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REDEXのラック&ピニオン駆動、冷却オプションで工作機械の最新トレンドに応える

 送り速度をはじめとする運動性能を高めて工作機械の生産性を向上しようという、その可能性は特に複合加工機に対するニーズの高まりを考慮すると限界に達しつつあります。これを乗り越えていくには、設計戦略と技術の両面でのパラダイムシフトが必要です。

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REDEXのラック&ピニオン駆動、冷却オプションで工作機械の最新トレンドに応える
 REDEXグループでは、冷却を最適化した高精度な駆動ソリューションをもとに、設計エンジニアの皆様が複合加工機の生産性をいっそう向上できるようにご支援しています。そうして前進を続けることで、競争の激しい世界市場でより大きなシェアを獲得するポテンシャルを引き出しています。

少し前まで、フライス盤のテーブルはもっぱら角物部品の穴あけやタッピング加工に使い、丸い形状は低速な旋削で加工していました。ところが現在では複合加工機によって、高速に旋削したうえ、その同じ機械上でフライス加工や穴あけを施して円筒部品を製造することができるようになりました。これは段取りが1回で済むことから、そのまま生産性の向上につながります。

しかしながら、この生産性の向上にともなって熱的な制約が発生します。より大きなトルクと高速な運動に必要となる動力が従来の駆動機器で許容できる限度を超えてしまうため、機械の精度低下につながる温度上昇の問題が生まれるのです。

これを回避して卓越した複合加工機を開発するには、駆動機器の種類と工作機械構造の適合をはかり、必要とされる性能・汎用性・精度の向上を達成しなければなりません。しかし、それには技術的な変革も求められます。

モータメーカーはすでに空冷あるいは水冷式のモータを提供しており、許容できる動作温度を維持しながら高速な連続回転を可能にしています。これに応えるかたちでREDEXは数年前から、効果的な放熱を保証して、エンドユーザーが複合加工機に期待する精度に応じた動作温度を保てるように駆動機器のための冷却オプションを開発してきました。


REDEXのラック&ピニオン駆動、冷却オプションで工作機械の最新トレンドに応える

その中核を担うのがラック&ピニオン
新しい工作機械に適した駆動ソリューションを選択する場合には、ダイレクトドライブ・モータ(リニアモータ)、ボールねじ駆動、ラック&ピニオン駆動という3つの選択肢があります。

ダイレクト・ドライブ(リニア)モータは、電磁石やケーブル、補助冷却ユニットにともなうコストから、ほとんどその負担を賄いきれないものになっています。さらに、サーボモータに比べて消費電力が大きいことも、選択肢としてはあまり魅力的でありません。

一方のボールねじ駆動は現在、一般的な工作機械市場で広く採用されていますが、設計面でいくつか制約があり、複合加工機に求められる生産性と性能にふさわしいかには疑問が呈されています。たとえば、ボールねじでは反復的かつ局所的な動作にともなって発熱が増加し、それによる熱膨張に起因した位置決め誤差が発生するからです。こうした好ましくない影響から、ISO 230-3:2020-6に規定の熱変形試験に工作機械構造が準拠できるかどうかに懸念が残るかもしれません。

このような側面を考慮すると、大型の複合加工機における送り機構の熱変形挙動をコントロールするうえではラック&ピニオン駆動が最適なソリューションであることがわかりつつあります。非常にダイナミックで高負荷な運動が必要な場合、設計エンジニアの皆様にはREDEXの冷却を最適化した最新ラック&ピニオン駆動に多くの利点を見出していただけるでしょう。

たとえばメリットとして、送り速度に関係なく、ピニオンとラックの接触部の温度が低いことが挙げられます。さらに、ラックとピニオンは低速で噛み合うため、送り速度が大きい場合でも限界となる速度はありません。さらに、セグメント化したラックを使用したモジュール式であり、ストロークの長さにも制約がないうえ、位置によらず一定の高い剛性をもつなどの強みもあります。

