村田製作所、世界初の高精度自動車用水晶振動子を開発
HCR/XRCGE_M_F シリーズは、広い温度範囲で ±40 ppm の周波数精度を実現し、キャリブレーションの必要がなくなり、車載機器のパフォーマンスが向上します。
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村田製作所は、-40~125℃の広い動作温度範囲で±40 ppmの高精度周波数偏差を実現する世界初 の車載用水晶振動子「HCR/XRCGE_M_Fシリーズ」を開発しました。本製品は既に量産を開始しています。
自動車の電装化・高機能化により、TPMS やRKE、wBMS などのシステムでBluetooth® Low Energy(BLE)やZigBee™といった通信規格を利用した機器が多く搭載され、各機器から発される複数の無線通信が交錯する状況になりつつあります。このような環境下においては、各通信規格が使用する電気信号の周波数を正しく受信し、IC間の通信エラーを避けるために、搭載機器のIC間で信号送信タイミングを正確に同期させる必要があります。このことから、安定したクロック信号 を発生させる高精度なタイミングデバイスが求められています。
方で、従来のタイミングデバイスでは使用される水晶発振子一つ一つで周波数精度の個体差があり、さらに実装後に車載機器が使用される温度になると水晶発振子の周波数が変化してしまうため、通信規格で求められる周波数精度を逸脱する課題がありました。そのため、車載機器の生産工程で、求められる周波数精度内に収めるために、無線制御ICに補正係数を書き込むキャリブレーション工程が必要でした。このキャリブレーション工程にかかる時間とコストが課題になっています。
そして近年では、車載機器自体の小型化による搭載部品の高密度実装と高性能ICの採用により、基板回路の温度上昇も課題になっています。このことから、高精度かつ高温にも対応した電子部品が求められています。
そこで当社は、当社独自の水晶原石と振動子の設計最適化により、-40〜125°Cの広い使用温度範囲で周波数偏差±40ppmの高精度を実現した世界で初めての当製品を開発しました。これにより、車載機器の生産過程で必要だったキャリブレーションをすることなく車載機器の安定した動作に貢献します。
当社は今後も、市場のニーズに対応した水晶振動子の開発に取り組み、自動車の高機能化に貢献していきます。
主な特長
1. 高精度と広範な使用温度範囲を両立
-40〜125°Cの広い使用温度範囲で周波数偏差±40ppmの高精度を実現した世界初の自動車向け水晶振動子。
2. 高信頼性と低故障率の実現
当社独自の樹脂封止のパッケージにより、有機系異物に加え、無機系異物のスクリーニングが可能であるため、高品質個体のみ出荷。
3. 安定した供給体制の確立
当社独自のパッケージ構造により、複数のサプライヤからの部材調達による安定生産が可能。
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