソフトウェアやアプリケーションに至るまで、すべてのレベルでさらなる改善が必要です。
ドイツ連邦教育研究省が1450万ユーロの資金を投じて推進する当プロジェクトの目的は、超伝導量子ビットに基づく画期的な量子プロセッサを開発し、4年以内にプロトタイプを
つくり特殊な能力を実証することです。バイエルン科学 人文科学アカデミーのヴァルター マイスナー研究所(WMI)、ミュンヘン工科大学、カールスルーエ工科大学(KIT)、フリードリヒ アレクサンダー大学エアランゲン ニュルンベルク(FAU)、ユーリヒ総合研究機構(FZJ)、フラウンホーファー応用固体物理研究所(IAF)、インフィニオンの科学者が協力して、この目標の達成に取り組みます。
インフィニオンのテクノロジー&イノベーション担当シニアディレクターであるセバスチャン ルーバーは、次のように述べています。「量子コンピューティングは、科学を実際に応用すべき段階に達しています。ただ、これには量子プロセッサの機能の改善や工業的なスケールでの製造の実現が必要です。どの技術が最適なのかがまだ明確でなくても、前進することが大切です。私たちは、ドイツの量子コンピューティング分野のトップ科学者たちと協力できることを楽しみにしています。インフィニオンは、スケーリング、製造プロセスに高度な技能を持つ半導体メーカーとして、その専門知識をプロジェクトに提供します。量子ビットには、一貫した品質を維持しながら、微細構造の大量生産を実現する方法も必要です。」インフィニオンは、インスブルック大学の実験物理学者と共同で、新しいイオントラップ量子プロセッサチップをすでに開発しており、他のパートナーとも協力して、量子技術の普及と応用のための基盤づくりを推進します。
ヨーロッパの価値創造の可能性を切り開く
「ドイツ、ヨーロッパのメーカーである私たちが、この未来技術の推進をアメリカやアジアのノウハウだけに頼らないために、今すぐ工業化を進めなければなりません。」と、ルーバーは述べています。量子コンピューティングとその応用の拡大は、まだ初期段階にあります。技術分野の競合企業の中で、ビジネスと社会のデジタル化に向けて独自のノウハウで新しい次元を切り開ける企業が、これを成し遂げることができます。量子コンピューティングの応用という価値創造の可能性は、技術そのものよりも何倍も大きいです。当プロジェクトでは、現在の連邦イニシアティブを実施するための基盤を整え、「ドイツ製」量子コンピュータの開発を推進します。科学と産業が緊密に協力して、超伝導量子ビットの全国ネットワークの構築を目指します。
研究プロジェクトの参加者の詳細については、付録を参照してください。
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