パワー半導体「SiC-MOSFET」の高精度回路シミュレーション技術を開発
パワーエレクトロニクス機器の回路設計効率化に貢献.
三菱電機株式会社は、パワー半導体「SiC-MOSFET※1 1200V-Nシリーズ※2」が搭載されるパワーエレクトロニクス機器設計時の回路シミュレーション技術として、高精度SPICE(スパイス)※3モデルを開発しました。独自の実験手法による詳細な評価データをモデルに反映することで、業界最高精度※4で半導体素子の高速スイッチング動作のシミュレーションが可能になり、パワーエレクトロニクス機器の回路設計の効率化に貢献します。
なお、本開発成果の詳細はオンラインで開催された「PCIM※5 Europe 2020」(ドイツ時間7月7日~7月8日)で7月8日に発表しました。
※1
Silicon Carbide:炭化ケイ素
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ
※2
2020年7月にサンプル提供を開始予定
リリースURL: https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2020/pdf/0616.pdf
※3
Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis:電子回路の素子動作を解析するシミュレーションプログラム
※4
2020年7月9日現在、当社調べ
※5
Power Conversion and Intelligent Motion:パワーエレクトロニクスに関する国際学会兼見本市
( www.pcim-europe.com ) 学会発表名「T. Masuhara, T. Horiguchi, Y. Mukunoki, T. Terashima,
N. Hanano, and E. Suekawa, "Development of an Accurate SPICE Model for a new 1.2-kV
SiC-MOSFET Device", PCIM Europe 2020.」
開発の特長
1- 独自の高精度SPICEモデル開発でパワーエレクトロニクス機器の回路設計を効率化
- MOSFET端子に印加される電圧によりMOSFET内部に発生する寄生容量※6が変化する現象を独自の実験手法で詳細に評価し、得られたデータを反映することで実測とほぼ同等のシミュレーションが可能な独自の高精度SPICEモデルを開発
- 従来のSPICEモデルでは十分に解析できなかった高速スイッチング動作時の電流波形の高精度シミュレーションを実現し、パワーエレクトロニクス機器の回路設計を効率化
- 電流立ち上がり時の波形シミュレーションの誤差を従来の40%から15%に削減※7
※6
半導体材料の境界面に発生する電荷を蓄積する容量。 この値が小さいとスイッチング速度が速くなる
※7
当社従来モデルとの比較
今後の展開
今後、現在の室温対応のSPICEモデルに、高温対応のパラメータを追加し、社外への提供を目指します。
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