ルネサス、クラス最高の消費電力を備えた新しいエントリーレベルのRA0 MCUシリーズを発表
低コストのデバイスは、家庭用電化製品、小型家電、産業用システム制御、ビルディングオートメーションを対象としています。
業界最小クラスの消費電力を実現したRA0シリーズを発表
ルネサス エレクトロニクス株式会社 は、Arm® コアを搭載する32ビットマイコンRAファミリを拡充し、低消費電力を特長とするローエンドの「RA0」シリーズを発表しました。そして本日より、コスト重視のアプリケーションをターゲットに、RA0シリーズ第一弾となる「RA0E1」グループ発売、量産を開始しました。
RA0シリーズは、動作周波数32MHzのCortex®-M23コアを搭載し、32ビットの汎用マイコンとしては業界最小クラスとなる低消費電力を実現しました。具体的には、アクティブモードで84.3µA/MHz、スリープモードで0.82mA、ソフトウェアスタンバイモードでは0.2µAの低消費電流を達成しました。これに高速オンチップオシレータ(HOCO)を組み合わせることでスタンバイモードからの高速起動が可能です。これらにより、バッテリ駆動の民生用電子機器や小型家電、産業機器、ビルディングオートメーション(BA)などの低消費電力化に貢献します。
今回発売するRA0E1グループは、コスト重視のアプリケーション向けに機能を最適化しました。動作電圧が1.6V~5.5Vと広いため、5Vシステムでのレベルシフタやレギュレータが必要ありません。また、シリアル通信、アナログ機能、安全機能、HMI機能を搭載しているため、BOMコストを低減します。加えて、内蔵のHOCOは±1.0%の高精度のため、外部オシレータを使用せずに、通信のボーレート精度を維持することができます。これにより、コストと実装面積の削減が可能です。さらに、-40℃~105℃の環境下で±1.0%の高精度を維持し、リフロー工程後でも精度が保証されるため、時間のかかる「トリミング(精度調整)」の必要がなく、製造コストの低減にも貢献します。
RAファミリの製品ポートフォリオ
さらにRA0E1は、動作の異常を診断できる安全機能として、IEC60730に準拠した自己診断ライブラリも用意しています。セキュリティ面でも、真性乱数発生器(TRNG)やAES暗号化ライブラリに対応しています。パッケージは、3mm x 3mmのコンパクトな16ピンQFNから7mm x 7mm の32ピンQFPまで、多彩なラインナップを提供します。
RA0E1グループの主な特長
- CPU: 動作周波数32MHzのCortex-M23
- メモリ: 最大64KB(キロバイト)のコードフラッシュメモリと12KBのSRAM
- アナログ: 12ビットA/Dコンバータ、温度センサ、内部基準電圧
- 通信: UART×3、非同期UART×1、簡易SPI×3、I2C×1、簡易I2C×3
- 安全: SRAMパリティチェック、不正メモリアクセス検出、周波数検出、A/Dテスト、イミュータブルストレージ、CRC演算機能、レジスタ書き込み保護
- セキュリティ: ユニークID、TRNG、フラッシュリードプロテクション
- パッケージ: 16/24/32ピンQFN、20ピンLSSOP、32ピンLQFP
RA0E1のソフトウェア開発には、ルネサスのFlexible Software Package(FSP)を利用できます。FSPは、さまざまなRTOSやBSP(Board Support Package)、周辺ドライバ、ミドルウェア、コネクティビティ、ネットワーク、セキュリティスタックなどの基本ソフトウェアに加え、複雑なAI、モータ制御、クラウドソリューションを構築するためのリファレンスソフトウェアなどを提供することで、迅速なアプリケーション開発を実現します。ユーザは独自のソフトウェアコードや所望のリアルタイムOSをFSPに統合することができるため、アプリケーション開発に柔軟性を持たせることができます。FSPを使用すれば、RA0E1から他のRAシリーズへの移行も容易です。
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