業界トップクラスの電力性能を実現する高精度AIアクセラレータ内蔵のエントリークラスMPU「RZ/V2L」を発売
DRP-AIがAI推論と画像処理の2役を担うことにより、外付けISP無しでコスト効率良くビジョンAIを実現可能。
AIアクセラレータ内蔵エントリークラスMPU「RZ/V2L」
ルネサス エレクトロニクス株式会社(CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、ルネサス独自のAIアクセラレータDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)-AIを内蔵したマイクロプロセッサ(MPU)「RZ/Vシリーズ」を拡充し、第二弾として組み込み機器でのAI活用を促進するエントリークラス「RZ/V2L」を発売しました。第一弾の「RZ/V2M」と同様、高精度なAI推論と業界トップクラスの低消費電力を両立しつつ、エントリークラスとしてDRP-AIの動作周波数やメモリインタフェースの最適化を図りました。
DRP-AIがAI推論と、色補正やノイズリダクションなどカメラ応用に不可欠な画像処理の2役をこなすことにより、外付けのISP(イメージシグナルプロセッサ)無しでPOS端末やロボット掃除機などのビジョンAIを実現可能です。さらに、高い電力性能により、ヒートシンクや冷却ファンなどの放熱対策も不要です。これらにより、監視カメラや産業機器のほか、家電やその他民生機器など、幅広い製品でコスト効率よくAIを活用することができます。RZ/V2Lは、本日よりサンプル出荷を開始し、2021年12月より量産を開始する予定です。
また、RZ/V2Lは既発売の汎用MPU、RZ/G2Lとパッケージ端子を含めて互換性があります。そのため、RZ/G2Lユーザは、RZ/V2Lにアップグレードすることにより同一のシステム構成で移行コストを低減しながらAI機能の追加が可能です。
Embedded Vision Summit のGeneral Chairman兼Edge AI and Vision AllianceのFounderであるJeff Bier氏は、次のように述べています。「今日のエレクトロニクス業界の最も重要なトレンドの一つは、AIを組み込み機器に活用すること、特に画像などのセンサデータを解釈するためのAIです。RZ/V2Lのような革新的なプロセッサは、コストや電力に制約のあるさまざまなIoTデバイスに知覚的なAIを組み込むことを可能にする鍵となります。」
ルネサスのIoT・インフラ事業本部 SoCビジネス担当の執行役員である新田 啓人は次のように述べています。「新たなエントリークラスのAIアクセラレータ搭載製品の発売により、従来製品を含めた豊富なラインアップから最適な製品をお選びいただくことができるようになりました。お客様はAI性能とシステムコスト低減を両立できるようになるため、家電や民生機器などより多くの分野に組み込みAIの活用が広がると確信しています。」
RZ/V2Lの開発環境として、AIモデルを実行形式に自動変換するツール(DRP-AI Translator)を無償提供します。入力フォーマットとして業界標準のONNX(Open Neural Network Exchange)を採用しているため、ユーザは使い慣れた環境を使用してDRP-AIを活用でき、実績のある学習済みAIモデルをRZ/V2Lですぐに評価できます。
RZ/V2 と RZ/G2のラインアップ
RZ/V2L の主な特長は次の通りです。
- 64ビットArm® Cortex®- A 55(1.2GHz、デュアルまたはシングル)とCortex-M33を搭載
- AIアクセラレータDRP-AI(1TOPS/Wクラス)を搭載、TinyYOLOv2プログラム実行時28fps(frame per second)を実現
- マシンビジョンに必要な簡易ISP機能をDRPライブラリで提供(フルHDまで対応)
- DDRメモリインタフェースとして16ビット、1チャネルを搭載
- 3Dグラフィックス機能(Arm Mali-G31 GPU)を搭載
- ビデオコーデック(H.264)を搭載
- カメラ入力は2種類の CMOS センサインタフェース(MIPI-CSI、Parallel)に対応
- 表示インターフェース(MIPI-DSI、Parallel)に対応
- メモリの誤り検出・訂正(ECC:Error Checking and Correction)機能を搭載
- 産業グレードLinuxであるCivil Infrastructure Platform Linuxをベースとした動作検証済みのVerified Linux Package(VLP)を提供
- 15mm角、21mm角のBGAパッケージを用意、RZ/G2Lとピン互換
またルネサスは、早期開発を支援するため、ルネサスの製品群を組み合わせたソリューションである「ウイニングコンビネーション」を提案しています。本日より、RZ/V2Lの評価ボードでもある「SMARC(スマートモビリティアーキテクチャ) SOM(システムオンモジュール)ソリューション」として、電源回路やタイミングツリーを含むリファレンスデザイン(回路図、ボードレイアウト)の提供を開始しました。RZ/V2Lの評価ボードは本日より予約受付を開始します。従来のRZ/G2用「SMARCソリューション」も用意しています。RZ/V2Lに最適化したPMIC(Power Management IC)も開発中であり、これと組み合わせたソリューションも2021年後半から提供する予定です。
RZ/V2Lの詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/rzv2l
www.renesas.com