Renesas: オートモーティブ エレクトロニクス、SDV 開発用の R-Car オープン アクセス (RoX) プラットフォームを発表
ADAS、IVI、およびゲートウェイシステムの開発向けに、ハードウェア、そのまま使えるソフトウェア、クラウド上でのAI開発環境などを統合。
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SDV開発を加速するRoXプラットフォームを提供開始
ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、このたび、ソフトウェアを継続的かつ安全にアップデートできる次世代自動車であるソフトウェア定義車両(SDV)を開発するためのプラットフォーム「R-Car Open Access(RoX)」の提供を開始しました。RoXプラットフォームは、ルネサスの車載用SoC(System on Chip)とマイコン向けの開発プラットフォームであり、ADAS(先進運転支援システム)、IVI(車載インフォテインメント)、ゲートウェイアプリケーションに共通して利用できます。
ハードウェア、OS、ソフトウェア、ならびに AIアプリケーションをシームレスに展開するためのクラウドAI開発環境を含む各種ツールなど、SDV開発に必要なほとんどの基本レイヤを統合しました。これにより、SDV設計の複雑さを大幅に軽減し、開発期間とコストを削減します。
ルネサスはRoXプラットフォームの一環として、アマゾン ウェブ サービス(AWS)に対応したクラウドAI開発環境「AI Workbench」のデモを、6月20日から21日まで幕張メッセで開催されるAWS Summit JapanのAWS Village内Industry Zone(CC-072)に出展します。
RoX SDVプラットフォーム
車載技術の大きな前進となるSDVの登場によって、自動車はこれまで以上に自律性の向上、電動化、コネクテッド化に向けて加速しています。自律性と安全性を両立するためには、機能安全レベルASIL Dに対応するセンシング、処理、制御によって、360度の周辺空間を認識する必要があります。また、ドライバと同乗者の車室内での体験も革新されています。その結果、最新のE/E(電気/電子)アーキテクチャは、車両を制御するにも、異なるゾーンのECU間でリアルタイムにデータをやりとりするにも、車両の差異化を図るにも、ソフトウェアがその役割を担っています。
これらの複雑なソフトウェア群を最高水準の安全性を確保しながら、維持およびアップグレードすることはますます困難になっています。ルネサスのカスタマイズ可能なソリューションは、クラウド上の開発環境やシミュレータを提供し、ソフトウェアファーストのアプローチと、ハードウェアとソフトウェアの並列開発をサポートすることで、これらの課題を解決します。
RoXがSDV開発を加速
商用利用できるソフトウェアを備えたすぐに使えるプラットフォーム
RoXプラットフォームは2つのバージョンで提供します。「RoX Whitebox」は、オープンで簡単にアクセスできるソフトウェアパッケージであり、Android Automotive OS、FreeRTOS、Linux、Xen、Zephyr RTOS などロイヤリティフリーの OSおよびハイパーバイザと、アプリケーション別に用意したリファレンスソフトウェアが含まれます。もう1つの「RoX Licensed」は量産車に使えるよう、QNXやRed Hat In-Vehicle Operating Systemなどの業界で実績ある商用ソフトウェア、およびAUTOSAR準拠のソフトウェアとSAFERTOS®をベースにしています。これらはルネサスのR-Car SoCやマイコン上で動作するよう、事前にテストされています。
加えて、ADAS(先進運転支援システム)向けのSTRADVISIONの事前検証済みソフトウェアスタックや、 IVI(車載インフォテインメント)向けのCandera CGI Studioも利用可能です。これらのソフトウェアは、ニーズに応じて柔軟にカスタマイズしたり拡張して、量産車に適用できます。
RoX SDVプラットフォームでは、仮想開発環境(VPF)により、ユーザはハードウェアのサンプルを入手する前からソフトウェアの開発を開始することができます。開発したソフトウェアは、シミュレータやデバッグツールにより動作検証を行ってから、実際のSoCやマイコンに実装できます。高速シミュレータなどルネサスのツールだけでなく、ASTCのVLAB VDMやシノプシスのVirtualizer Development Kit(VDK)などパートナ企業のツールや開発環境により、シミュレーション速度や機能、ユースケースに幅広く対応します。
シームレスなエンドツーエンドのAI開発のために、RoXはAI Workbenchを提供します。これにより、開発者はクラウド上でモデルを検証、最適化し、仮想開発環境またはルネサスのボードファーム上でAIアプリケーションをテストできます。様々なコンピューティングIPを搭載するR-Carで、世代を超えてAIの迅速な展開をサポートするために、幅広いAIモデル、自動化されたパイプライン、およびハイブリッドコンパイラ (HyCo)が利用できます。
AWSクラウドサービスで利用可能に
