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Texas Instruments News

パッケージが与えるインパクト

電子機器の小型化と統合が進む中で、IC の封止と保護を実現するパッケージの重要度が増大しています。

パッケージが与えるインパクト

パッケージング、製品設計、技術開発と製造の各分野で、TI の研究開発と専門知識による半導体の小型化と統合が進んでおり、信頼性の向上、性能強化、エレクトロニクス製品の手ごろな価格設定を支援し、お客様が開発する製品の差別化を図ることに役立てていただけます。

医療用エレクトロニクスからファクトリ・オートメーションまで、多様なアプリケーションで、半導体のパッケージング・テクノロジーはその重要度をますます高めていますが、この分野で進むさまざまな革新は、チップの小型化、高速化、信頼性向上という要望を満たすのに役立ちます。これらのチップは、高性能、電力効率の改善、コスト削減につながります。

「パッケージングは、電子回路が現実の世界との相互作用作を可能にする懸け橋です」と、TI のパッケージング・グループで研究開発ディレクターを務める Anindya Poddar は語ります。「薄型テレビを見ているときや、スマート・イヤホンを傾けているとき、また自動化された工場の機械の効率に驚いたり自動運転車に乗ったりするときも、それらは全てパッケージングの小型化と統合によって可能になっています」

半導体パッケージは各種デジタル回路を封止し、それらを回路基板に接続します。それらの回路は他のシステム・コンポーネントと互いに協調して動作します。パッケージには合計数千の種類があります。

エレクトロニクスは私たちの周囲のあらゆる場所で使用されており、機械的システムからエレクトロニクスへの置き換えもますます増加しています。

「エレクトロニクス・デバイスの種類ごとにニーズは異なっています」と、パッケージング・テクノロジーに携わる TI フェローの Sreenivasan Koduri は語ります。「半導体が宇宙で使用されている場合、その要件は工場内のロボット(英語)、データ・センター内のサーバー、スマートフォン、洗濯機、または電気自動車とは大きく異なります。あらゆる状況に適した単一の製品は存在しません」

このように多岐にわたるパッケージの設計、開発、製造を具体化するうえで必要な革新を実現するには、独特かつ一連の能力が必要です。

TI は、パッケージング、製品設計、テクノロジー開発、製造の各分野で研究開発の専門知識を蓄積してきました。パッケージング・テクノロジーを最適化するうえで、これらの専門知識を独特の長所として活用できます。

小型化
Jack Kilby が IC (集積回路) を考案した1958 年より前の時代は、エレクトロニクスをガラス管または金属管の中にパッケージ化していました。これらの材質は、回路が生成する高い水準の発熱に耐えることができたからです。Jack のブレークスルーから数十年を経て、半導体はあらゆる場所で使用されるようになってきました。世代が進むごとに価格設定がより手ごろになり、その結果、エレクトロニクスをどこでも採用できるようになったからです。ただし、回路の能力に注目した結果、プラスチック・パッケージに封止するという考え方が後の時代で登場してきました。

これ以降の変遷は説明する必要もないでしょう。パッケージングは、半導体の差異化要因としてその重要性をますます高めています。さまざまな特長を具体化できるからです。パッケージングに関する決定は、設計の初期段階で下します。その結果、サイズ、電力密度、性能、信頼性に関する設計エンジニアの要件を、デバイスが確実に満たせるようになります。

現在、設計者が追い求めているのは、いっそうのパッケージ小型化に加え、より多くの電力を取り扱えると同時に、敏感な回路を引き続き保護することです。業界最小クラスの各種 ICのうち一部の製品は、エンジニアが設計の小型化を推進するのに役立っています。これらに該当するのは、メディカル・モニタ・アプリケーションで使用される超小型ウェアラブル・エレクトロニクス、音声ベースまたは会話ベースのシステムで使用される小型マイク(英語)、超小型温度センサを通じて実現可能になった超小型イヤホンなどです。

標準的なパッケージが搭載しているのは、IC と、その IC を各リード端子に接続するワイヤ (配線) です。これらのリード端子を通じて、パッケージをプリント基板に接続することになります。

現在、TI は業界最小クラスのオペアンプを提供しています。この製品のサイズは1 平方 mm 未満です。同様に、最小クラスのデジタル温度センサ、イーサネット PHY トランシーバ、および絶縁型 CAN トランシーバも提供しています。これらはほんの数例です。TI が実現したパッケージの革新を通じてこれらの IC の小型化が進んでおり、一部の製品は香辛料である胡椒 1 粒より小さいサイズになっています。設計者は TI の超小型製品を採用する方法で全体のソリューション・サイズを縮小できます。多くの場合はコスト削減にもつながります。代わりに、性能や信頼性を犠牲にせず、より多くの機能を従来と同じ面積に搭載することもできます。

