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業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC

ローム株式会社(本社:京都市)は、大電力を扱う汎用インバータやACサーボ、業務用エアコン、街灯などの産業機器に向けて、1700V耐圧SiC MOSFET*1内蔵AC/DCコンバータ*2IC「BM2SC12xFP2-LBZ」を開発しました。

業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC
  • 「BM2SC12xFP2-LBZ」を開発
  • 工場での実装コストを大幅削減しながら、
  • 産業機器に劇的な小型・高信頼・省電力ソリューションを提供

<要旨>
新製品は、圧倒的な省電力性能を誇るSiC MOSFETと、産業機器の補機電源*3に最適化された制御回路を、業界で初めて小型面実装パッケージ(TO263)に1パッケージ化したICであり、省電力AC/DCコンバータの開発を容易にします。従来できなかった基板への自動実装を可能にするとともに、交流400V、48W出力までの補機電源に採用した場合、一般品採用の構成と比較して劇的な部品点数削減(12製品と放熱板を1製品に削減)を実現。部品故障リスクも低減したうえで、SiC MOSFETによる最大5%の電力高効率化を達成します。このため、工場での実装コストを大幅削減しながら、劇的な小型・高信頼・省電力ソリューションを提供可能です。

新製品は2021年5月よりサンプル出荷(サンプル価格 1,500円/個:税抜)を行っており、2021年10月から当面月産10万個の体制で量産を開始する予定です。なお、新製品と評価ボード「BM2SC123FP2-EVK-001」のインターネット販売も開始しており、チップワンストップ、コアスタッフオンラインオンラインから購入することができます。

今後もロームは、SiCなど先進的なパワー半導体*4と、最先端のアナログ制御ICを開発するとともに、それらを最適化したソリューションを提供することで、産業機器の省電力化やシステム最適化に貢献していきます。

<背景>
近年、省エネ意識の高まりから、交流400Vを扱う産業機器において、高電圧対応、省電力化、小型化が可能なSiCパワー半導体の採用が進んでいます。一方、産業機器には、メインの電源回路に加えて各種制御システムに電源電圧を供給する補機電源が内蔵されていますが、設計工数の観点から、そこには耐圧の低いSi-MOSFETや損失の大きいIGBTが依然として広く採用されており、省電力化に大きな課題がありました。
ロームは、これらの課題に対し、2019年に高耐圧・低損失のSiC MOSFETを内蔵した、挿入パッケージのAC/DCコンバータICを開発するなど、業界に先駆けてSiCパワー半導体の性能を最大限に引き出すICを開発しています。


業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC


業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC

<新製品の特長>
「BM2SC12xFP2-LBZ」は、1700V耐圧SiC MOSFETと、その駆動用ゲートドライブ回路など産業機器の補機電源向けに最適化された制御回路を、1パッケージに内蔵しています。以下の特長を実現することで、省電力AC/DCコンバータの開発を容易にし、工場での実装コストを大幅削減しながら、産業機器に小型・高信頼・省電力のソリューションを提供します。


業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC

1.業界初、48Wまで対応可能な面実装パッケージ製品で、工場での実装コスト削減に大きく貢献
新製品では、SiC MOSFET内蔵のために開発された面実装パッケージ「TO263-7L」を採用しています。小型でありながら、大電力を扱うパッケージの安全性(沿面距離)を十分に確保しており、面実装パッケージ製品として放熱板なしに48W(24V、2Aなど)出力まで対応可能です。この範囲の製品で従来実現できなかった、機械による基板への自動実装を可能にすることで、部品点数削減の利点と合わせて工場での実装コスト削減に大きく貢献します。

2.最大12製品と放熱板を1製品に削減し、圧倒的な小型化を実現
新製品は、1パッケージ化により、一般的なSi-MOSFETを採用したディスクリート部品構成に対して、最大12製品(AC/DCコンバータ制御IC、800V耐圧Si-MOSFET×2、ツェナーダイオード×3、抵抗器×6)と放熱板を1製品にするという劇的な部品点数削減を実現します。またSiC MOSFETが、高耐圧で高電圧ノイズに強いことから、ノイズ対策部品も小型化できます。


業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC

3.工数・リスクを減らすとともに保護機能も搭載し、劇的な高信頼化を実現
新製品は、1パッケージ化したことで、クランプ回路やドライブ回路の部品選定や信頼性評価の工数削減、部品故障リスクの低減、SiC MOSFET採用に対する開発工数削減などを一気に実現することが可能です。また、SiC MOSFET内蔵により実現できた高精度な過熱保護(Thermal Shutdown)のほか、過負荷保護(FB OLP)や電源電圧端子の過電圧保護(VCC OVP)、過電流保護、二次側電圧の過電圧保護などの各種保護も搭載するなど、連続駆動を行う産業機器の電源に必要とされる多彩な保護機能を搭載し、高信頼化を実現しています。

4.SiC MOSFETの性能を引き出し、劇的な省電力化を実現
新製品に搭載されたSiC MOSFET駆動用ゲートドライブ回路が、SiC MOSFETの実力を最大限に引き出すことにより、一般的なSi-MOSFET採用の構成と比較して、最大で5%電力変換の高効率化を実現します(2021年6月ローム調べ)。また、本製品の制御回路には、一般的なPWM方式と比較して低ノイズで高効率動作が可能な擬似共振方式を採用しているため、産業機器に対するノイズの影響を最小限に抑えることが可能です。


業界初※、小型面実装パッケージの1700V SiC MOS内蔵AC/DCコンバータIC

<SiC MOSFET内蔵AC/DCコンバータICのラインアップ>

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