64ビットMPUを使用した複雑なシステム設計を簡素化する、RZ/G2L、RZ/V2L用オールインワンのパワーマネジメントICを発売
設計の負荷を軽減しつつ部品点数の削減によりシステムの信頼性が向上、低コストの4層基板にも対応.
RZ/G2L、RZ/V2L用オールインワンのパワーマネジメントIC
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、本日より、最新のArm® Cortex®-A55コアを搭載した、汎用64ビットMPU(Micro Processor Unit)「RZ/G2L」およびビジョンAI向けMPU「RZ/V2L」に最適化したパワーマネジメントIC(PMIC)「RAA215300」のサンプル出荷を開始しました。量産は2022年第1四半期の予定です。
新製品は、6個の降圧レギュレータ、3個のLDOを搭載した9チャンネル出力で、この他にも水晶発振器、リアルタイムクロック(RTC)、コイン電池あるいはスーパーキャパシタへの充電回路を集積しました。また、DDRメモリ専用のVREF、VDDQ、VTT、VPP出力を装備しており、MPUの外部メモリとしてDDR4、DDR4L、DDR3、DDR3Lへの電源供給をサポートします。
さらに新製品は、低コストの4層プリント基板に対応するため、システムの低コスト化を実現すると同時に、部品点数削減によるシンプルな設計により信頼性を向上します。これらにより、ハイエンドな64ビットのRZ/G2LやRZ/V2Lを使用した複雑なシステム設計を簡素化し、開発期間の短縮に貢献し、早期の市場投入を加速します。
新製品は、RZ/G2L、RZ/V2L とDDRメモリだけでなく、幅広いルネサス製品と組み合わせることにより、早期にスケーラブルなSoM(システムオンモジュール)開発が可能です。ルネサスは新製品とRZ/V2Lならびにパワーコントローラ、USB PDコントローラ、クロックデバイスを組み合わせたウイニングコンビネーション「AIアクセラレータを備えたHMI SoM」をリリースしました。ルネサスはこの他にも、アナログ、パワー、タイミング製品を含めシームレスに動作する250種類以上のウィニングコンビネーションを提案しています。
ルネサスのモビリティーインフラ・IoTパワー事業部、事業部長のAndrew Cowellは、次のように述べています。「ルネサスのRZ/V2LやRZ/G2Lをお使いいただくお客様にとって、RAA215300は性能面でも設計の容易さの面でも優れたパワーマネジメントデバイスとなるでしょう。高集積で豊富な機能を備えているため、RAA215300は幅広い民生機器、産業機器、SoMアプリケーションに最適な選択肢と言えます。」
RAA215300の主な特長
- 最新のCortex-A55コアを搭載した64ビットMPU、RZ/V2L(DRP-AI搭載)および汎用のRZ/G2L、RZ/G2LC、RZ/G2UL向けに最適化
- 高性能な9出力
- パワーシーケンサ内蔵、外部DC/DCレギュレータのオン/オフ制御に対応
- DDR4、DDR4L、DDR3、DDR3Lメモリをサポート
- DDRメモリVTTに対してLDOの代わりに降圧レギュレータを採用したことにより、システムの電力効率を向上
- RTCとコイン電池あるいはスーパーキャパシタ用充電回路を内蔵
- シングルセルのリチウムイオン電池アプリケーションに対応
- スペクトラム拡散によるEMIの低減により、RFアプリケーションにも使用可能
- ウルトラソニックモードにより、マイクロフォンやスピーカへの可聴ノイズ混入を低減
- ソフトウェア起動前にシステムの電源を確実に入れるためのウォッチドッグタイマ(WDT)を内蔵
- EEPROM内蔵により、フルコンフィギュレーションが可能
- 動作温度範囲-40℃~105℃対応により、産業用アプリケーションに使用可能
- 幅広い他のSoC等にも使用可能
- パッケージは、8mm x 8mm の56ピンQFN