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産業用過電流検出向け高速CMOSコンパレーター

産業用機器の電流保護用途に向け、当社は高速応答とフルレンジ入出力に対応したデュアルコンパレーターを製品化した。

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産業用過電流検出向け高速CMOSコンパレーター

当社は、産業用機器における過電流検出用途を対象に、高速応答と入出力フルレンジ(Rail to Rail)動作に対応したCMOS型デュアルコンパレーター「TC75W71FU」を開発し、出荷を開始した。モーター駆動回路や電源回路における異常電流の迅速な検出と保護動作を目的としたデバイスである。

産業用機器における過電流検出の重要性
産業用機器では、モーター制御や電源変換回路などで大電流を扱うケースが多く、突発的な過電流が発生するリスクが常に存在する。過電流は、半導体デバイスや受動部品の損傷、生産ラインの停止、さらには安全性の低下につながるため、検出から遮断までの応答速度がシステム信頼性を左右する。

近年は、高効率化や小型化の進展により、回路が許容できる電流や電圧マージンが縮小している。その結果、従来よりも短時間かつ微小な異常電流に対して確実に反応できる検出回路が求められている。

高速応答特性による保護性能の向上
TC75W71FUは、従来製品TC75W56FUと比較して伝搬遅延時間を短縮している。Low to Highの伝搬遅延は最大45ns、High to Lowは最大30nsとされており、電流異常の発生を高速に検知できる。

この応答性能により、異常発生時に制御回路や電源回路を即座に停止させることが可能となり、デバイス破損や二次障害のリスク低減に寄与する。

フルレンジ入出力と低電圧動作への対応
本製品は、入力および出力ともに電源電圧範囲全体で動作するフルレンジ仕様を採用している。GNDからVccまでの電圧範囲で信号を扱えるため、検出回路や後段ロジックとのレベル整合が容易になり、回路設計の自由度が高まる。

最小動作電源電圧は1.8Vで、低電圧駆動が求められる制御回路や省電力設計にも適用可能である。

プッシュプル出力による安定した信号駆動
TC75W71FUはプッシュプル出力を採用しており、外付けのプルアップ抵抗を必要としない。これにより、信号の立ち上がりおよび立ち下がりが速く、出力電圧レベルも安定する。

部品点数の削減に加え、信号品質の向上や基板設計の簡素化といった点で、産業用途に適した構成となっている。

派生製品による用途展開
本製品に加え、ヒステリシス特性を付加してノイズ耐性を高めた「TC75W72FU」、およびヒステリシス付きで、コンパレーター電源とは異なる電圧レベルへ出力可能なオープンドレイン出力タイプ「TC75W73FU」もラインアップされる予定である。これらの派生製品は、2026年2月から量産開始が計画されている。

用途やシステム構成に応じて、応答性、ノイズ耐性、出力方式を選択できる点が特徴である。

産業用保護回路における位置付け
TC75W71FUは、高速応答、フルレンジ動作、実装の容易さを兼ね備えた過電流検出用コンパレーターとして、産業用機器の安全性と信頼性向上を支えるデバイスと位置付けられる。モーター制御、電源回路、各種保護回路において、迅速な異常検出が求められる用途に適した構成である。

当社は今後も、産業用途における安全設計の要件に対応したコンパレーター製品の拡充を進めていくとしている。

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