耐環境性に優れたIoTデバイス向けWi-Fi HaLow 対応通信モジュールを開発
村田製作所は、1kmを超える長距離高速データ転送を可能にするHaLow Wi-Fi規格に対応した2HK-2HL型通信モジュールを開発しました。
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同製品は、Arm Cortex-M3プロセッサを採用したNEWRACOM NRC7394チップセットを搭載しており、2025年後半に量産開始を予定しています。
さまざまな産業でDXが進む中、IoT端末の設置が加速し、大容量のデータを高速かつ長距離で転送する需要が高まっています。しかし、その要求に応える無線通信技術は多くありません。そうした中で注目されている通信規格がWi-Fi HaLowです。
今回、当社はWi-Fi HaLowに対応した表面実装タイプの無線モジュールを開発しました。出力強化用パワーアンプ搭載の「Type 2HK」と非搭載の「Type 2HL」の2品種です。これらは、当社が培ってきた設計・実装・生産・品質管理技術によって実現された、耐環境性に優れ、故障が少ないモジュールです。また、量産時には1台ずつ出力調整を行うため通信出力にばらつきがなく、多様なユースケースでの利用が想定されるIoTデバイスにおいて安定した通信を実現します。さらに、チップセットにはWi-Fi HaLow向け半導体チップで業界をリードするNEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載しています。
NEWRACOM社 CEO and ChairmanのSok Kyu Lee氏のコメント:
「NRC7394チップセットは、IoTアプリケーション向けのWi-Fiの未来を象徴しており、低消費電力と拡張された通信範囲を備えています。私たちの技術を村田製作所の新しいモジュールに統合することで、信頼性が高く効率的な無線通信を実現する強力なプラットフォームを幅広い産業に提供しています。このモジュールが次世代IoTソリューションの採用促進に寄与することを楽しみにしています。」
当社は、今後も市場ニーズに対応した高品質かつ高信頼性の製品ラインアップの拡充に取り組み、技術革新に貢献していきます。
主な特長
1. 長距離通信と低消費電力の実現
Wi-Fi HaLowは、一般的なWi-Fiが利用する2.4GHz帯や5GHz帯とは異なるサブ1GHz帯(900MHz帯)を使用しているため、1km以上での高速通信が可能です。この特性により、データ転送時の消費電力を大幅に削減できるため、高効率なデータ通信環境を提供します。
2. Wi-Fi/IP通信プロトコルをそのまま利用可能
Wi-Fi HaLowは、IP(Internet Protocol)を利用する通信規格であるため、既存のWi-Fiソリューションを置き換えて、長距離データ転送を可能にするIoTネットワークを構築することが可能です。
3. 低コストなプライベートネットワークが構築可能
Wi-Fi HaLowを利用して構築するネットワークでは、通信キャリア管理下の基地局を利用する必要がありません。このため、通信コスト削減が図れ、ユーザーによる独自管理も可能になります。
4. NEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載
チップセットにはWi-Fi HaLow向け半導体チップで業界をリードするNEWRACOM社の最新チップ「NRC7394」を搭載しています。
5. 優れた耐環境性を実現
産業機器で求められる-40~+85℃の動作温度に対応し、厳しい耐環境試験にも合格した高信頼性のモジュールです。
6. 安定した通信を実現
1台ずつ出力調整を行い出荷することで、多様なユースケースや場所での利用が想定されるIoTデバイスにおいて安定した通信を可能にします。
7. 電波法認証取得済み
北米と日本での電波利用に向けた認可を取得予定です。そのため、別途認可取得作業を行う必要がなく、IoTデバイス設計プロセスを合理化し、市場投入までの時間短縮にも寄与します。
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