世界初、スマートグラスで4Kを実現可能にする可視光フルカラーレーザー制御デバイスを開発
TDK株式会社は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)薄膜を用いた世界初のスマートグラス用可視光フルカラーレーザー制御装置を開発しました。 TDKは10月15日から開催されるCEATEC 2024でこのデバイスを展示する予定です。
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最大の特長は、従来の可視光レーザーの色制御と比較して、ニオブ酸リチウム薄膜を用いることで10倍以上高速な可視光制御が可能となることです。従来の可視光レーザーは電流で制御することにより色を変化させていましたが、ニオブ酸リチウム薄膜に印加する電圧制御により色を変化させるため高速制御を実現しました。これにより、高速制御が必要となる4K以上の映像解像度に対応でき、電圧制御になることで低消費電力化にも期待できます。
また、AR/VRスマートグラスに向けた機能実証のために株式会社QDレーザ(以下、QDレーザ)と共同開発で映像動作実証を行いました。QDレーザが有する網膜直接描画技術と組みあわせることに成功し、ニオブ酸リチウム薄膜を用いたデバイスが映像デバイスとして機能することを確認しました。
現在、ニオブ酸リチウムはBeyond 5G-6Gなどの長距離高速光通信分野において大きな注目を集めていますが、近赤外光での応用に注目が集まり、可視光への展開はほとんど検討されてきませんでした。当社ではAR/VRスマートグラス用フルカラーレーザーモジュールの開発において、可視光レーザーの将来的な速度限界を打破する手段としてニオブ酸リチウムに着眼しました。研究開発の結果、赤、緑、青の光三原色全ての色を制御できることを確認しました。
今回のデバイス製造においては、従来のバルクを用いてニオブ酸リチウムを基板に貼り付ける手法ではなく、大量生産に適したスパッタ法で薄膜形成を実現したこともひとつの特徴です。当社のこれまで培ってきた独自の薄膜形成技術を応用することで、スパッタ法によるニオブ酸リチウムデバイスの製造と動作確認に初めて成功しました。
今回のデバイス開発成果は、AR/VR用スマートグラス向け映像デバイスだけでなく、今後大きな成長が期待される分野へも展開が可能です。具体的には、DXなどによるデータ量の急拡大に直面しているデータセンターでの高速光通信や、今後の性能向上のために技術開発が必要となる生成AIにおける高速光配線など、ニオブ酸リチウムデバイスのさらなる用途拡大を検討していきます。
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