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08
'20
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XILINX News
ザイリンクス、世界有数の 4 つの大学にアダプティブ コンピューティングに関する研究クラスターを設置
世界クラスの研究クラスターが、 あらゆる分野での適応型演算アクセラレーションの革新的研究を主導.
アダプティブ/インテリジェント コンピューティングのリーダーであるザイリンクス社 (本社 : 米国カリフォルニア州サンノゼ、NASDAQ : XLNX) は 2020 年 5 月 5 日 (米国時間)、世界有数の 4 つの名門大学に XACC (Xilinx® Adaptive Compute Cluster) を設置することを発表した。ザイリンクスは、XACC を通じて必要なインフラと資金を提供し、高性能コンピューティング (HPC) に対応する適応型演算アクセラレーション分野における革新的研究をサポートする。研究範囲は、システムからアーキテクチャ、ツール、アプリケーションまで多岐にわたる。
XACC には、適応型演算アクセラレーションの研究に向けて、ザイリンクスの最新ハードウェアとソフトウェア技術が提供される。世界最高峰のアカデミック チームが最先端 HPC の研究に従事できるように、各研究クラスターはそれぞれ特化した構成となる。
最初の XACC は、スイスの ETH Zurich (チューリッヒ工科大学) に設置される。続いて UCLA (カリフォルニア大学ロサンゼルス校)、UIUC (イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校)、そして 4 つ目は NUS (シンガポール国立大学) に設置される。XACC には、ハイエンド サーバー、ザイリンクスの Alveo アクセラレータ カード、および高速ネットワークが完備される。各 Alveo カードには 100Gbps ネットワーク スイッチへの接続が 2 つあるため、任意のネットワーク トポロジで分散コンピューティングを実現できる。
ハイエンド サーバーにはザイリンクスの最新ソフトウェアが備えられ、ソフトウェア エンジニア、AI 研究者、データ サイエンティストが適応型演算アクセラレーションを活用するための Vitis 統合ソフトウェア プラットフォームも含まれる。これらの 4 つすべての XACC は 3 カ月以内に始動する。将来的には、最新の 7nm Versal ACAP (適応型演算アクセラレーション プラットフォーム) でさらに充実化を図る。
ザイリンクスの CTO (最高技術責任者) 兼シニア バイス プレジデントであるイーボ・ボルセンス (Ivo Bolsens) は、次のように述べている。「ムーアの法則が終焉を迎え、これまでとはまったく異なり、適応型演算アクセラレータが鍵となる役割を果たす次世代コンピューティング システムの時代に突入しています。XACC は、イノベーションや共同研究をサポートする重要な拠点となり、次世代システムの実現に向けた新しい適応型演算技術の開発と統合を促進するでしょう」
ザイリンクスは、優れた学識経験者を XACC プログラムに招待し、各研究クラスターにおけるザイリンクスの最新適応型演算アクセラレーション技術を使用した最先端 HPC の共同研究の取り組みをサポートする。提携研究チームは、クラスターの演算リソースにリモート アクセスして適応型演算技術の独自研究を進めることができる。また、XACC は、同じ分野の専門家 (ザイリンクスの社内研究グループを含む) が連携するための地域拠点としても機能する。
ETH Zurich (チューリッヒ工科大学) の研究クラスターは、同大学コンピューター サイエンス学部コンピューティング プラットフォーム研究所のシステム グループを率いるグスタボ・アロンソ教授 (Prof. Gustavo Alonso) が指揮し、ネットワークとデータベースの高速化に取り組む。
アロンソ教授は次のように述べている。「ザイリンクスが設置した研究クラスターは、かつてない規模と使いやすさで最新技術を探求できる素晴らしい機会を与えてくれます。デザイン、結果、ツール、アイデアを再現可能な方法で共有できる画期的なインフラを提供するだけでなく、新たな研究も後押ししてくれるでしょう」
