車載用スマートカメラ向けSoC「R-Car V3H」を大幅にアップデート、ドライバモニタリングなど最新のNCAP要件に応えてディープラーニング性能を向上
最先端のコンピュータビジョン処理を可能にする7.2TOPSを実現.
車載用スマートカメラ向けR-Car V3Hをアップデート
ルネサス エレクトロニクス株式会社(CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、車載スマートカメラ用SoC(System on Chip)「R-Car V3H」をアップデートしたことを発表します。アップデートしたR-Car V3Hは、自動運転レベル2+までの量産車に向けた車載用フロントカメラ、サラウンドビュー、自動パーキング、ドライバや同乗者のモニタリングシステム(DMS/OMS)など、最先端のスマートカメラアプリケーションのためにディープラーニング性能を大幅に向上しました。R-Car V3Hは、2018年2月から発売を開始しておりますが、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)用IPをはじめ、スマートカメラに必要となる最先端の認識技術を導入しています。今回、低消費電力性能はそのままに、CNNの処理性能を従来の4倍向上させ、コンピュータビジョンIPを含めたR-Car V3H全体で最大7.2TOPSの処理性能を実現しました。このアップデートしたR-Car V3Hは、NCAP(注1) 2020だけでなくNCAP2025に向けた高性能かつ低消費電力なソリューションとして、2022年第1四半期から量産予定です。
R-Car V3Hのリアルタイムドメインは、ASIL Cの安全目標に対するメトリクス値をターゲットとしており、センサフュージョンや制御指示を管理するための外付けのセーフティマイコンの削減も検討可能です。認識処理やレーダ、LiDARとのセンサフュージョンを最適にサポートする各種IPも搭載しており、さらに今回ISP(Image Signal Processor)は8メガピクセルのカメラに対応しました。これらIPは車載市場で実績があるため、ユーザはBOM(部品表)コストを抑えながら、かつ量産化までの時間を短縮することができます。
ルネサスの車載デジタルマーケティング統括部の統括部長、吉田 直樹は、次のように述べています。「自動車市場では、ドライバモニタリング、パーキングアシスト、ドライバ識別、同乗者検知など、よりインテリジェントなシステムの人気が高まっていることから、新たなスマートカメラアプリケーションを実現するために、高性能なディープラーニング機能へのニーズが高まっています。ルネサスは、次世代スマートカメラシステムのために、ディープラーニング性能を向上し、開発の柔軟性と容易性を確保し、さらにコスト効率の高いソリューションとして、R-Car V3Hをアップデートしました。今後も、ADASや自動運転システムのインテリジェント化に向けてオープンでスケーラブルな開発を可能にするSoCを拡充し、お客様に最先端のイノベーションを提供し続けます。」
アップデートしたR-Car V3H SoCの主な特長
- CNN IP単独で3.7 TOPS、R-Car V3H全体で最大7.2 TOPSを実現
- システマティック故障低減のためのASIL D準拠開発プロセスを適用
- センサレイヤ、アプリケーションレイヤにはASIL B、リアルタイムドメインにはASIL Cの安全目標に対するターゲットメトリクス値を配置
- 現在量産されている現行品のR-Car V3Hと、ハードウェアおよびソフトウェアの完全互換性を確保
- 現行品と同様、CAN、Ethernet AVB、FlexRayを含む、ほぼすべての車載用インタフェースに対応
- 現行品と同様、CNN IP、コンピュータビジョンエンジン、画像歪み補正IP、ステレオディスパリティ(立体視差)や高密度オプティカルフロー、オブジェクト分類専用のエンジンなど、高度なセンシングと認識のために必要な画像処理用IPを搭載
今回R-Car V3Hをアップデートしたことにより、ユーザはエントリレベルのNCAPアプリケーションから高度な自動運転システムまで、スケーラブルに設計することが可能です。また、R-Car V3H SoCと車載用マイコンRH850、パワーマネジメントIC、パワーデバイスを組み合わせることにより、より複雑な機能安全要件への対応や、早期開発を実現します。
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