キーサイト、衛星通信向けのフェーズドアレイ・アンテナ制御および校正ソリューションを発表
このソリューションにより、アクティブ・アンテナ・アレイ素子の周波数、利得、位相特性を最適化することで、信号のポインティング精度が向上。
キーサイト・テクノロジーズ・インク は、新しいフェーズドアレイ・アンテナ制御と校正ソリューションを発表しました。このソリューションは、衛星通信アプリケーション用のアクティブ電子走査アレイを開発する衛星設計者が、初期検証時に設計を迅速にテストすることが可能な画期的な無線(OTA)による校正および特性評価ソリューションです。
最新の衛星ネットワークは、より高い周波数で運用され、次世代衛星通信のユビキタス接続やセンシング要件を推進しているアクティブフェーズドアレイ・アンテナシステムを採用しています。フェーズドアレイ・アンテナは、電子的手段を使用して、ビームを正確な位置に誘導することで全体的な信頼性を向上させます。こうした高度に統合されたシステムのテストは、複雑で時間のかかる作業です。設計者や製造者は、フェーズドアレイの性能を迅速かつ効率的に校正・検証するために、高速なOTAテストを必要としています。
キーサイトはこのニーズに応え、アクティブアンテナアレイ素子の周波数、利得、位相応答を最適化することで、指向性確度とサイドローブ除去を改善し、フェーズドアレイ・アンテナへの干渉の影響を低減する柔軟な測定ソリューションを提供します。
フェーズドアレイ・アンテナ制御と校正のソリューションには、以下のような利点があります。
- 独自のフェーズドアレイの校正アルゴリズム - 間接遠方界(Indirect Far-Field:IFF)テスト環境で、テスト対象の単一フェーズドアレイ素子の利得と位相の測定を高い確度で実現します。無線周波数(RF)テスト装置、アンテナ位置決めシステム、フェーズドアレイ制御ハードウェアの高速同期と組み合わせることで、これらのアルゴリズムはフェーズドアレイの校正時間を数分間に短縮します。
- 広範囲にわたる検証テスト - 利得および位相の高速校正、等価等方放射電力(EIRP :Equivalent Isotropic Radiation Power)、放射パターン対ビームスキャン角度、ビームスキャンおよびレンジ損失、交差偏波アイソレーション、利得圧縮、ゲイン-ノイズ温度(G/T)、変調歪み(EVM:エラーベクトル振幅)などが含まれます。
- 統合ソリューション - 被試験アンテナを制御する使い勝手の良い単一のソフトウェアインタフェース、キーサイトの高性能テスト機器、キーサイトの小型アンテナテスト・レンジポジショナーおよび温度制御ユニットを備えています。
- 既存の試験チャンバーを最大限に活用 - PNA-Xベクトル・ネットワーク・アナライザとフェーズドアレイ・アンテナ制御と校正ソリューションを既存の電波暗室に追加して改造できます。
フェーズドアレイ・アンテナ制御および校正のソリューションは、キーサイトのアンテナ測定ツールセットの一部であり、包括的なアンテナ測定ツールセットをエンジニアに提供します。この中には、周波数応答、極座標または全球アンテナパターンなどのさまざまな非シグナリング・アンテナ測定を提供するオプションや、2Dおよび3Dグラフィカル表示するための関連ポスト処理ソフトウェアも含まれます。
アナログ・デバイセズ社の航空宇宙・防衛RF製品担当ゼネラルマネージャーであるグレッグ・ベル氏は、次のように述べています:「フェーズドアレイは、パラボラアンテナを超える重要な機能を提供する、最新の衛星通信システムを実現する技術です。テスト時間が長く製造が複雑になるといった可能性を克服するために、キーサイトはこの迅速なテストと校正のソリューションを提供します。当社は、イノベーションを継続的に推進し、これらのフェーズドアレイ・アンテナ・ソリューションの開発とコストを大幅に削減できるパートナーと協力できることを誇りに思っています。」
キーサイトの航空宇宙防衛および政府ソリューショングループのゼネラルマネージャーであるGreg Patschkeは、次のように述べています:「フェーズドアレイ・アンテナ技術が商用衛星通信や軍事衛星通信に急速に採用され、ミッション達成のためにシステムを迅速かつ正確に校正できる自動テストツールの必要性が高まっています。新しいフェーズドアレイ・アンテナ制御と校正ソリューションは、複雑で時間のかかるアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナの校正プロセスを、数時間・数日から数分に短縮します。」
リソース
キーサイト S7601A アンテナ測定ツールセット
www.keysight.com