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'23
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Seco Tools
Seco の研究開発チーム (R&D) 部門が Scania にツールを供給
スウェーデンのトラックメーカー、Scania との困難なプロジェクトにおいて、Seco の研究開発チーム (R&D) の能力を最大限に発揮し、エンジン用の新開発鋳鉄材料の切削加工時に使用する 1 種類のツールの工具寿命を 20 倍に延ばす方法を実現しました。
Scania のような Seco のカスタマーは、自社の製品、生産プロセス、企業利益収益を改善するための新しい方法を常に探求模索しており、Seco の研究開発部門に支援を依頼することがよくあります。ストックホルムの南にあるセーデルテリエに拠点を置く Scania は、バス、トラック、大型トラックの製造で高い評価を得ている輸送ソリューションの世界的プロバイダーであり、ディーゼルエンジンの品質と信頼性に関しても世界的に有名です。
新しい軽量鋳鉄の開発は、より軽量で効率的なエンジンの可能性につながる大きなブレークスルーでしたが、当初、Scania には解決すべき課題がありました - 既存の機械設備とツールでこの新開発鋳鉄材料に対応できるか、対応できない場合には、生産プロセスをどのように改変対策するかです?「その背景には、多くの利点をもたらした新開発の鋳鉄材料がありました - これは、より環境に優しく、材料強度も高いため、エンジンの構造壁をより薄く、より軽量にすることができます」と、Seco の研究開発部門のドリル加工スペシャリストの Stefan Frejd は述べています。 「Scania が調査を依頼した課題は、この新開発材料が生産ツールの摩耗を促進させ、結果的に工具寿命を縮めるという事実でした。課題は、この新開発材料の加工に使用される、フライスツール、ドリル、リーマの工具寿命を延長する方法を見つけることでした。」
プロジェクトチームが結成され、彼らの仕事はすぐに成果を得ました。「Seco は Scania のエンジニアと協力し、いくつかの課題と Scania が試したアプリケーションについて話し合い、その後、テストのために新しいツールを準備しました。Seco が最初にテストしたドリルツールは、既存ツールの寿命の 20 倍以上であることが実証され、これは非常に大きな改善でした。」と Stefan は説明しています。
他のテストツールは、既存のものに比較して 7 倍の工具寿命を維持し、Scania とSeco の双方にとっての大きなブレークスルーとなりました。「課題の大部分は最終的に要する時間の問題であり、結果的に寿命の長いツールとは、ツールを装着してから交換するまでの経過時間が長いツールのことです。実際には、変更以前には各作業シフトの開始時にツールを交換する必要があったのに対し、変更後には各作業シフトの開始時にツールを取り付ければ、交換する前に別の作業シフトまでそのツールを使用し続けることができることを意味しており、 変更前の状態では作業時間も生産コストも費やしていました。」と Stefan は語っています。
「見過ごされがちなのは、ツールを交換するたびに機械設備を停止しなければならず、その間は何も製造できないということで、製造企業において時間は費用なのです。より強靭で耐久性に優れたツールを制作できたという事実は、生産時の破損を減少されました - 作業シフト中に工具が破損すると、多くの場合には生産プロセスに大きな混乱が発生する可能性があり、修復には多くの時間を要します。」と Stefan は続けます。
Scania で学んだことは、他のさまざまな環境でも実行できる、と Stefan は語っています。「アプリケーションはそれぞれ異なりますが、必ず他の用途にも適用できることがあります。通常、ツールは在庫品目または標準工具を基に開発され、カスタマーのニーズに基づいて異なる要求基準を適用します。Scania の場合、例えばリーマ加工時の真円度に特別な設定要件があったため、実際にはカスタマイズされた特殊ツールが標準ツールであると言えます。」
Stefan のチームにとっての学習と発見は、カスタマーとの緊密な関係を築き、要求課題を理解し、解決策を見つけたいという強い意識によってもたらされましたものです。「研究開発において最も重要なことは、さまざまな企業の生産エンジニアと協力できることです - Scania との事例のように、解決すべき課題は常にありますが、私たちが団結すると、課題が発生したときに極めてに迅速に解決できることがよくわかります。」
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高強度鋳鉄用に最適化された Seco のツール
Seco Norrköping 製造ユニットの形状研削盤で、高度なドリル加工工具のテストを実施している Seco の Stefan Frejd と Joel Törnqvist