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05
'25
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拡がるSAI の活用
下水汚泥処理に革命を ― SEEPEXのSAIシステム、新たな成功を収める
www.seepex.com
オーストラリア最大の水道事業者であるシドニー・ウォーター社は、生活に必要不可欠な水道サービスを520万人以上に提供するという重要な役割を担っています。同社は、持続可能な下水処理に対するコミットメントの一環として、効率向上をはかるとともに、需要の増加に応えるための革新的なソリューションを常に模索しています。
主要施設の一つウェスト・カムデン水資源再利用施設(West Camden Water Resource Recovery Facility:WRRF)は処理能力を拡大して、2046年までに新たに最大72,000戸の住宅への供給を可能にしようと大幅な改修を進めています。この開発にあたり、一時的ではあるものの、下水汚泥の処理能力を強化できる非常に効果的なソリューションとしてSEEPEXのスマート・エア・インジェクションシステム‐Smart Air Injection(SAI)システムが導入されました。
SAI本格採用の戦略的チャンスに
SEEPEXはシドニー・ウォーター社の長きにわたるパートナーであり、消化汚泥や活性汚泥(Waste Activated Sludge:WAS)、濃縮活性汚泥(Thickened Waste Activated Sludge:TWAS)を含めた様々な下水処理アプリケーションにポンプを提供してきました。しかしながら、オーストラリアにおいてはまだSAI技術の恒久的な確立、活用には至っていませんでした。そのため、このウェスト・カムデンでの改修は、SAIの能力を実証するための絶好の機会でした。
脱水処理棟の改修工事に際して、操業を中断することなく続けるために移動式の脱水システムが必要となりました。SAIの可能性を認めていたシドニー・ウォーター社の主任エンジニアMark Ziogas氏は、インフラ・サービス企業ダウナー社のRobert Elson氏らとも協力して、この一時的設備にSAI技術を導入しました。
従来の下水汚泥処理と比べたSAIの魅力
SAIを導入するまでは、ウェスト・カムデンにおける下水汚泥の搬送は、従来からの無軸スクリュー・コンベアに頼っていました。この方式は、垂直方向のスクリュー・コンベアやサイロを使うなどの複数の段階を経るものであり、大規模な支持構造物も必要でした。こうした従来からのシステムは複雑で設置面積も広いため、効率やコスト、運用の柔軟性といった点でいくつかの課題を抱えていました。

1 - 移動式の遠心分離機から脱水汚泥が投入されたSAIシステム

2 - SAIの制御ユニットとエアレシーバ・タンク

3 - 境界層生成のための空気注入口

4- オープンホッパー・ポンプと境界層生成機構、制御ユニットからなるスマート・エア・インジェクションシステムが下水汚泥の搬送を最適化します。