産業用Ethernetおよびワイヤレスネットワークの継続的な成長―HMSネットワークスのまとめによる産業用ネットワーク市場シェア動向2023

今年の調査では、産業用ネットワーク市場は2023年に7%の成長が見込まれることがわかりました。産業用Ethernetは今なお最も高い成長率を示しており、現在、新規設置ノードの68%をしめています。（昨年は66%）また、フィールドバスが24%（同27%）に減少し、ワイヤレスは8%の市場シェアに成長しました。（昨年は7%)。ネットワークランキングでは、ProfinetとEtherNet/IPが18%の市場シェアで1位を占め、強力な競争相手であるEtherCATが12%で続いています。

HMSネットワークスは、世界のファクトリーオートメーションに新たに導入されたノードに集点を当て、産業用ネットワーク市場の分析結果を毎年、発表しています。HMSは産業分野におけるICT（情報通信技術）ソリューションの独立系サプライヤーとして、産業用ネットワーク市場に対する深い洞察力を有しています。なお、この2023年の調査には、フィールドバスおよび産業用Ethernet、ワイヤレス技術それぞれの市場シェアと成長率の推定値が含まれています。

 

2023年の調査において、HMSは産業用ネットワーク市場は成長を続けており、2023年の総市場成長率は+7%と予想され、工場におけるネットワーク接続の重要性が引き続き確認されたと結論づけています。

 

産業用Ethernetの着実な成長

産業用Ethernetは10%という成長率によって市場シェアの獲得を続けています。現在、産業用Ethernetはファクトリーオートメーションにおける新規設置ノードの世界市場の68%を占めています（昨年は66%)。EtherNet/IPとPROFINETは、それぞれ18%のシェアを獲得して2023年のネットワークランキングで首位です。また、EtherCATも持続的な成長のもと、12%のシェアで3位です。

 

フィールドバスが再び減少傾向に

2023年はフィールドバスの新規設置数が5%と減少し、昨年みられたフィールドバスの成長は一時的なものでした。Profibusは市場シェア6%でフィールドバスランキングをリードしていますが、Modbus-RTUは5%で僅差で続いています。

 

2023年にはフィールドバスが市場の24%(昨年27%)を占めます。新しいフィールドバスノードの数は減少していますが、多くの機器、機械、工場は、これからもずっと、機能性が高く、実績のあるフィールドバスに頼っていくでしょう。

 

最も急速に成長するワイヤレス

ファクトリーオートメーションにおいて、さらに多くのワイヤレスによる産業用ネットワーキングソリューションが導入されるようになり、2023年のワイヤレスの成長は＋22%に加速します。典型的な使用例としては、ケーブル交換アプリケーションや無線によるマシンアクセス、モバイル産業機器への接続などが挙げられます。

 

産業用ネットワークは製造業の生産性と持続可能性のカギ

HMSネットワークスのAnybus事業部製品マーケティングディレクターMagnus Janssonは次のように説明しています。「ファクトリーオートメーションにおける生産性と持続可能性の目標を達成するには製造プロセスの稼働率向上が必要ですが、その実現には信頼できる産業用ネットワークの接続性がカギを握ります。品質やセキュリティ、安全性に加えて、機器/機械データから得られる知見が大きな推進力となり、産業用ネットワークは継続的に拡大していくものと当社は考えています」。

 

地域ごとの特色

欧州や中東ではEtherNet/IP・PROFINET・EtherCATがリードしており、これにPROFIBUSとModbus-TCPが続きます。米国市場ではEtherNet/IPが優勢であるものの、EtherCATが力強く成長して市場シェアを獲得しつつあります。一方、細分化したアジア市場はPROFINETがリードし、EtherNet/IPがそれに続き、CC-Link/CC-Link IE Field、EtherCAT、Profibus、Modbus（RTU/TCP）が競争相手です。

 

分析結果について：

　本調査では、ファクトリーオートメーションにおける新規導入ノード数に基づいた推計です。ノードとは産業用フィールドネットワークに接続された機械やデバイスと定義されます。本調査の数値は、業界関係者の見識、当社独自の販売統計、市場に関する全体的な認識を考慮したHMSの総合見解です。