UCLA の研究クラスターは、電力効率に優れた演算、ビッグデータ アプリケーション向けのカスタム コンピューティング、および高度にスケーラブルなアルゴリズムに取り組む。これらの活動は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校サミュエリ工学部 (UCLA Samueli School of Engineering) CDSC (Customizable Domain-Specific Computing) のセンター長を務めるジェイソン・コン教授 (Prof. Jason Cong) が指揮する。同教授は30 年以上にわたり、FPGA 技術研究の最先端で活躍している。
コン教授は、次のように述べている。「XACC による活動支援に大変感謝しています。XACCは、我々が取り組んでいるグラフベースの機械学習、ビデオ解析、ゲノム解析、精密医療などの研究プログラムに大きな進展をもたらすでしょう。これらのプロジェクトの演算プロセスの多くはメモリバウンドであるため、研究クラスターに寄贈された HBM (広帯域幅メモリ) 搭載 FPGA は、今まさに必要とされているタイムリーなソリューションとなります」
UIUC の研究クラスターは、イリノイ大学の CSL (Coordinated Science Laboratory) を拠点とし、同大学が長年取り組んできた高性能/ヘテロジニアス コンピューティングにおける研究/教育をベースに活動する。具体的な内容は、高速リンクとスイッチを使用して接続される革新的なマルチ FPGA トポロジ、FPGA ネットワーク向けのセキュリティとメモリ コヒーレンス、効率的なピアツーピア方式のデータ転送、SSD データ処理向け FPGA アクセラレータ、高性能かつ高プログラマビリティ/ポータビリティに対応するコンパイラとシステム ツールである。
この研究クラスターは、工学部の Abel Bliss Professor であるデミン・チェン教授 (Prof. Deming Chen) と ECE (Electrical and Computer Engineering) 学部のAMD Jerry Sanders Chair であるウェンメイ・フー教授 (Prof. Wen-Mei Hwu) が指揮する。両者とも ECE 学部の教授である。
チェン教授は、次のように述べている。「センター運営費の支援とハードウェアの寄贈によって、これまで不可能だった新しい研究や教育活動が可能になります。我々は、新たに実験的なFPGAベースのコンピューティング システムを構築し、高性能コンピューティングをターゲットとする特定分野向けのコンパイラやシステム ツールを開発します。深層学習機能を備えた AI、大規模なグラフ処理、ゲノム解析など、いくつかの重要なアプリケーション分野に焦点を当てます。学部課程や大学院レベルのコースは、この XACC センターの研究活動から恩恵を受けるとともに、クラスター リソースへのアクセスが可能となります。また、他大学と連携して情報交換、演算リソースの共有、共同プロジェクトへの取り組みなどを進めることも視野に入れています」
NUS の研究クラスターは、ヘテロジニアス コンピューティング プラットフォームを使用した新しいシステムやアプリケーションの研究/開発を促進する。アジア諸国の優秀な研究者や学生を集め、国際的コラボレーションを活性化し、アジア、欧州、北米の XACC センターと共に世界規模のテストベッドを構築する活動の拠点となる。
この研究活動は、シンガポール国立大学コンピューティング学部コンピュータ サイエンス学科のビンシェン・ホー准教授 (Associate Professor Bingsheng He)、ウェンファイ・ウォン准教授 (Associate Professor Weng-Fai Wong)、およびトゥリカ・ミトラ教授 (Professor Tulika Mitra) が指揮する。ホー准教授は、NUC のコンピュータ エンジニアリング プログラムの JAC (Joint Academic Committee) 議長、さらに同大学大学院のアシスタント ディーンを務める。
ホー准教授は、次のように述べている。「シンガポール国立大学コンピューティング学部に、この研究基盤を構築するにあたり、ザイリンクスからの寛大な支援に感謝しています。我々はこれまで、データベース、機械学習、システムとネットワーキング、IoT、コンピュータ アーキテクチャなど、さまざまな分野で FPGA を使用した先駆的な研究を行ってきました。ザイリンクスの最先端 FPGA プラットフォームを利用できることで、このコンピューティング クラスターは NUS、あるいはシンガポールにとどまらず、新しい研究、教育プログラム、コラボレーションを促進する中心的な役割を果たすでしょう」
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