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06
'21
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ARC INFORMATIQUE
ドイツ・イェーナ市街の電気バス充電ステーションのモニタリングを実現
充電インフラを常に監視。
Photo credit: Stadtwerke Jena / Anna Schroll
イェーナの公共交通システムでは、どのように電気バス群の充電ステーションをモニタリングし、どのように最新の診断機能を使って可用性の向上や保守作業の最適化を図っているのでしょうか。
イェーナの市街地では路面電車というかたちで、電気による交通手段が120年にわたり活躍してきました。その後、これをディーゼルエンジンのバス路線網で補って、効率的な公共交通システムを創り上げした。昨年、この市バスの運用に電気自動車が導入されました。2020年に電動車両3台の通常運行を開始し、CO2削減(バス1台当たり年間53,000 kg)に貢献するとともに、都市部での排ガスに含まれる粒子状物質や騒音の低減が図られたのです。
根本的に公共交通の利用を促進し、それを保つには、円滑で正確な時間で運行することです。そうした意味で、路面電車の運用には、とりわけ確実で途切れることのない電力供給が求められます。この責任を負うのが同市の公共交通事業者Jenaer Nahverkehr社の電力供給部門です。しかしながら、まれなケースとはいえ、システム技術に障害が発生する場合もあります。その障害による運用プロセスや乗客への影響を最小限に止めるには、できるだけダウンタイムを短くする必要があります。これをPcVueのSCADAソフトウェアを基盤に構築した信頼性の高い管理/遠隔制御システムが支えています。
長年にわたって、Actemium Germany社のAutomation Frankfurt事業部〔フランクフルトを拠点としたオートメーション事業部〕が、イェーナの公共交通システムの電力供給における管理/遠隔制御技術の整備とさらなる強化のほか、信号や安全システムのモニタリングについて、そのパートナー企業として対応してきました。
また、新たに導入された電気バスの充電インフラの保守も、このNahverkehr社電力供給部門が所管することとなり、充電ステーションを制御システムに統合したいという要望が持ち上がりました。その実現をActemium社Automation Frankfurt事業部が任されました。
この拡張の第一の目標は、充電インフラを電力供給部門が遠隔モニタリングして、発生するあらゆる不具合をできるだけ素早く検出して解消することです。特に同市はザーレの谷あいに位置するという立地から、少ない経路に交通量が集中しています。しかし、それでも可能な限り保守要員の移動時間を削減して、その目標の実現を目指します。
既存の制御システムではすでに、可視化のためのデータ処理や保存、様々な産業通信プロトコルを介した外部システムとのデータ交換のほか、遠隔からのアラーム発信も標準機能として整備されています。
OCPPドライバによる充電ステーションとの通信
充電ステーションのモニタリングには、一般にオープン規格のプロトコルOCPP(Open Charge Point Protocol)を用いることで、異なるメーカーの製品との互換性を保証します。
最新バージョンのPcVueでは、そのメーカーであるARCインフォマティックから、OCPPプロトコルの現行バージョン1.6-Jおよび2.0.1と、セキュリティ・プロファイル1および2をサポートした通信ドライバを提供しています。同ドライバでは、充電ステーションが一つの充電ステーション管理システム(Charging Station Management System:CSMS)としか通信できないという、OCPPの典型的な問題が解消されます。またプロキシ機能を用いて、充電器のOCPPメッセージをサードパーティ製システムへ受け渡すことも可能です。これは、オープンなPcVueシステムの代表的な特長であり、本来的に幅広いデータ交換オプションを備えています。
運用機能も統合
既存システムとシームレスに統合したユーザーインターフェースに新たに盛り込んだエントリーポイントとして、市内全域に分布した充電ステーションをシンボルマークによって示すマップ表示があります。この新導入の可視化機能には、長年にわたり同制御システムの既存機能や操作原理に慣れたユーザーなら、非常に短期間に習熟できるというメリットが見込めます。
