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衛星監視システムでリアルタイムにRF情報収集を

Teledyne SP Devicesの高速デジタル化技術とエッジ処理は、いかにして複数の周波数帯におよぶスケーラブルな衛星信号の監視を可能にしているのか。

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衛星監視システムでリアルタイムにRF情報収集を

衛星の監視を行うと、衛星通信や航法信号を継続して観測し、通信リンクの品質確保や干渉の検出、周波数規制の順守などが可能になります。そうしたシステムでは、GNSSのインテグリティや周波数の監視から干渉の特定、システムの検証にいたるまで幅広いアプリケーションにとって極めて重要なアップリンク/ダウンリンクの挙動を世界規模で一貫して可視化します。

監視の目的とシステムアーキテクチャ
衛星監視の主な目的は、宇宙から地上、地上から宇宙への通信リンクのインテグリティを保つことです。たとえば、アップリンクとダウンリンクの品質検証、意図しない干渉や悪意のある妨害の検出、法令順守の支援などが挙げられます。一方、アーキテクチャの面からすると、監視システムは通常、3つの要素を中心として構成されます。既定の周波数帯で動作するトランスポンダとアンテナを備えた衛星からなる宇宙セグメント、大型アンテナとRFフロントエンド、そしてデジタイザをからなる監視ステーションを含めた地上セグメント、そして捕捉したデータを専用ソフトウェアとハードウェアで分析・可視化するユーザーセグメントです。
 

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周波数帯とサンプリングで考慮すべきこと
衛星サービスは割り当ての無線周波数帯域で運用され、特に双方向システムの場合には相互干渉を最小限に抑えるため、各帯域をアップリンクとダウンリンクのサブバンドに分割します。ダウンリンクは通常、大気による減衰が小さくなるように帯域の下側を割り当て、アップリンクはより高いデータレートに対応できるように周波数帯の上側を使います。しかし、こうしたサブバンドの定義はシステムによって異なります。たとえば測位システムのGalileoでは、他のGNSSコンステレーションが用いる「L」表記ではなく、Lバンド内で「E」と呼称しています。

また監視の観点からすると、この多様性があるために周波数計画とサンプリング戦略が極めて重要です。サンプリングレートは、帯域外の成分をアナログフィルタによって抑制したうえで、一つのナイキストゾーンを対象の信号だけが占めるように保証しなければなりません。直接サンプリングの場合、適切なバンドパス・フィルタの適用を仮定すると、一般に最小サンプリングレートはLバンドで約2 GSPS、Sバンドで約4 GSPS、Cバンドなら約8 GSPSとなります。

デジタル化とフロントエンドでの信号捕捉
現代の監視ステーションでは広帯域デジタイザを頼りに、アナログRF信号をデジタルデータ・ストリームへと変換しています。たとえばTeledyne SP DevicesのADQ35-WBなどのデバイスは、周波数ミキサを用いることなくLバンドとSバンド信号の直接サンプリングに対応し、システムの複雑さとキャリブレーション作業を軽減しています。この12ビットの分解能と最大9 GHzの有効入力帯域幅を備えたデジタイザなら、複数の衛星周波数帯にわたる柔軟な展開も可能です。ただし、アナログからデジタルへの変換時に信号の忠実度を維持し、エリアシングを防ぐためには、外部の低雑音増幅器(LNA)とアンチエイリアシング・フィルタの使用が不可欠であることに変わりはありません。
 

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またサンプリングレートの選択が、データ品質と後処理の効率いずれにも直接影響します。たとえばLバンドを5 GSPSでサンプリングすると信号は完全に1次ナイキストゾーンに収まり、Sバンドを4 GSPSでアンダーサンプリングすると信号は十分なガードバンドをともなって2次ナイキストゾーンに取り込めます。一方で、不適切なサンプリングレートを選ぶと、信号がナイキスト周波数をまたいで分割され、エリアシングの発生が避けられません。

FPGAによる前処理とデータ・リダクション
広帯域デジタイザからの生のデータレートは、実用的な転送や保存の限界を超えることがあります。たとえば1秒あたり100億サンプルで1サンプルあたり2バイトの場合、1つのチャネルで約20 GB/sのデータが生成されます。このような大量のデータを管理するためには、PCIeリンク経由で転送する前にオンボードFPGAで処理してデータレートを削減します。

衛星監視とって特に重要なアプローチが2つあります。まず1つはビット圧縮です。全帯域の情報を保ったままサンプルあたりのビット数を削減し、PCIeの帯域幅に対する制約を超えない連続ストリーミングを可能にします。もう1つのデジタル・ダウンコンバージョンは、FPGAベースの数値制御発振器とフィルタ、デシメーション・ステージを通じて実装され、指定のRFチャネルをベースバンドあるいは中間周波数に変換します。これによってデータレートの低減だけでなく、フィルタリングとコヒーレント処理によるS/N比の向上もはかることができます。
 

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高スループットデータ転送とGPU処理
リアルタイムや準リアルタイム解析には、PCIeベースのアーキテクチャが好まれています。ホストCPUやシステムメモリを経由せずにDMAを用いたピア・ツー・ピアのデータ転送により、データをデジタイザからGPUへ直接ストリーミングできるからです。レイテンシを最小限に抑えてPCIe Gen5の限界に迫る総スループットを実現でき、複数のデジタイザからの同時ストリームにも対応可能です。
 
 GPUは、チャネライゼーションや復調、長時間の統計解析など、計算負荷は高いがレイテンシの重要性は低いというタスクを処理することでFPGAの処理を補完します。たとえば、広帯域なLバンドの捕捉データから個々のGalileoサブバンドを抽出すれば、数百MHzのスペクトラムから、現在のGPUの処理能力で十分に扱える数GB/sへとデータレートを低減できます。

高速な記録・保存のための戦略
長時間の記録が必要な場合、ストレージ帯域幅が制約要因となることがあります。その場合には、PCIeキャリアボードを介して接続したNVMe SSDでRAIDを構成すれば、複数のドライブへの並列書込みが可能になります。特にエンタープライズSSDなら、長期間にわたって安定した書込み速度を維持しつつ、合計で数十GB/sの記録速度とスロットあたりペタバイト規模の記録容量が実現します。しかし、コンシューマ向けドライブは、短時間のデータ捕捉には適していますが、内部のSLCキャッシュを使い果たすとスループットが低下してしまいます。
 

衛星監視システムでリアルタイムにRF情報収集を

現代の衛星監視の基盤として
広帯域なデジタル化やFPGAベースの前処理、GPUアクセラレーション、スケーラブルなPCIeストレージを組み合わせた最新の衛星監視システムは、RF情報収集のための費用対効果に優れた柔軟な基盤となります。このアーキテクチャでは、マルチバンド監視やリアルタイムな干渉検出、大規模なデータ収集といった高まり続ける要求に応えられることから、運用監視ネットワークにも、研究のための測定作業にも適したものとなっています。

詳しくは当社Webサイトをご覧ください:https://www.spdevices.com/what-we-do/applications/satellite-monitoring?utm_source=mepax
 
 

 

 

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