中央アジア原子力・エネルギー協力の枠組み強化
株式会社ムロオシステムズが、日本・中央アジア「5+1」首脳会合を契機に、原子力およびエネルギー分野での国際協力を拡大。
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株式会社ムロオシステムズは、日本と中央アジア5か国による「5+1」首脳会合の開催期間中、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギスの関係機関と、原子力およびエネルギー分野における複数の協力覚書(MoU)および関連契約を締結した。本取り組みは、原子力の平和的利用、原子力安全、放射性廃棄物管理、ならびに再生可能エネルギーと電力供給を対象とする技術協力を中心に構成されている。
国際枠組みの背景と技術的意義
日本と中央アジア諸国の協力対話「5+1」は、エネルギー安全保障と産業基盤の高度化を重要テーマとしている。中央アジア地域では、原子力を含む多様なエネルギー源の導入と、国際基準に基づく安全性・透明性の確保が政策課題となっており、独立性を保った技術コンサルティングの需要が高まっている。
本協力における技術的実施および専門的支援は、ムロオシステムズの100%子会社であるNUKEM Technologies Engineering Services GmbHが担う。NUKEMは原子力エンジニアリング分野で65年以上の実績を有し、特定の原子力ベンダーや建設主体から独立した立場で、国際原子力機関(IAEA)基準への適合を前提とした支援を行っている。
カザフスタン共和国:原子力安全と廃棄物管理
カザフスタン共和国では、国立原子力センターとの間で、原子力の平和的利用および放射性廃棄物管理に関する協力枠組み覚書を締結した。本覚書は、原子力安全の向上、放射性廃棄物管理技術の高度化、人材育成を対象とし、IAEA基準への整合を視野に入れた技術協力を規定している。
ムロオシステムズおよびNUKEMは、オーナーズエンジニア(Owner’s Engineer)およびエンジニアリング・コンサルティングの提供を通じ、中長期的な原子力関連プロジェクトの技術的妥当性評価とリスク低減を支援する。なお、NUKEMは2025年9月9日にカザフスタン原子力庁と戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しており、今回の協力は既存の実績を基盤とした枠組みの拡張に位置付けられる。

カザフスタン共和国のトカエフ大統領および日本国 赤澤経済産業大臣の立会いのもと、ウズベキスタン共和国 閣僚会議付 原子力エネルギー庁(Uzatom)のA. アフメドハジャエフ長官と弊社代表が、協力覚書(MoU)に調印しました。
ウズベキスタン共和国:原子力プログラムとSMR活用
ウズベキスタン共和国では、閣僚会議付原子力エネルギー庁(Uzatom)と、原子力の平和的利用に関する協力覚書を締結した。協力内容は、国家原子力プログラムの安全性および透明性向上を目的とし、原子力安全、規制対応支援、エンジニアリング・コンサルティング、オーナーズエンジニアサービスを含む。
加えて、Uzatomおよびデジタル技術省との間で、小型モジュール炉(SMR)の電力を100%活用するデータセンタープロジェクトに関する協力が合意された。本計画では、消費電力約50MW規模のデータセンターをSMR由来電力のみで運用する構成が想定されており、安定的かつ予測可能な電力供給と、原子力設備の高稼働率運用を両立させる技術モデルとして位置付けられる。
キルギス共和国:再生可能エネルギーと電力安定化
キルギス共和国では、エネルギー省および国家電力網会社と、小水力発電プロジェクトに関する協力を進めている。2024年8月30日付の投資協定に基づき、チョン・ケミン川小水力発電所建設のロードマップ(MoU)および電力購入契約(PPA)が協力の中核となる。
本プロジェクトは、再生可能エネルギー導入による電力供給の安定化を目的とし、特に冬季の電力不足への対応を含むエネルギーインフラ強化に寄与するものとされている。
今後の技術的展望
ムロオシステムズは、NUKEMの原子力分野における技術的知見を基盤として、エネルギーと計算基盤の統合による新たなインフラモデルの構築を進めている。原子力および再生可能エネルギーを、次世代データセンターや計算インフラと組み合わせることで、エネルギー安定供給と持続可能な計算環境の両立を目指す。
今後も中央アジア諸国との協力を通じ、国際基準に基づく技術支援と長期的なエネルギー×デジタル基盤の形成に取り組む方針である。
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