プラントデータ変換プラットフォームOpreX Data Model Brokerを機能強化

「OpreX Data Model Broker」は、AIで使用されるオントロジー技術により、各種システムに散在するデータの相互変換や検証を可能とするデータ交換プラットフォームです。今回リリースを行います設計図面コンバータは、2次元のCAD（2D CAD）で書かれたP&ID（Piping & Instrument Diagram: 配管計装図）を読み込み、コンピュータ処理が可能な国際標準のフォーマットに準拠したP&IDデータや計器リストを自動生成します。これまで手作業で行われていたプラントのエンジニアリング作業の一部を自動化することで、プラントエンジニアリングのDX推進を支援します。

開発の背景
石油や化学などのプラントにおいて、その設計情報の中心にあるP&IDは、プラントの設計・建設段階だけでなく、運用や保守・増改造段階においてもさまざまな場面で使用されます。P&IDはプロセス設計部門によって作成され、計装や配管、機械といった他の部門に提供されて利用されますが、人が見ることを前提に作成された図面として情報交換されることが多く、コンピュータ処理が難しいケースがありました。このような場合、P&IDからのデータ抽出および加工は専門家による手作業で行う必要があり、作業工数や作業品質の面で課題がありました。

当社はこのような課題を解決するため「OpreX Data Model Broker」の新機能として設計図面コンバータを開発しました。設計図面コンバータは、2D CADで作成されたP&IDをパターンマッチングにより高い精度で読み取り、国際標準に準拠したXMLデータに変換するとともに計器リストを自動生成することも可能です。お客様は、これまで手作業で行っていた業務を省力化し、ヒューマンエラーの低減による作業品質の向上や均一化を図ることができ、プラントエンジニアリングにおけるデジタライゼーションを進めることができます。

製品の特長
1. P&IDの情報を解析して、計器リストを自動生成
2D CADで書かれたP&IDを本システムへ読み込ませることで、計器リストの元となるリストを自動生成できます。図面から情報を手作業で抽出してリストを作成する場合と比較し、作業工数を最大で60%削減します。情報の抽出にはパターンマッチング技術を採用しており、解析対象の図面を使用してパターンの作成と調整を行うことができます。検出精度のチューニングを簡単に行うことができるため、関連作業のスムーズな立ち上げが可能です。


設計図面コンバータのスクリーンショット
左: パターン マッチング前の元の P&ID 図　／　右: パターンマッチング後

2. P&IDの国際標準規格に準拠したXML文書を自動生成
読み取った情報をP&IDの国際標準規格 ISO15926に準拠したXML文書形式で出力することが可能です。同じフォーマットをサポートしている他システムやアプリケーションにて利用できますので、プラントの既存資産である設計情報の有効活用が容易になります。

主な市場
石油・ガスの採掘・精製工程やパイプラインなどの輸送工程、石油化学、化学、再生可能エネルギー、電力、紙パルプ、食薬、鉄鉱、鉄鋼、配水、水処理などのプラント

用途
P&IDのDXおよび計器リストの自動生成

OpreXとは
OpreXとは、制御事業の包括的ブランドです。お客様との価値共創を通じて培ってきたYOKOGAWAのテクノロジーとソリューションの卓越性を表し、YOKOGAWAの全ての制御関連製品、サービスとソリューションを包含しています。OpreX Transformation、OpreX Control、OpreX Measurement、OpreX Execution、OpreX Lifecycleの5つのカテゴリーから成り立ち、「OpreX Data Model Broker」はOpreX Transformationの製品・ソリューション群の一つであるOpreX Connected Intelligenceに属しています。OpreX Transformationは、企業活動全体を俯瞰し、生産からサプライチェーン、リスク管理や経営までの領域を含む卓越したオペレーションを実現する包括的ソリューションを意味します。