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SOURIAU – SUNBANK Connection Technologies

エスターライン・コネクション・テクノロジーズ―スリオは、新しい製造プロセスの立上げに向けて、研究開発に大きく投資しています

欧州REACH規則は、人の健康と環境の保護を高い水準に保つことを目的として、化学物質の使用に対し厳格なルールを課すものです。スリオの多数の製品では表面処理に六価クロムを使用していますが、この六価クロムは使用が禁止される物質の一つとなっています。そこで、スリオの研究開発部門は、過酷な環境に向けたコネクタでの技術的リーダシップを保ちつつ、お客様とともにさらなる技術革新に取り組み続けられるよう、数年にわたって新しい製造プロセスの研究に投資してきました。新しい製造プロセスが完成すれば、スリオはREACH規則に準拠できると同時に、この先もフランスでの人材雇用を守ることが可能になります。ここでは、航空機関連の研究開発ユニットでマネージャを務めるTHOMAS PICHOTへのインタビューを紹介します。

エスターライン・コネクション・テクノロジーズ―スリオは、新しい製造プロセスの立上げに向けて、研究開発に大きく投資しています
コネクタ製造分野での六価クロムの使用について説明してもらえますか?
TP: 当社は、航空・宇宙・防衛・工業の各アプリケーションに向けて、過酷な環境でも使用可能な電気コネクタと光コネクタを設計・製造しています。そうしたコネクタのハウジングやアクセサリは複合材料やアルミ、スチール製ですので、そのめっき工程に長らく六価クロムを使用してきました。六価クロムを使うと、製品の防食性や導電性に加え、お客様が望む装飾性も実現できるからです。しかし、六価クロムは使用禁止の化学物質に挙げられているため、当社はこれを置き換えるよう取り組んでいます。

ある化学物質を他の物質で置き換えることは可能ですか?
TP: もちろん可能です。しかし、時間はかかります。実際、当社は様々な材質の表面処理における六価クロムの使用に極めて精通しています。たとえばアルミや銅合金はもとより、一部の熱可塑性樹脂にさえも適用してきました。それだけではなく、六価クロムを使用した製品の特性は、他の物質で達成できる特性よりもはるかに優れています。そのため、代替するのは2つの意味で難しいと言えます。置き換えを工業生産レベルで実行できるようにしたうえで、必要な性能を確実に実現しなければならいからです。

たとえば、あるケースでは六価クロムを使って、母材と他のコーティング材の接着性を促進しています。そのため、製品として機能上の特性が等しいことを実証するとともに、制御可能な方法で生産工程に導入できなければなりません。一方、他のケースでは工程の最終段階で六価クロムを使用しており、その表面に六価クロムが残留する可能性にも十分注意を払わなければなりません。さらに、置き換えた場合でも、すでにフィールドで使用されているコネクタと互いに接続するわけですから、互換性を確保する必要もあります。

本当に複雑な問題になりかねないようですが、どのように考えますか?
TP: 実際のところ、今の段階では1つの代替案で対応できるとは考えていません。必ずしもクロムが同じ目的で使用されているとは限らず、母材や最終的な処理によって異なるからです。そこで当社のアプローチとしては、コネクタ部品をその材質によって分類し、電気化学的メカニズムの作用を明らかにしたうえで、実験用のめっき槽から試験製造ラインまで、その各段階で膨大な数のテストを実行しています。その結果から、複数の解決策に向けた研究の方針を定めます。

研究の進捗状況はどうなっていますか?
TP: 複合材料の表面処理では、すでに六価クロムの使用を廃止しました。まずトライボ仕上げ処理を行って表面性状を改質し、当社の新しい前処理(六価クロム・フリー)によって後工程での金属コーティングの接着性を高めています。またアルミ製コネクタについては、亜鉛ニッケルめっき工程での六価クロムによる不動態化(クロメート処理)を取りやめ、REACH規則で危険有害性が無いと証明・認可された物質を用いる新しい方法を開発しました。こうした取り組みから、六価クロムの年間使用量を8トンから4トンへと半減できました。

それは簡単な移行でしたか?
TP: 明らかに困難なものでした。この“技術的にまったく基本となる要素”を入替え、検証するのに数年もかかりました。研究室でコンセプトを検証するだけではなく、長期にわたる大規模な生産レベルで再現しなければならなかったからです。そのため、ある面では経験を積むことも求められます。一例として、容積が最大数百リットルにもなる電解めっき槽を取り上げてみましょう。その配合に加え、製造プロセスとして完全に成熟したと言えるのは、多数の見地から経験を重ねたうえでの話です。様々な部品に対する浸漬時間や濃度を検証しなければなりません。また、部品の形状に影響を与えることがあってはなりませんので、めっき槽の長期的な変化をモニタリングして処理品質なども保証する必要があります。それには数十種ものパラメータを考慮して分析しながら、習熟していくほかありません。

カドミウムめっき処理のコネクタに対する六価クロム(クロメート処理)の状況はいかがですか?
TP: 現在のところ、腐食に対する高い耐性と優れた導電性を保証しつつ、防衛関連製品で特に重要な光を反射しないダークな装飾性を保てるのは、六価クロムによる不動態化(クロメート処理)だけです。ただし、カドミウムめっき向け代替ソリューションの一つを、六価クロムを用いない不動態化による亜鉛ニッケルめっき処理をベースに開発しました。この方法なら、すでに設置されている装置との完全な互換性を維持したまま、優れた

六価クロム使用に対する段階的廃止プロセスは順調に進んでいるように思えますが…
TP: 欧州REACH規則が制定されるとすぐに、スリオ・エスターラインの経営陣のみならず全部署が、表面処理技術を刷新してフランスでのコネクタ生産を継続できるように大きな計画を立ち上げなければならないと考えました。そのため、投資面でも本格的な取り組みを行い、社内の部署間はもとより、お客様との協力も強化してきました。特に、六価クロムに代わるソリューションを見出して、技術革新の能力を実証したいという思いから、当社は経験の蓄積に力を注ぎながら、ノウハウを最大限に活用しています。一方、お客様からも、この取り組みを支援いただいています。お客様は、当社が未来に向かって正しい道を歩んでいるのを認めているからです。何よりも、人の健康と環境を守ることが第一なのです。

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