三菱電機、xEV 向け SiC-MOSFET チップを発売
三菱電機は、xEV インバータの効率を向上させ、電力損失を 50% 削減し、走行距離を延長し、カーボン ニュートラルな社会を推進する SiC-MOSFET チップを発売します。
xEV用SiC-MOSFETを製造したウエハ(左)とサンプル提供を開始するチップ(右)(イメージ)
三菱電機は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの電動車両の駆動モーター用インバーターに用いられるxEV向けSiC-MOSFET チップのサンプル提供を11月14日より開始します。標準仕様のパワー半導体チップを初めて市場に供給することで、xEV市場の拡大に向けたインバーターの多様化に対応し、xEVの普及に貢献します。当社独自の構造と製造プロセスを採用したSiC-MOSFETチップは、xEVインバーターの性能向上、走行距離延長、電気代改善に貢献し、脱炭素社会の実現を推進します。
近年、脱炭素社会の実現に貢献するキーデバイスとして、電力を効率よく変換するパワー半導体の需要が拡大しています。特に自動車分野では、温室効果ガス低減を目的とした自動車の電動化を背景に、モーター駆動におけるインバーターなどの電力変換機器に使用されるパワー半導体の需要拡大と多様化が進んでおり、中でも、電力損失の大幅な低減が可能なSiCパワー半導体への期待が高まっています。
当社は業界に先駆け、1997年にxEV用パワー半導体モジュールの量産を開始した後、ヒートサイクル耐性等の信頼性を向上し、インバーター小型化に向けた課題を解決するなどの実績を重ね、さまざまなEVやハイブリッド車(HEV)に搭載されてきました。2024年3月には、自動車市場で多くの採用実績がある当社製T-PM の最新世代を搭載して、小型化を実現したxEV用パワー半導体モジュール「J3シリーズ」のサンプル提供を開始しました。
今回、xEV市場拡大に向けて多様化するxEV用インバーターに対応するため、当社として初めて、標準仕様のパワー半導体チップである「xEV用SiC-MOSFETチップ」を市場に供給します。当社独自構造を採用したトレンチ型 SiC-MOSFETにより、従来品のプレーナー型 SiC-MOSFETと比較して電力損失を約50%低減し、インバーターの性能向上を実現することで、xEVの航続距離の延伸や電費の改善に貢献します。また、当社独自のゲート酸化膜製法などの製造プロセス技術により、電力損失やオン抵抗などの変動を抑制することで、長期間の使用における品質の安定性を実現、インバーターの耐久性を確保し、xEVの性能維持に貢献します。高性能なxEVの普及に向け、低電力損失で高品質のSiC-MOSFETチップの提供を行うことで、脱炭素社会の実現に貢献します。
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