次世代の車載中央コンピュータ向けに、新開発のゲートウェイ用SoC「R-Car S4」とPMICを組み合わせた車載ゲートウェイソリューションを発表
高性能、ネットワーク機能、セキュリティ、機能安全を備えたR-Car S4 により、E/Eアーキテクチャの進化を加速。
R-Car S4とPMICを組み合わせた車載ゲートウェイソリューション
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、次世代車載中央コンピュータ向けに、新たなゲートウェイ用SoC(System on Chip)「R-Car S4」と、パワーマネジメントIC(PMIC)を開発、これらを組み合わせた車載ゲートウェイソリューションを発表しました。新たなソリューションは、車両のE/E(電気/電子)アーキテクチャが、ドメインアーキテクチャやゾーンアーキテクチャへ進化するに伴って求められる高い要件に応え、高性能かつ、複数の多様な高速ネットワークに対応し、高いセキュリティ機能と高い機能安全レベルを備えています。R-Car S4は既存のソフトウェアの再利用性を重視して設計されており、さらにR-Car S4とシームレスに動作するPMICと合わせて使用することにより、ユーザの開発効率の向上を実現します。本日より、両製品はサンプル出荷を開始しました。
ルネサスの執行役員兼オートモーティブソリューション事業本部長の片岡 健は次のように述べています。「車両のE/Eアーキテクチャの進化に伴い、クラウドサービスへ安全に接続できることと、車載制御を安全に確実に行うことの両立が大きな課題となっています。ルネサスは車載市場でのリーダとして、このR-Car S4ソリューションでこの課題に応えます。すでに、いくつかの世界的なOEMメーカは、このソリューションを使った次世代システムの設計を始めています。」
第4世代のR-CarファミリとなるR-Car S4は、Arm® Cortex® A55、Cortex R52を複数搭載し、車載制御をサポートするためにR-Carとして初めて、RH850マイコンのCPUコアを内蔵しました。R-Car S4は、CAN FD×16、LIN×16、SENT×8、FlexRay×1、PCIe V4.0×4、さらに2.5 Gbpsの高帯域イーサネットTSNスイッチ×3など、豊富な数の通信インタフェースを搭載し、車内外の多様なコネクティビティを実現します。
R-Car S4は、第3世代のR-CarやRH850用に開発されたソフトウェアを最大88%再利用することができます。各種ドライバやLinux BSP(Board Support Package)、ハイパーバイザなどの基本ソフトウェアを含むソフトウェアパッケージも提供し、リアルタイムコアを含むR-Car S4用ソフトウェア開発をサポートします。また、パートナ企業が提供する仮想プラットフォーム(VPF)を利用することで、早期のソフトウェア開発と評価が可能となり、設計期間の短縮とコスト削減を実現します。
R-Car用の新しいPMICは、超低消費電力動作に対応しています。プリレギュレータのPMIC「RAA271041」は、車両バッテリの12V電源入力に対応し、ロードダンプやコールドクランキングパルスといった入力電圧変動時も出力を保持します。「RAA271005」は、RAA271041の出力を受けて、R-Car S4と、LPDDR4xメモリなどの周辺機器が必要とする電源電圧に降圧し、最大で11チャネルを出力します。これらのPMICにより、車両のバッテリからR-Carまで、信頼性の高いパワーソリューションを実現します。
ルネサスは、本ソリューションの評価ボードの提供も開始しました。本ボードには、R-Car S4とPMICのほか、ルネサスのタイミングIC「Autoclock RC2121x」が搭載されており、ルネサス製品を組み合わせたウィニングコンビネーションのひとつです。動作を検証済みのため、本ソリューションを活用することにより、開発サイクルをさらに短縮し、ユーザのリスクを低減します。
R-Car S4 SoCの主な特長は次の通りです。
- 1.2GHz Cortex A55コアを8個、1.0GHz Cortex R52コア(ロックステップ)を1個、400MHz RH850 G4MHコア(ロックステップ)を2個搭載により、最大27,000DMIPSのアプリケーション処理性能と最大5,300DMIPSのリアルタイム性能を実現
- CAN FD×16、LIN×16、SENT×8、FlexRay×1、PCIe V4.0×4を含む豊富な車載インタフェースにより、車内外の多様なコネクティビティを実現
- 2.5 Gbps帯域幅のイーサネットTSNスイッチを3ポート搭載し、車両内および外部との高速かつ低遅延の通信を実現。本TSNスイッチは、イーサネットの計測器で定評のあるSpirent社の Automotive C1 でコンフォーマンステストの評価をしています。
- 8MB(メガバイト)SRAMを内蔵し、RH850 G4MHコアのコードを低遅延で実行可能
- 複数のハードウェアセキュリティモジュール(HSM)により、サイバ攻撃に対するセキュリティを強化
- ISO-26262に準拠し、機能安全レベルASIL BとASIL Dをサポート
- パッケージは、23×23mmのFCBGA(R-Car S4)と、19×19mmのFCBGA(R-Car S4N)を用意
R-Car用PMIC「RAA271041」「RAA271005」の主な特長は次の通りです。
- プログラム可能なため、R-Car S4だけでなく今後のR-Carにも容易に対応可能
- DeepSTOP、CyclicRUN、Suspend to RAM(DDR backup)の各スタンバイモードの超低消費電力動作に対応した電力制御が可能
- プリレギュレータRAA271041は、降圧と昇圧の2つの42V同期コントローラを搭載。クランキング時にバッテリ電圧が2.5V程度まで低下した場合にも昇圧回路が動作することで出力を保持
- ISO-26262に準拠し、機能安全レベルASIL Dまでのシステム安全要件をサポート可能
- 12ビットSAR ADCを搭載し、外部信号の監視が可能となり、外付けのADCが不要
- ダイナミック電圧周波数スケーリングにより、出力電圧を変化させて省電力化を実現
- スペクトラム拡散クロックの採用によりEMIを低減
- R-Car S4の動作監視により、起動時のセルフテストを効率化
R-Car S4の詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/automotive-products/automotive-system-chips-socs/r-car-s4-automotive-system-chip-soc-car-servercommunication-gateway
R-Car用PMIC「RAA271041」「RAA271005」詳細は、こちらをご覧ください。
www.renesas.com/RAA271041
www.renesas.com/RAA271005
本ゲートウェイソリューションの詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/application/automotive/automotive-communication-gateway-platform
www.renesas.com