RoX SDVプラットフォームは、AI Workbench開発環境の一部としてアマゾン ウェブ サービス(AWS)クラウドコンピューティングサービスをサポートしています。ルネサスR-Car SDK(ソフトウェア開発キット)はAWSクラウド環境でコンテナ化されており、開発者は効率的に設計を革新し最適化できます。この緊密な統合により、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせを即座にシミュレートしてテストし、R-Carデバイス上でシームレスに実行されるAIアプリケーションを展開できます。
スケーラブルな第5世代R-Car Gen 5ファミリ
RoX SDVプラットフォームは、現行世代のR-Car SoC、今後の第5世代R-Car MCU/SoCファミリ(R-Car Gen 5)、および将来のデバイス向けに設計されています。ADAS、IVI、ゲートウェイシステムだけでなく、クロスドメインシステム、ボディ制御、ドメイン制御、ゾーン制御など、OEMやTier1企業に向けて幅広いスケーラブルなコンピューティングシステムを設計できるよう柔軟性を提供します。
ルネサスのR-Car Gen 5は、ゾーンECUからハイエンドの中央コンピュートまで、エントリレベルの車両から高級車までの幅広い処理要件をサポートできるハードウェアアーキテクチャです。Arm® CPUコアをベースにした新しい統一ハードウェアアーキテクチャにより、R-Car Gen 5デバイスで開発するユーザは、車種や世代を超えて多様なE/Eアプリケーションで同じソフトウェアとツールを再利用できるため、開発投資を効率化できます。ルネサスのハイパフォーマンスSoC製品は、アプリケーション処理、大型ディスプレイ機能、センサ接続、GPU、AI処理など、単一の機能および複数のアプリケーションにも利用できます。
ルネサスの執行役員兼ハイパフォーマンスコンピューティング担当ゼネラルマネージャであるVivek Bhanは、次のように述べています。「RoXは、ソフトウェア定義車両のシフトレフトアプローチを加速する重要な進歩です。 現在、自動車OEMやTier1企業は、ソフトウェア開発と保守に大きく投資しています。ルネサスはこの課題を理解し、車両のライフサイクルを通じて維持できる、すぐに展開できる開発ソリューションを提供するために、密接に協力しています。RoXプラットフォームは、お客様に新たな価値を提供し、ドライバと同乗者に向けたより高い安全性と快適な体験をもたらす車両の設計を可能にします。」
AWSの自動車&製造部門テクノロジー戦略ディレクターのAndrea Ketzer氏は、次のように述べています。 「AWSは、お客様やパートナーが開発を加速させ、これまで以上に早くイノベーションをドライバーに届けるための支援をしています。ルネサスエレクトロニクスのR-Car Gen 5デバイスが、AWS上のAI Workbenchでサポートされることで、お客様はよりスピーディーに検証されたシミュレーションとハードウェアに依存しない開発が可能になります。この開発における飛躍的な変化は、業界を前進させ、ソフトウェアのイノベーションをモビリティの最前線に位置づけることになると期待しています。」
TechInsightsによると、ドメイン、ゾーン、集中型アーキテクチャへ市場がシフトすることにより、SoCやマイコンなどのプロセッサ市場の拡大につながり、その市場規模は2031年までに259億ドルに達する見込みです。TechInsightsのAutomotive End Market Research担当Executive DirectorであるAsif Anwar氏は、次のように述べています。「オペレーティングシステム、ハイパーバイザ、その他の機能ソフトウェアスタックを組み込んだ複雑なソフトウェアスタックを保守し、アップグレードできることは、サプライチェーンにとってますます重要な要素になります。
ルネサスのRoX SDVプラットフォームは、ハードウェアの開発とテストに対し、ソフトウェアファーストのアプローチをサポートするクラウドネイティブな環境を提供できるため、これらの要素を包含するエコシステムをすぐに構築でき、この大規模な市場に対応する次世代R-Car Gen 5プロセッサのスケーラブルなポートフォリオをサポートするでしょう。」
RoX SDV プラットフォームの主なパートナ
OS/ハイパーバイザパートナ
- QNX
- Red Hat
- Vector AUTOSAR
- WITTENSTEIN SAFERTOS®
ソフトウェアスタックパートナ
- Candera CGI Studio
- EPAM AosEdge
- Excelfore eSync
- MM Solutions
- STRADVISION SVNet
- Nullmax
RoX SDVプラットフォームの各ソフトウェアやツールは、ルネサスまたはパートナ企業を通じて、本日より順次、利用可能となります。詳細はこちらをご覧ください。www.renesas.com/rox-sdv-platform
第5世代R-Carに関しては、こちらのブログをご覧ください。第5世代R-Carファミリのご紹介
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