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Analog Devices News
日世、アナログ・デバイセズのADI OtoSense スマート・モーター・センサーを導入
アナログ・デバイセズ社は、日世株式会社(本社:大阪府茨木市、代表取締役社長:吉田 文治氏、以下:日世)が同社のソフトクリーム製造の乳化作業を行うホモゲナイザー*の不具合監視とメンテナンスに、アナログ・デバイセズのADI OtoSenseスマート・モーター・センサー(以下:SMS)を導入したと発表しました。SMSはAI学習機能を活用したモーターの予兆保全ソリューションで、装置の想定外のダウンタイム削減やメンテナンス費用の最適化に貢献します。
ホモゲナイザーのモーター冷却ファンに設置したADI OtoSense スマート・モーター・センサー(写真ご提供: 日世株式会社)
ソフトクリーム製造装置のモーター不具合監視とメンテンナンス効率改善に貢献
ソフトクリームミックス(液体原料)の製造工程で極めて重要な乳化は、ホモゲナイザーという専用装置で行われます。そのモーターに異常があると、製造停止や修復まで時間を要するなど、製造工程に大きな影響が出るほか、材料や製造時間のロスのみならず、製造経費面の損失負担が発生します。日世は、SMSをホモゲナイザーに設置し、そのモーターの振動、温度、磁束をモニタリングし、正常稼働に欠かせない重要ポイントを抑えることで、想定外の停止や様々な不具合の可能性を未然に防止できるようになりました。また、装置の定期メンテナンスにもSMSが収集するデータを活用しています。
日世株式会社のプレスト生産部 技術保全課 課長の村上 仁宏氏は、次のように述べています。「今までは、モーター駆動の撹拌機の大型ベアリングが故障した際、交換や修理の間、製造ラインを停止させたり、原料の受け入れを待機させたりすることがありましたが、このSMSによってベアリングの詳しい状態診断まで行うことができるので、トラブルを未然に防ぐことが可能になりました。なかなか信頼できるモーター震度センサーがなかったのですが、SMSは磁気センサーなど他にない特長があり、状態を正確に把握できる点が良いと思います。また、オンラインでWebのダッシュボードでどこからでも状態を見ることができる点も効率的です。
今回採用しているホモゲナイザーだけでなく、3台の大型ブロアモーターでもテストでき、個体差を把握しておくことも重要であることが分かりました。老朽化した設備の更新タイミングを検討するにあたって、データで性能を確認することができるので、老朽化をロジカルに説明できます。今後は原料水送水ポンプのモーターなど重要な製造工程のポンプモーターにも採用を検討しています」
SMSは、三相誘導かご型モーターに対応し、アナログ・デバイセズが独自開発した超高精度センサーを搭載したハードウェアと専用ソフトウェアで構成されています。設置は、バッテリー駆動のセンサーをモーターの冷却部分に取り付け、WiFi経由でスマートフォンから専用アプリで行います。使用開始後、AIによる一定期間の機械学習が自動的に開始され、センサーから集められた振動、温度、磁界データはパソコンやスマートフォンでモニターでき、異常があるとアラート通知されます。
SMSで検知可能なモーター異常は9種類で、それぞれ独立した0~10の健康値で分析されます。異常の発見や、定期メンテナンス、一定稼働時間毎のオーバーホールを、データを見ながら延長することで、ダウンタイムを防ぎながらメンテナンスコストの削減も可能です。また、常に最適効率でモーターを運用できるため、エネルギー損失の最小化や電力コスト削減を通して、お客さまのカーボンニュートラルに貢献します。
ADI OtoSenseスマート・モーター・センサーの詳細:
https://otosense.analog.com/ja/smart-motor-sensor/
本導入に際しては、アナログ・デバイセズ正規販売代理店の株式会社マクニカ アルティマ カンパニーがサポートを行いました。
*ホモゲナイザーとは食品、塗料、インク、化粧品、医薬品などの製造工程を想定して開発された乳化・均質機です。材料に高圧力をかけてホモバルブを通過させることで、液体中の粒子を小さく均一化します。
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