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'23
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Feintool
Feintoolが中国の大手燃料電池メーカーから大型受注を獲得
Feintool(ファインツール)は、中国において成長著しい水素経済分野で活躍する大きなお客様を獲得しました。この燃料電池メーカーのお客様とFeintoolはともに、新世代の燃料電池の開発に取り組んできました。その金属セパレータの量産は中国・太倉市で2024年に開始する予定です。
中国が水素経済を精力的に推進するなか、Feintoolはこの競争の激しい市場に足場を築いた欧州初の企業の1社となりました。技術指向の企業であるFeintoolは、中国の大手メーカーと協力して、高性能な新世代の燃料電池を開発してきたことが実を結んだかたちです。
2024年にFeintoolは、金属セパレータの量産に乗り出します。これらの製品は、主にバスや商用車に使う新しい燃料電池の核心部を構成することになります。今回の大規模受注により、この先の数年間で数千万スイスフランの売上げが得られるものと見込まれます。
「国内メーカーが優勢な市場において、大きなお客様を獲得できたことに自信を深めています。なにより、当社の高度な生産技術が中国の脱炭素化に貢献できるのが楽しみです」と、Feintoolのアジアシステムパーツを統括するMarcel Perniciは述べています。
このお客様は中国に6つの支社を構えて同国の大手バス/商用車メーカーに燃料電池スタックを供給していますが、Feintoolは信頼できる開発パートナーであると、その確かな実績が評価されています。こうしたFeintoolの専門的な技術に加えて、中国に現地生産体制をもつことが契約獲得の決め手となりました。Marcel Perniciは次のように説明しています。「この契約によって、Feintoolは世界レベルでの技術移転に長けており、非常に効率的なローカル・フォー・ローカルのソリューションをもとに中国市場にしっかりお応えしていることを証明できました」。
今回の金属セパレータはスイスのリス工場で開発したものであり、同工場では2023年10月までに試作品も製造する予定です。その一方で、上海近郊の太倉工場にはドイツの企業であるSITEC社と協力して2つの生産ラインを構築しました。この生産ラインは年間最大1000万枚の金属セパレータを生産できる能力を備えています。加えて“ショップ・イン・ショップ”コンセプトを採用し、レーザー溶接のスペシャリストであるSITEC社が、そのレーザー溶接に関する専門知識をもとに加工機や従業員をサポートすると同時に、Feintoolは自社開発の高性能プレス加工であるFEINformingプロセスを用いて金属セパレータの内部および外部形状を加工します。こうした連携により、Feintoolは即組付け可能な最高品質の金属セパレータを量産してお客様に供給できる体制としています。
2024年末までには、1つの生産ラインをフル稼働させて必要数量の注文に応えることができるものと見込んでいます。中国の水素経済は2030年まで安定して成長すると予測されており、今回のお客様である燃料電池メーカーでは、その新世代の製品をもとにさらなる市場獲得を狙っています。
またSITEC社とFeintoolは、こうしたアジアでの良好な協力関係を基盤として、欧州においても燃料電池や電解槽用の金属セパレータの生産で連携を続けていきます。
即組付け可能な金属セパレータ:FeintoolとSITEC社それぞれの強みが活きる
FEINforming:精密性による優位性
FEINforming技術は、燃料電池の将来の持続可能性にとって極めて重要な要素となります。極薄材料の精密加工は重量と体積の削減につながり、スタック内の金属セパレータをよりコンパクトに配置することができます。スタックの出力密度が向上することで自動車の駆動装置がより高性能かつコンパクトになります。そこで、Feintoolでは最適な金属セパレータの生産に特化して開発したオール・イン・ワンのソリューションをご用意しました。このソリューションは、金属セパレータ生産専用のプレス機やFEM解析で最適化した金型の設計、総合的な技術サービスに加え、試作や少量生産から量産までに対応しています。
FLEX Welding:最も効率的かつ高品質で信頼性に優れたレーザー溶接
工業生産におけるレーザーの効率的運用や安全な加工ソリューションのための技術開発は、SITEC社のコア・コンピテンシーの1つです。同社のレーザーは極めて高速に動作しながら、優れた溶接シームに仕上げるとともに、部品にはほとんどひずみを生じさせません。そのSITEC社は、レーザー光源と溶接のための光学系、インテリジェントなモニタリング・システムを自動生産システムへと統合するのを得意としています。今回の金属セパレータの生産でも、特別に開発したFlexCell生産システムを活用して、ニーズに合った生産を実現しました。