データ解析とモニタリング
Actemium社が整えた中心的な機能は、アラームとログ・データの管理です。これにより、運用時にはリアルタイムに、また履歴データの評価でも正確な不具合分析が可能になりました。このアラーム・システムは、公共事業を担うNahverkehr社がセキュアな遠隔アクセスを行うことで早期に不具合を診断して、それを修正したり、適切な対策を開始するなど、すぐに対応できるサービス体制を可能にしています。
加えて、交通管制センターにとっても、充電インフラの接続にはメリットがあります。指令員のワークステーションには、バスの位置情報と対応する充電ポイントがリアルタイムに表示され、運行に影響を与える不具合も明示されます。そのため、車両の配車計画の調整を素早く行って、予定路線の欠便や遅延を防止できます。その後に、保守担当者が実際の原因を調査すればよいのです。
Photo credit: Jenaer Nahverkehr GmbH
特に緊急を要するアラームは、リモート・メッセージとして、待機中の保守スタッフのモバイル端末に送信されます。
システムのユーザーは、トレンド・データ表示を用いて実行中の充電プロセスを監視でき、そのプロセスの電流や電圧、電力などすべての測定値も視覚的に比較可能です。同様に、処理履歴から、完了済みの充電プロセスを呼び出して後から確認することも、それぞれを比較することもできます。また、車両を指定すれば、その現在の充電状態がレポートとして出力されます。
この処理履歴は、ボタンを押すか自動でエスポートされ、週間/月間レポートとして保存できます。特に注目すべきは、不適切な処理の数だけでなく、車両ごとにそれぞれのエネルギー消費量と充電プロセスが分かる点です。
イェーナの公共交通システムでは、どのように電気バス群の充電ステーションをモニタリングし、どのように最新の診断機能を使って可用性の向上や保守作業の最適化を図っているのでしょうか。
イェーナの市街地では路面電車というかたちで、電気による交通手段が120年にわたり活躍してきました。その後、これをディーゼルエンジンのバス路線網で補って、効率的な公共交通システムを創り上げした。昨年、この市バスの運用に電気自動車が導入されました。2020年に電動車両3台の通常運行を開始し、CO2削減(バス1台当たり年間53,000 kg)に貢献するとともに、都市部での排ガスに含まれる粒子状物質や騒音の低減が図られたのです。
根本的に公共交通の利用を促進し、それを保つには、円滑で正確な時間で運行することです。そうした意味で、路面電車の運用には、とりわけ確実で途切れることのない電力供給が求められます。この責任を負うのが同市の公共交通事業者Jenaer Nahverkehr社の電力供給部門です。しかしながら、まれなケースとはいえ、システム技術に障害が発生する場合もあります。その障害による運用プロセスや乗客への影響を最小限に止めるには、できるだけダウンタイムを短くする必要があります。これをPcVueのSCADAソフトウェアを基盤に構築した信頼性の高い管理/遠隔制御システムが支えています。
長年にわたって、Actemium Germany社のAutomation Frankfurt事業部〔フランクフルトを拠点としたオートメーション事業部〕が、イェーナの公共交通システムの電力供給における管理/遠隔制御技術の整備とさらなる強化のほか、信号や安全システムのモニタリングについて、そのパートナー企業として対応してきました。
また、新たに導入された電気バスの充電インフラの保守も、このNahverkehr社電力供給部門が所管することとなり、充電ステーションを制御システムに統合したいという要望が持ち上がりました。その実現をActemium社Automation Frankfurt事業部が任されました。
この拡張の第一の目標は、充電インフラを電力供給部門が遠隔モニタリングして、発生するあらゆる不具合をできるだけ素早く検出して解消することです。特に同市はザーレの谷あいに位置するという立地から、少ない経路に交通量が集中しています。しかし、それでも可能な限り保守要員の移動時間を削減して、その目標の実現を目指します。
既存の制御システムではすでに、可視化のためのデータ処理や保存、様々な産業通信プロトコルを介した外部システムとのデータ交換のほか、遠隔からのアラーム発信も標準機能として整備されています。
OCPPドライバによる充電ステーションとの通信