「小型化に伴う課題は、より小さい面積で電力密度が高くなることです」と、Anindya は語ります。「より高い放熱要件に対処するうえで、パッケージングは重要です。その結果、さまざまな分野でこれらの IC を採用したお客様のエレクトロニクス製品も、再現性のある方法で、より安全かつ、より高い信頼性で使用することができます」

統合
封止するのは 1 個のチップとは限りません。インダクタ、コンデンサ、絶縁バリア、センサなど複数の部品を単一パッケージに封止する方法で、部品サイズ全体の縮小、システム・コストの削減、回路の速度と効率の改善、システムの信頼性向上に結び付けることができます。

「これらのデバイスを統合すると、設計者はより多くの成果を実現できますが、これは 1 つのパッケージに 1 個の回路を封止する場合は不可能だったことです」と、Sreenivasan は語ります。「パッケージングを通じて統合を実現すると、新しい水準に達する機会の扉が開きます」

たとえば、自動車市場の場合、業界初の車載認証 GaN (窒化ガリウム) デバイスは、電気自動車 (EV) のオンボード充電システムに電力を供給するために、TI の GaN-on-silicon (サファイア基板のような高価な基板ではなく、安価なシリコン基板上に GaN を形成) プロセスを使用して FET (電界効果トランジスタ) と高速スイッチング・シリコン・ゲート・ドライバを集積しています。この結果、お客様は 1 個のスイッチ、コントローラ、保護テクノロジーを単一のチップに統合することができ、なおかつそのチップは放熱強化パッケージに封止済みです。この場合、ソリューションはより高い電圧に耐えることができます。TI の GaN-on-silicon サブストレート (基板) は、このプロセスの能力を活用し、SiC (シリコン・カーバイド) など比較可能な他のサブストレート素材を使用する場合より優れたコスト競争力を発揮します。


パッケージが与えるインパクト

産業用通信アプリケーションで電力ドメインの数が増加する傾向にありますが、設計エンジニアがその動きをサポートできるように、TI の4 チャネル・デジタル・アイソレータは 1 個のチップスケール・トランスを統合しており、1 個の小型フォーム・ファクタ・パッケージで信号と電力両方の絶縁を実現することができます。信号と電力を絶縁するディスクリート・ソリューションに比べてボード面積を 30% 低減できるほか、この水準の統合を実現すると、システムの性能が上昇し、小さい放射型電磁波という業界要件への適合を通じてシステム認証を簡素化することもできます。過酷な産業用環境向けの各種アプリケーションにとって、この低電磁波は重要な特性です。

TI の最新のミリ波テクノロジーは、アンテナをパッケージの真上に直接統合しており、開発をより手ごろな価格で実施できるほか、非常に小型のフォーム・ファクタという特長にもつながります。その結果、ドアのハンドル内など、従来にない新しい場所にセンサを配置するフレキシビリティが実現します。ミリ波分野での TI の革新を通じて、システム・オン・チップのレーダー・テクノロジーが実現しました。この種の製品を採用すると、自動車の周囲での 3D 物体検出、車内の乗員検出、その他自動車関連の多様な安全性機能を実装できます。

仕様の向上
チップの設計とパッケージの設計は、かつては別のものであり、その間にはいわば一線が存在していました。つまり、これらは互いに独立した 2 つのプロセスでした。ただし、チップ・パッケージングの重要性が増した現在、このような区別はもう存在していません。

「パッケージは以前、回路を実現するための受動部品として扱われていました。ただし、時間の経過とともに、パッケージの役割が変化してきました」と、Sreenivasan は語ります。「現在、多くの状況でパッケージはダイの支持、封止、保護という役割に加えて、パッケージ自体が機能を果たすようになっています。パッケージングが、デバイスの仕様を向上させています」

また、統合型パッケージの小型化も継続中であり、私たちの生活、学習、職場でも各種製品の改良や小型化を通じて、利便性や機能の進歩向上が続く見通しです。

「パッケージングを通じて、より多くの機能をより小規模なスペースに実装すると、TI 製品を使用しているユーザーの価値向上につながります」と、Anindya は語ります。「統合と小型化 – さらに製造上の優位–を組み合わせると、革新につながる機会の扉が開くと同時に、エレクトロニクスが誰にとっても手ごろな価格設定に近付きます」

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