ルネサス、AMDの宇宙用Versal AIエッジ アダプティブSoC向けに、電圧監視付きパワーマネジメントリファレンスデザインを提供開始
直感的なGUIにより、費用対効果の高い電源構成とシステム監視を実現する宇宙用パワーマネジメントソリューション。
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AMD宇宙用Versal AI Edge Adaptive SoC向けパワーマネジメント参照設計
ルネサス エレクトロニクス株式会社は、AMD Versal™ AI Edge Adaptive SoC「XQRVE2302」向けに宇宙グレード電源管理リファレンス デザイン「ISLVERSALDEMO3Z」の提供開始を発表しました。AMD と共同で開発されたこのリファレンス デザインには、宇宙グレード電源管理デバイスが統合されています。厳しい電圧許容範囲、大電流、高効率な電力変換を必要とする次世代航空宇宙システム向けに、耐放射線性セラミックおよびプラスチック パッケージは、幅広い電源レールをサポートするように特別に設計されており、コスト効率の高い AI エッジの実現に役立ちます。
本リファレンスデザインは宇宙環境に完全に対応しているため、衛星ペイロードに難なく使用することができます。PMBusインタフェースを備えており、故障時の動作、保護、出力レギュレーション電圧を制御できます。また、システム診断用に内部信号のテレメトリ読み出しも可能です。情報伝送を最適化する優れた電源構成であり、業界屈指の宇宙用パワーマネジメントシステムです。このリファレンスデザインのパワーマネジメントソリューションは、出力電力に関して容易に拡張可能であり、長期にわたる設計と認定に対する投資を最適化します。
地球低軌道(LEO)衛星が増加するにつれて、低コストの宇宙用システムへのニーズも急速に高まってきています。これまではSWaP(サイズ、重量、消費電力)の低減だけを気にしていたユーザが、ここにきてコストを加えたSWaP-Cの低減にも注目し始めています。ルネサスが開発した新しいリファレンスデザインは、これらの要素全てに対応しており最適です。例えば宇宙グレードのプラスチックパッケージによってサイズ、重量、コストを削減し、ワイドバンドギャップのGaN FETによって高効率な電力変換が可能になります。
AMDの新しい宇宙用Versal AIエッジ アダプティブSoC「XQRVE2302」は、センサの生データを有益な情報に変換できるため、異常や画像を検出する用途に最適です。基板面積を従来の約75%縮小し、他のデバイスより電力を節約します。また、機械学習(ML)用途向けに最適化された高度なAMD AI Engine(AIE)テクノロジー(AIE-ML)も搭載しています。他の製品とは異なり、再プログラミングの回数制限もありません。
ルネサスの耐放射線ビジネスのマーケティング&アプリケーション担当シニアダイレクターであるJosh Brolineは次のように述べています。「AMDと協力して、宇宙分野のお客様が抱える切実な課題に対応するこの先進的なソリューションを提供できることを誇りに思います。このリファレンスデザインは、ルネサスの優れたパワーマネジメントのノウハウを生かしてSWaP-Cの目標を叶え、リアルタイムにシステム監視と制御を可能にし、AIの力を引き出します。」
AMDのAerospace & Defense Vertical Marketのsenior director であるMinal Sawant氏は次のように述べています。「Versal™ AIエッジ アダプティブSoC 『XQRVE2302』は、急成長する宇宙市場向けに、かつてない機能と性能を提供します。ルネサスが高度なパワーマネジメントICを提供することで、お客様がこのソリューションを最大限に活用できるようになるのは喜ばしいことです。」
ルネサスが提供する新しいパワーマネジメントリファレンスデザイン「ISLVERSALDEMO3Z」には、耐放射線製品としてテスト、評価済みの各種パワーマネジメントデバイスが搭載されています。例えば、パルス幅変調(PWM)コントローラ、GaN FETハーフブリッジドライバ、ポイント・オブ・ロード(POL)レギュレータ、パワーシーケンサなどが含まれます。これらのデバイスは小型パッケージのため、コアとなるパワーコンポーネントの基板面積はわずか67cm2です。
また、本リファレンスデザイン「ISLVERSALDEMO3Z」は、14ビット分解能の電圧監視リファレンスデザインパック「ISL71148VMREFEV1Z」ともフラットケーブルにより簡単に接続でき高精度な電圧監視として、Versal™ AIエッジ アダプティブSoCに必要な11のコアパワーレール全てを正確にモニタします。分解能が高いため、システム監視の信頼性も向上します。また、耐放射線プラスチックパッケージと耐放射線セラミックパッケージの両方に対応します。
なお、新しいリファレンスデザインは、7月22日~26日にカナダのオタワで開催されるIEEE Nuclear & Space Radiation Effects Conference(NSREC)のルネサスブース(#427~429)で紹介する予定です。
ルネサスのインターシルブランドは、60年以上に渡る長い歴史を誇ります。事実上、ほぼ全ての衛星、シャトル打ち上げ、深宇宙探査ミッションにインターシルブランドの製品が使用されてきました。ルネサスは、この経験を活かして、高効率で熱的に最適化された信頼性の高いSMD、MIL-STD-883、MIL-PRF 38535 Class-V/Qのインターシルブランドの製品を、防衛市場や高信頼性(Hi-Rel)市場、および耐放射線の宇宙市場向けに提供しています。これらの耐放射線ICは、データ通信、電源供給、電源管理、一般的保護回路、地球からの追跡・監視・制御(TT&C)といったミッションクリティカルな用途でサブシステムをサポートしています。詳しくはこちらをご覧ください。
リファレンスデザインパック「ISLVERSALDEMO3Z」と「ISL71148VMREFEV1Z」はいずれも販売中です。このパックには、回路図、部品表、PCBガーバーファイルなど、ユーザがシステムへの迅速な統合を行うために必要な設計情報が全て含まれています。
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