FCNTがらくらくスマートフォン向けに圧電フィルムセンサ「Picoleaf」を採用~シニア向けの直感的なユーザ・インタフェースに貢献~
株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役社長:中島 規巨、以下「村田製作所」)は、圧電フィルムセンサ「Picoleaf(ピコリーフ、以下「本製品」)」を、スマートフォン向けとして初めて提供します。
本製品は、FCNT株式会社(本社:神奈川県大和市、代表取締役社長:髙田 克美、以下、「FCNT」)が2022年2月24日(木)にNTTドコモより発売予定のシニア向けスマートフォン「らくらくスマートフォン(F-52B)」に採用されました。
近年、買い物から医療機関の予約、そして行政手続きなど、さまざまな分野のサービスがネット上で提供されるようになりました。その一方で、日本を含む多くの国や地域では高齢化が進み、ネットサービスの利用に抵抗を感じるユーザ層も増えており、実体のある道具を使い慣れたシニア層にとって使いやすいスマートフォンのニーズが高まっています。
FCNTのらくらくスマートフォンでは、「らくらくタッチパネル」という独自のユーザ・インタフェースを採用し、画面上で「触れる」操作と「押す」操作を区別できるようにしています。表示されたボタンを押し込む操作を押圧センサで検知し、指先に実体感のある振動を伝えることで、実際のボタンと同様の確実で直感的な操作性を実現した技術です。しかし、らくらくスマートフォンを大画面化するにあたり、厚さの制限がある中での広範囲な押圧検知が難しく、従来の検出方式では「らくらくタッチパネル」の実現が困難でした。そこでFCNTと村田製作所にて共同開発を行い、当社の圧電フィルムセンサ「Picoleaf(ピコリーフ)」により大画面化に適応した新しい「らくらくタッチパネル」を実現しました。
村田製作所が独自の圧電技術により実現した本製品は、高感度の押圧検知が可能なフレキシブルで薄型のセンサです。省スペースでの実装が可能で、タッチパネルと併用することで、画面上のどの部分でも指の押圧の正確な検知に貢献します。「らくらくタッチパネル」では、大型パネルの裏面中央に本製品を貼りつけることで、画面全面の押圧を検知できるようにしています。従来センサと比較して薄型化、組立性・耐久性の向上なども同時に実現しています。
村田製作所は、本製品をはじめとする多様なセンサ製品の開発・供給を通じて、さまざまな電子機器のユーザ・インタフェースのさらなる進化に貢献していきます。
Picoleafの主な特長
- 機器の薄型化に貢献:ディスプレイやタッチパネルと組み合わせても省スペースでの利用が可能。
- 高感度:センサひとつで、大型ディスプレイ全面の押圧を検知可能。1μmオーダーの微小変位や、無意識の筋肉の動きである振戦※1、把持※2や脈拍など生体信号の検知にも応用できる。
- 非焦電性※3:体温や日照、半導体などの発熱による感度変動やノイズの発生が少ない。
- 低消費電力: センサ単体での消費電力は0であり、駆動用のアンプも低消費電流(10uA程度)で設計可能。
- 高い透明度(透明電極を使用した場合):ディスプレイの上面に貼ることも可能。
- フレキシブル構造:曲面を持つようなデザイン性の高い機器などにも曲げて貼り付け可能。
※1 手や頭、脚など体の一部に生じる無意識でリズミカルな震え。
※2 モノをしっかりと持っている状態。
※3 温度変化によって、分極しない物性。
Picoleafの主な応用
- 押圧検知(タッチパネルやシームレススイッチ)
スマートフォン・タブレット端末・完全ワイヤレスイヤホン(TWS)・ノートPC・ウェアラブルデバイス
- 把持検知
プロジェクタ用コントローラ・スタイラスペン・ウェアラブルデバイス
- 生体信号検知
完全ワイヤレスイヤホン(TWS)・補聴器・ウェアラブルデバイス
Picoleafの環境性能
本製品に使われている圧電フィルムは、植物から抽出したデンプンを発酵させて乳酸を作り、結合させたポリ乳酸を原料としています。植物は大気中の二酸化炭素を吸収してデンプンを合成しているため、本製品は化石資源を原料とする製品と比較して気候変動の原因とされる二酸化炭素の排出を抑制することから、カーボンニュートラルにも貢献します。
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