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'13
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HMS Industrial Networks AB
どんな産業用ネットワークにでもロボットセルを接続できる、その秘訣とは
スウェーデンのSVIA社は、Anybus X-ゲートウェイを使って、自社のDeviceNetベースのロボットセルを顧客が採用するあらゆるネットワークに接続しています。
SVIA社のロボットとはSvensk Industriautomation(SVIA)社は、スウェーデン・ヨンショーピング(Jönköping)
の急成長を遂げるオートメーション設備メーカーです。北欧諸国・ドイツ・イギリス・オランダ・アメリカといった各地の顧客に向け、ロボットシステムを開発しています。同社のそうしたシステムは、ロボットセルとしてまとめられ、顧客工場内にある他のシステムなどと通信できるよう整備されます。そのロボットセルの中核は、Pickvisionと名付けられたSVIA社独自の視覚システムです。これは、特定の対象物がコンベア上でどのような姿勢にあるかを正しく検出し、その対象物をロボットが持ち上げられるようにします。簡単に言えば、SVIA社ではロボットに視覚を与えているといったところでしょうか。このような斬新な技術も、オートメーション産業市場ではごく普通になっています。そうした技術により、SVIA社もここ数年で収益を倍増させています。
「当社の強みは、そのシンプルさです。コンベアからどれを持ち上げるかをロボットに教えるのは実に簡単です。そして教示さえすれば準備が整います」と、SVIA社の設計者兼プロジェクト・マネージャであるAnders Mandorsson氏は話します。ユーザはPickvisionソフトウェアを使って、コンベアから取り上げるべき対象物の写真を撮ります。そうするとソフトウェアは、対象の形状を自動的に検出します。これでロボットは、その形状がカメラの視野に入るたびに、それをどのように取り上げるかを決定できるようになります。
DeviceNetとPROFIBUSを接続する
最新自動システムの大部分がそうであるように、SVIA社のロボットセルも、工場規模のさまざまな産業用ネットワークとの通信が求められます。ただ、こうした通信が、いつでも問題なく済むとは限りません。Anders Mandorsson氏は次のように述べています。「2、3年前のことですが、あるお客様にロボットセルを提供しました。当社は、お客様のPROFIBUSシステムへのアクセス性を約束しました。ところが、そののち、当社のシステムが、そのネットワーク上では、単なる孤立したノードになってしまうに過ぎないことが判明しました。このときです。HMSのAnybus X-ゲートウェイを知ったのは。さっそく、筐体への設置を試みました。そうすると、当社のDeviceNetベースのシステムとお客様のPROFIBUSシステムとの間で、その変換を実に洗練された具合に処理してみせました」。
これ以来、SVIA社では多くのロボットセルにAnybus Xゲートウェイを採用し、世界中の顧客へ届けています。繰返しになりますが、シンプルさこそが大切です。Anders Mandorsson氏は説明しています。「DeviceNetは、当社筐体の大半に採用する標準仕様です。他のネットワークへの変換処理は、自社で扱う代わりに、HMSのX-ゲートウェイを1つ組み込むだけでシンプルに対応しています。コストが抑えられるのはもとより、お客様の負担も軽くなります。なにしろ、ご自身の工場内ネットワークと、当社のシステムを明確に分けて管理できるのですから」。
その機能とは
SVIA社のロボットセルでは、DeviceNetベースのネットワーク上で動作するABB社のロボットを装備するのが一般的です。当然、一方がDeviceNetネットワークなら、簡単に通信できます。しかしながら、たとえばPROFIBUSネットワーク(シーメンス社のPLCなど)やEtherCATネットワーク(ベッコフ社のPLCなど)といったその他のネットワークに接続するには、“トランスレータ”が必要です。Anybus X-ゲートウェイでは、そうした2種のネットワーク間の変換を組込みソフトウェアにより処理します。一方からの情報を再構成して、もう一方の側で理解できるように整えるのです。設定は、ソフトウェアのAnybus Configuration Managerを使って、ほんの数分足らずで済みます。プログラミングの必要はありません。
フレキシビリティの高さ
SVIA社のロボットセルは極めて高いフレキシビリティを具えています。たとえば実装・パッケージング・穴あけ・ラス張りなど、顧客のそれぞれ違った用途に見合うよう簡単に調整できます。そのうえ、Anybus X-ゲートウェイにより、ネットワークへの接続能力という点でも、そのフレキシビリティの高さは格別です。Anders Mandorsson氏は次のように続けます。「正直なところ、ネットワーキングに関しては、もはやそれほど多くを真剣には考えていません。当社がロボットシステムを造るときは、単にX-ゲートウェイを発注するだけです。これがお客様の産業用ネットワークに変換してくれます。当社ではそれをプラグインします。そうすれば、うまく働いてくれます」。
Pickvisionでは、オペレータがどれをコンベアから取り上げるかを決めます。個々のアイテムを写真に撮り、それらの形状をソフトウェアが同定します。
ロボットセルの稼働中は、天井のカメラがコンベアをモニタします。
これによって、どれを、どのように取り上げるか、ロボットが正しく認識できるようになります。
また、1台のAnybus X-ゲートウェイが、ロボット筐体内のDeviceNetシステムと、エンドユーザ側のPROFIBUSネットワークとの間で必要な変換を処理します。
SVIA社のAnders Mandorsson氏