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CISSOID

EV静止摩擦インバータ開発への近道

世界各国の政府が将来的に石油およびディーゼル車の販売を早ければ2030年には停止することを視野に入れています。それにしたがい、市場調査の専門家Statistaは、電気自動車市場における収益は、今後4年間で17.02%という驚異的な成長率 (CAGR) となり、2027年までに予想される市場価値は8580億ドルになるだろうと予測しています。

これらの予測に伴い、自動車企業だけでなく、さまざまな交通産業が当然のことながら、e-パワートレーン設計の課題にいくつも取り組むという過去数十年で最も大規模な運営上の変更を導入する仕事に追われています。多くのオートエンジニアにとって、e-パワートレーン技術は新しい領域で、安全で効率的なソリューションを生み出すために莫大なリソースと時間がかかります。こここそ、カーボランダム (SiC) が大きな利益をもたらすことができる領域です。

EV技術の誰もが目を背けたがる問題は、ご存じのとおり範囲不安です。ここでの重点は主に電池容量ですが、ドライブトレーンおよび自動車システムの電子技術もまた、非常に効率的で過酷な状況下でもパワー最適性の高いパフォーマンス能力を証明できなければなりません。これがSiCが数多くの主要な機関から認知され、注目を集める所以です。たとえば、英国のAdvanced Propulsion Centreは、シリコンからカーボランダムベースのパワー電子技術へ移行することは、約10%の効率アップに繋がる可能性があると述べています。

SiCのこの特性によって、設計者は大幅なサイズ、重量、およびフォームファクターの縮小を生み出せるパワーシステムの設計も可能になります。しかし、これらすべての利点にも関わらず、エンジニアはSiCを使った設計は既存のシリコンMOSFETやIGBTを使ったものとは異なることに留意する必要があります。主な微差には、高速スイッチングでの安全な運行を進める特別な技術が使用が含まれています。

エンジニアリングリのソースのコスト削減および市場化時間の短縮のためには、完全に統一されたソリューションが必要です。CISSOIDのSiC静止摩擦インバータ開発プラットフォームは、この最大850V/350kWのドライブシステムの設計をサポートする需要に対応することができます。この参照設計の中核のコンポーネントには、SiCを完全に最適化した強力で温度に強いゲートドライバーによる3段階1200Vインテリジェントパワーモジュール、e-モーターコントロールパネルおよびカスタム可能なソフトウェア、DCおよび相電流センサー、コンパクトな液冷、専用に設計された高密度DCリンクコンデンサおよびEMIフィルタリングが含まれます。


EV静止摩擦インバータ開発への近道
表 1.CISSOIDの高電圧 SiC インバータ参照設計

これらの差し込み式ブロックのそれぞれにこのプラットフォームの包括的なキャパシティとモジュラー性を可能にする重要な役割があります。

CISSOIDの3段階液冷式の1200V SiC MOFSET IPM(図 2)は、SiC技術のすべての利点を利用でき、開発者は低スイッチングロスや高温運行によって高密度のパワーを実現することができます。変化する電圧/電流の要件にモジュラー性を取り入れ、CISSOIDのSiC IPMポートフォリオは340A~550Aまでの直流最大値のモジュールで構成されています。3つのカーボランダムMOSFETハーフブリッジ回路で構成されるIPMは、最先端のIGBTパワーモジュールと比較してスイッチングロスが少なくとも3倍軽減されます。



EV静止摩擦インバータ開発への近道
表 2.CISSOIDの3段階1200V 340A-550Aインテリジェントパワーモジュール (IPM) 

素早いスイッチングおよび低いロス率の利点を十分に活かすために、SiC MOFSETを扱うエンジニアには高速、強力、頑丈なゲートドライバーが必要です。ゲートドライバーとパワーモジュールを統合することにより、スイッチング速度およびロス、dI/dtおよびdV/dtに対する頑強さ、そして電力段の保護に関する十分に認証され、最適化されたソリューションをダイレクトに利用することができます。

CISSOIDの最適化されたゲートドライバーは、10A以上の高い最大電流を可能にし、周囲125°Cの運行キャパシティも実現しています。簡単に言うと、最適化されたゲートドライバーは、完璧なモジュールパフォーマンスと温度管理を実現するのに発生する、いくつもの反復を最小限に抑えるのを助けます。

SiCパワーモジュールの能力は、より素早いスイッチングと、より高い頻度での運行であり、これにはリアルタイムアルゴリズムをより高速に実行できるアクセスコントローラ技術の利用が不可欠です。

シリコンモビリティOLEA® T222 FPCUをベースにして、CISSOIDはリアルタイムプロセッシング、制御および機能の安全性(ISO 26262 ASIL-D対応)を可能にする自動モーター制御機器用のパネルを開発しました。制御ハードウェアおよびソフトウェアは、モーターポジション、電流、および温度センサーからのシグナルを効率的に処理します。特に、コントロールパネルとIMP間の機械と電子技術の統合は、開発者の作業工程のもうひとつのハードルを取り除くことができます。

このプラットフォームはSilicon MobilityのOLEA APP INVERTER制御ソフトウェア(図 3)と統合されており、エンジニアはOLEA COMPOSERの設計ツールを使用してモーター制御ソフトウェアの開発および最適化に要する時間を短縮することができます。


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表 3.Silicon Mobility OLEA APP INVERTER制御ソフトウェア

この他にも二つの設計上の特徴があります。一つ目に、CISSOIDは冷却用に3D印刷された冷却システムの参照設計と、パワーモジュールの高速評価を提供します(図 4)。二つ目に、当社はNAC SemiおよびAdvanced Converstionと協力し、超低インダクタンスおよびESRによる高密度DCリンクコンデンサを作り上げ、これによって開発者はSiC MOSFETの高速スイッチング機能を思う存分にご活用いただけます。



EV静止摩擦インバータ開発への近道
 表 4.CISSOIDのSiCインバータプラットフォームには、SiC IPM、コントロールパネル、小型冷液、および低ESL DCリンクコンデンサが含まれています。

最終的には、CISSOIDの独自のハードウェアおよびソフトウェアモジュラープラットフォームによって、たった数か月の間に超小型の効率的で非常に安全なSiCベースの静止摩擦インバータまたはアクティブ整流器の開発を可能にします。これにより、SiCインバータの開発にかかる期間は従来のOEMのタイムラインに対し1年~2年削減可能になります。

 

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