TRUMPFのレーザー技術が精密電磁部品のワイヤーストリッピングに革命をもたらす
TRUMPFのTruMark 5010レーザーにより、Magnet-Schultz社は電磁部品の絶縁被覆を高精度かつ摩耗なく剥離することができ、医療および航空宇宙用途における生産性の向上を実現しました。
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新生児が人工呼吸を必要とする場合は、そのデリケートな肺に酸素が正確な圧力制御で供給されることが重要になります。つまり、ガス量制御バルブが正確かつ確実に動作しなければなりません。その仕組みは以下の通りです。電磁アクチュエーターが、極めて簡単に言えば金属製のピンが、電磁界に引き付けられて動きます。これによって、バルブが開閉します。電磁アクチュエーターは、電気信号を機械的な動作に変換する必要があるところで、常に使用されています。
ドイツ・メミンゲンに本拠を置き、現在では第4世代が経営の舵を取っている家族経営企業Magnet-Schultzは、1912年から電磁アクチュエーターとセンサーを開発しており、その用途は深海や宇宙など、多岐にわたっています。同社は様々な業界に製品を提供しており、それには自動車、航空宇宙、医療技術、油圧、空圧や電気工学分野などが含まれています。
接触に向けて準備完了
Magnet-Schultz製品の心臓部は銅線コイルです。メミンゲンで、そしてメミンゲンベルクにある旧ドイツ連邦軍駐屯地で、同社が毎年何百万個も製造しているコイルは、例えば油圧または空圧バルブで使用され、オイルの流れや気流を制御しています。そこでは、ワイヤーコイルをクリーニングする、正確に言えばその塗料を除去する必要があるのですが、それはなぜでしょうか?
コイルの銅線には絶縁塗料が塗られています。絶縁されていないと、ワイヤーコイルが一塊の銅のような挙動を示してしまうため、絶縁塗料がなければ、コイルが電磁石として機能することはできません。ですが、絶縁塗料は一箇所では、すなわち接点では邪魔になってしまいます。従って、そこではワイヤーから塗料を除去する必要があります。Magnet-Schultzでプロセスエンジニアとして働いているベルント・プファートラー氏は、「接点では、コイルを電気的に接触させるため、銅線の塗料を除去しています」と説明しています。
刃からレーザへ
当初Magnet-Schultzでは、銅線の周囲を回転する3本のブレードによって塗料を機械的に剥離していました。ただしこの方法では、ブレードの調整が複雑で、時間の経過と共に刃がすり減ってしまうことが問題になっていました。その結果、品質が安定せず、ワイヤーが意図せず細くなってしまうことがありました。「銅線の直径は、0.5から0.6ミリメートルの間で様々です。各ワイヤーによってブレードの調整を変更する必要があったため、手間がかかり、サイクルタイムに悪影響が及んでいました」とプファートラー氏は述べています。「それに、ブレードによって大量の汚れが発生していました。」
そこでMagnet-Schultzのプロセスエンジニアたちは、塗料を剥離する別の方法について考えを巡らせました。そして最終的に、TRUMPFのマーキングレーザに行き当たったのです。このレーザの一部は、20年以上前から工場棟にあり、多種多様なプラスチックと金属にマーキングを施していました。プファートラー氏は、プロジェクトが始まったときのことをこう思い起こしています。「所有しているレーザで最初の試験を行って、銅線の塗料を剥離できるかどうかを観察したのです。」
生産のペースに合った絶縁剥離
これが上手くいったことを受けて、Magnet-SchultzはTRUMPFに相談を持ちかけました。レーザクリーニングは、既存の特別仕様機のいずれかに組み込む計画になっていましたが、このマシンは数工程で、しかも全自動でコイルを下流での加工に向けて準備するため、レーザには同マシンのサイクルタイムに達することが求められました。 TRUMPFは問い合わせを受けた後、何回か試験を行い、TruMark 5000シリーズの中でどのレーザが絶縁剝離に適しているかをテストしました。「クリーニングする必要がある接点の面積は小さく、当社マシンのサイクルタイムはそれほど長くはありません」とプファートラー氏は述べています。
そして最終的に、コンパクトなレーザであるTruMark 5010を選択することになりました。この時まで、Magnet-Schultzではレーザテクノロジーを使用して溶接とマーキングを行っていましたが、今後はコンポーネントの絶縁剝離も行うことになりました。「レーザは生産性を高めているほか、全く摩耗しません」とプファートラー氏は語っています。レーザは塗料を除去しているだけでなく、生産担当者にかかる追加の手間も省いています。
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