冷却式ラック&ピニオン駆動システムなら、ボールねじや非冷却のラック&ピニオン駆動を利用した場合に生じるかもしれない金属の熱膨張が見られず、工作機械における直動運動の取り扱いが容易になります。


REDEXのラック&ピニオン駆動、冷却オプションで工作機械の最新トレンドに応える

高負荷でも低温に保つ
REDEXが考案した特別な冷却オプションは、複合加工機のような非常にダイナミックな工作機械の駆動系を温度上昇から保護します。こうした技術で当社が優れているのは、数十年にわたる経験に基づいているからです。実際、今から約40年も前にREDEXは工作機械の高速・高トルク主軸駆動用の水冷式2段減速機のパイオニアとなりました。また、モータと主軸を一体化した場合に適切な動作温度を維持するため、中空軸を備えた円筒型の減速機の提供を始めた最初のメーカーでもあります。この減速機では、最高回転数が12,000 rpmにおよぶにもかかわらず、工作機械の主軸とモータよりも動作温度上昇(ΔT)が約10℃も低くなりました。

REDEXは、放熱能力をもつ冷却回路をモータと減速機に統合し、最新世代のギヤードモータに合わせて現在のような技術的発展をはかってきました。一方、工作機械メーカーは、動作温度を極めて低く維持することで、ミル-ターン複合加工機の精度に必要な主軸構造の安定性を実現しています。

これに対しREDEXにも、工作機械メーカー各社の具体的な要求に応じて設計・実装したソリューションの実績が多数あります。そうした当社のソリューションはいずれも、厳格な体系的試験プロセスに加えて、完全なすべての温度チェックとギアボックス定格出力の検証からなる運転試験を行っています。そのうえさらにREDEXは、正確なシミュレーションをサポートするデジタル・ツインを使ったモデリング・システムも開発しました。

最高のパフォーマンスを
遊星歯車減速機の公称定格出力は、さまざまな速度における負荷レベルと想定する耐用年数に従って、軸受と歯車の理論的な負荷容量から求めます。そこでREDEXの設計エンジニアは、減速機の動作温度、特にその熱挙動と効率を予測できる数値モデルを開発しました。このモデルでは、任意の構成のシステムにおいて、その連続(熱)出力に対応したトルク曲線の外挿が可能です。高精度な遊星歯車減速機REDEX RPシリーズなどに対する徹底した試験プログラムにより、理論データと実験データの相関性が実証されています。

このアプローチにより、REDEXは動作温度の限界を予測・評価して、最適な放熱ソリューションを提案するとともに、最適な冷却方法を決定することができるようになりました。

そのREDEX RPシリーズには、標準仕様とオプション仕様の2つの冷却レベルがあります。標準仕様の構成は非常に効果的な外部強制潤滑のかたちになっており、潤滑油を閉ループ内で再循環させ、油/水または油/空気の熱交換器を介して放熱できるようにして冷却します。また、市場における差別化の重要なポイントとして、REDEXは標準的に円筒歯車(ピニオン)と直線歯車(ラック)の両方のソリューションに穴を設け、冷却液の内部循環が容易に行えるようにしています。


REDEXのラック&ピニオン駆動、冷却オプションで工作機械の最新トレンドに応える

アプリケーションの要求が駆動機器の熱容量を超える場合は、REDEX RPシリーズの標準冷却仕様が理想的です。これが大型の複合加工機の駆動機器を冷却するうえで最もシンプルかつ費用対効果に優れた選択肢であるからです。なにより、こうしたソリューションはREDEXでなければご提供できません。

一方、オプション仕様では、ソリューションに冷却ジャケットを設けます。この冷却ジャケットによってシステムのサイズ・重量・コストは増加しますが、特定の用途では非常に有効なことがあります。

いずれの場合でも、技術力の非常に高いREDEXのエンジニアリング部門が、その数十年にわたる実際の経験に基づいて、工作機械のための減速機とそれにともなう冷却オプションについてアドバイスいたします。

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