日立エナジーが世界初の 765kV 天然エステル絶縁油入変圧器の試験に成功

日立エナジーは、765kV/400kV 単相 250MVA の天然エステル絶縁油入変圧器の試験に成功しました。同電圧・容 量において天然エステル絶縁油を使用した変圧器は世界初*1 であり、天然エステル絶縁油入変圧器として世界最大規 模*2 のものです。従来、変 器には絶縁・冷却媒体として鉱油が使用されてきましたが、近年は安全性と環境負荷の観 点から、天然エステルなどの代替油の使用が進んでいます。今回試験した 765kV 変圧器に用いた天然エステルは、引 火点が鉱油の 2 倍と高く、自己消火性も備えてい から、鉱油を用いた変圧器と比較して高い安全性を有します。さらに、天然エステルは 28 日以内に最大で 100%生分解されるため、絶縁油の漏えいによる環境汚染リスクを低減しま す。当社は、天然エステル油入変圧器の提供を通じて、超々高圧交流系統の安全性と環境性能向上を支援します。
*1*2 2025 年 5 月 19 日時点 日立エナジー調べ

変圧器は送電網における重要な構成機器であり、電力が発電所から最終消費地に届くまでに、平均 4 台から 5 台 の変圧器を通過します。765kV 変圧器は大容量・長距離の送電に用いられ、送電網の効率性・安定性・信頼性向上 に寄与することから、電力需要増加に向けた送電網の整備において重要な役割を担います。一般的な三相 765kV 変 圧器は、人口 25 万人規模の都市に電力を供給可能です。765kV の超々高圧交流送電は、北米、南米、南アフリ カ、中国をはじめとするアジアなど、世界各地の送電網で使用されています。

日立エナジーの変圧器ビジネスユニット担当役員のブルーノ・メレスは、「世界的なエネルギー転換の加速と電力需要の 継続的な増加により、革新的な変圧器の供給の重要性が増しています。環境への配慮がとくに求められる地域におい て、超々高圧の天然エステル絶縁油入変圧器は、送電網運用者にとって効率的かつ安全なソリューションとなります。当 社は、既存の超々高圧送電インフラのアップグレードや、新しいエネルギープロジェクトの開発において、お客さまやパートナー と緊密に連携しています。」と述べています。

当社は、20 年以上にわたり天然エステル絶縁油入変圧器を供給しており、40 カ国以上の納入実績を有しています。 本変圧器は、当社の変圧器の破損耐性技術「TXpandTM*3」により、安全性がさらに強化されています。 また、今回の変圧器の設計・製造・試験により、日立エナジーの変圧器技術プラットフォームである TrafoStar*4 はより強化されます。本プラットフォームは、変圧器の設計・製造プロセス・品質管理を、当社の世界中の工場で統一すること で、変圧器製造における一貫性と優れた品質を保証します。これまでに 30,000 台以上の変圧器を本プラットフォームを 活用して製造しており、材料・技術・製造・品質に関する厳格な品質システムにより、世界全体での知識共有とイノベーションを推進しています。
*3 TXpandTM | Hitachi Energy (英語サイト) *4 TrafoStar | Hitachi Energy (英語サイト)

日立エナジーについて
日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来を支える革新的な送配電網技術を提供する、グローバルな技術リーダーです。当社の技術は、30 億人以上の人々の生活を支えています。高電圧機器、変圧器、自動化、パワーエレクトロニクスなどのミッションクリティカルな技術を 100 年以上に わたって提供しており、電力システムの脱炭素化と電力需要の急増への対応という、エネルギー分野の喫緊の課題に取り組んでいます。140 カ国以 上の豊富な導入実績を有し、電力、産業、運輸、データセンター、インフラの各分野のお客さまと、長期的なパートナーシップを築いています。スイスに 本社を置き、60 カ国に 50,000 人以上の従業員を擁しており、約 2 兆 4,000 億円の事業規模を有しています。