充電ステーションのモニタリングには、一般にオープン規格のプロトコルOCPP(Open Charge Point Protocol)を用いることで、異なるメーカーの製品との互換性を保証します。
最新バージョンのPcVueでは、そのメーカーであるARCインフォマティックから、OCPPプロトコルの現行バージョン1.6-Jおよび2.0.1と、セキュリティ・プロファイル1および2をサポートした通信ドライバを提供しています。同ドライバでは、充電ステーションが一つの充電ステーション管理システム(Charging Station Management System:CSMS)としか通信できないという、OCPPの典型的な問題が解消されます。またプロキシ機能を用いて、充電器のOCPPメッセージをサードパーティ製システムへ受け渡すことも可能です。これは、オープンなPcVueシステムの代表的な特長であり、本来的に幅広いデータ交換オプションを備えています。
運用機能も統合
既存システムとシームレスに統合したユーザーインターフェースに新たに盛り込んだエントリーポイントとして、市内全域に分布した充電ステーションをシンボルマークによって示すマップ表示があります。この新導入の可視化機能には、長年にわたり同制御システムの既存機能や操作原理に慣れたユーザーなら、非常に短期間に習熟できるというメリットが見込めます。
データ解析とモニタリング
Actemium社が整えた中心的な機能は、アラームとログ・データの管理です。これにより、運用時にはリアルタイムに、また履歴データの評価でも正確な不具合分析が可能になりました。このアラーム・システムは、公共事業を担うNahverkehr社がセキュアな遠隔アクセスを行うことで早期に不具合を診断して、それを修正したり、適切な対策を開始するなど、すぐに対応できるサービス体制を可能にしています。
加えて、交通管制センターにとっても、充電インフラの接続にはメリットがあります。指令員のワークステーションには、バスの位置情報と対応する充電ポイントがリアルタイムに表示され、運行に影響を与える不具合も明示されます。そのため、車両の配車計画の調整を素早く行って、予定路線の欠便や遅延を防止できます。その後に、保守担当者が実際の原因を調査すればよいのです。
Photo credit: Jenaer Nahverkehr GmbH
特に緊急を要するアラームは、リモート・メッセージとして、待機中の保守スタッフのモバイル端末に送信されます。
システムのユーザーは、トレンド・データ表示を用いて実行中の充電プロセスを監視でき、そのプロセスの電流や電圧、電力などすべての測定値も視覚的に比較可能です。同様に、処理履歴から、完了済みの充電プロセスを呼び出して後から確認することも、それぞれを比較することもできます。また、車両を指定すれば、その現在の充電状態がレポートとして出力されます。
この処理履歴は、ボタンを押すか自動でエスポートされ、週間/月間レポートとして保存できます。特に注目すべきは、不適切な処理の数だけでなく、車両ごとにそれぞれのエネルギー消費量と充電プロセスが分かる点です。
さらに、同システムに実装のユーザーインターフェースでは以下のことが可能です:
• 充電ステーションのアクセス管理システム
• 充電ステーション利用のロック/アンロック
• 遠隔から、充電プロセスを起動/停止
• 受電ステーションごとの情報を保存/呼出し
• 充電ステーション利用のロック/アンロック
• 遠隔から、充電プロセスを起動/停止
• 受電ステーションごとの情報を保存/呼出し
稼働からわずか数週間で実証された実用的メリット
イェーナの公共交通システムで試験や保守を担当するエンジニアChristian Zeh氏は、今回のソリューションを非常に高く評価しています。
「充電ステーションの監視/制御システムを統合したことで、全ての運行状況が指令システムで分かるようになりました。そのため、我われにとって、即座な対応が取れる可能性が広がりました。なにより、充電インフラが電力供給部門の業務フローに完全に統合されたことになります。このシステムの有用性は日々の運用を通じ、特に充電ステーションの温度変化を管理する点において、わずか数週間で実証されました」。
管理/遠隔制御システムにおける充電インフラへの対応によって、電力供給部門ではすでに計画されている電気バスのさらなる追加導入と、関連する充電インフラの拡張に向けた準備が十分に整いました。
www.pcvuesolutions.com