NASAの月探査ロケット「アルテミス1号」に、ルネサスのインターシルブランド耐放射線IC数百個が搭載
宇宙ロケットと宇宙船オリオンに搭載された半導体が、今後の宇宙ミッション実現に貢献。
耐放射線ICがアルテミス1号に搭載され月へ
ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、11月16日にNASA(アメリカ航空宇宙局)により打ち上げられた大型月探査ロケット「アルテミス1号」に、当社の50種類以上の製品を含む数百個の耐放射線ICが搭載されていることを発表しました。ルネサスがインターシルブランドで展開している耐放射線ICは、アルテミス1号のバッテリマネージメントシステム、RS-25ロケットエンジン制御システム、緊急脱出システムの一部に搭載され、これまでで最大級の宇宙ミッションの実現に貢献します。月を周回する宇宙船オリオンには、コントローラボード、メインフライトコンピュータ、ドッキングカメラシステム、配電システム、ディスプレイおよびパネル機器などが搭載されています。ルネサスはこれらの動作に不可欠なコンポーネントを提供しており、電源管理や正確な信号処理など、さまざまな機能を実行します。
アルテミスは、半世紀ぶりに宇宙飛行士の月面着陸を目標としたNASAのプログラムです。アルテミス1号は、人体マネキンを搭載した宇宙船オリオンを月軌道に送ります。オリオンは42日間後に地球に帰還しますが、ロケットに搭載されているキューブサットと呼ばれるいくつもの小型の人工衛星により、さまざまな宇宙実験も実施します。アルテミス2号(2024年)は宇宙飛行士が月を周回することを目的とし、アルテミス3号(2025年)では初の女性と有色人種の宇宙飛行士が月面に降り立つことを目指します。「アルテミス計画」は、月周回軌道上に宇宙ステーションを建設し、月の南極に基地を建設する計画です。このインフラにより2040年代には火星への有人飛行の実現に向け、大きな目標の達成に一歩近づきます。
ルネサスのIoT・インフラ事業本部、耐放射線ビジネス担当Vice PresidentのChris Stephensは次のように述べています。「ルネサスは、宇宙産業のサプライヤとして培ってきた深い信頼と数十年の経験を活かし、最も過酷な環境に対応する耐放射線IC製品を設計し、インターシルブランドで製造しています。これらの製品は、エンジニア、科学者、探検家など、新しく多様なグループの想像力を掻き立て、夢を実現させるための重要な役割を果たしています。」
ルネサスのインターシルブランドは、1950年にRadiation Inc.が設立されて以来、60年以上に渡る宇宙産業での長い歴史を持っています。事実上、ほぼすべての衛星、シャトル打ち上げ、深宇宙探査ミッションにインターシルブランドの製品が使用されてきました。ルネサスは、この経験を活かして、高効率で熱的に最適化された信頼性の高いSMD、MIL-STD-883、MIL-PRF 38535 Class-V/Qのインターシルブランドの製品を、防衛や高信頼性(Hi-Rel)、および耐放射線の宇宙市場向けに提供しています。これらの耐放射線ICは、データ通信、電源供給、電源管理、一般的保護回路、地球からの追跡・監視・制御(TT&C)といったミッションクリティカルな用途でサブシステムをサポートしています。
深宇宙は、特にほぼすべてのミッションが強い放射線環境のため、宇宙飛行や火星探査機システムにとって困難な環境です。ICの設計、レイアウト、特定のプロセス技術、およびICの通電や総線量テストなどの製造ステップにより、予測可能な性能を保証し、航行中や長時間のロボット操作、他の惑星への乗務ミッションでのシステム障害を防止します。
ルネサスのインターシルブランドの宇宙向けICについて
- 400種類以上の宇宙仕様の耐放射線製品を用意
- フロリダ州パームベイにあるルネサスのインターシルMIL-PRF-38535認定施設で、一貫して設計と製造を実施
- ルネサスのインターシルブランドは、RHA防衛庁(陸海軍)のQMLサプライヤ、15社のうちの1社
- Rad Hard品は、クラスV(宇宙レベル)に完全に準拠
- Rad Hard品は、個々のDLA (Defense Logistics Agency) SMD(Standard Microcircuit Drawing)仕様、規格に準拠
ルネサスのインターシルブランドの宇宙用および高信頼性ソリューション、低線量率放射線検査施設の詳細については、こちらをご覧ください。www.renesas.com/space
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