快適な室内環境を実現する「ビル向け快適気流制御技術」を開発
三菱電機株式会社は、室内の空気の流れ(気流)や温度分布を予測して快適な室内環境を実現する「ビル向け快適気流制御技術」を開発しました。 気流を可視化し、室内の温度ムラや風あたりの不快感を低減。
近年、ビル用空調市場では、新型コロナウイルスなどの影響により、これまで以上に健康や快適性に配慮した空間へのニーズが高まっています。さらに室内の気流に対する意識も高まり、気流の可視化や所望の室内環境を実現する気流制御が求められています。しかし、気流は部屋の形状や機器の配置などさまざまな条件で変化するため、センサーでの把握が困難で、これまで温度ムラや風あたりなどで不快感が生じるといった課題がありました。
当社はこのたび、気流解析を活用し、室内全体で快適性を実現する気流制御技術と、気流を可視化するソフトウエアを開発しました。部屋の形状や条件に応じて変化する室内の気流・温度分布を気流解析で予測し、最適な吹き出し条件で運転することにより温度ムラや風あたりなどの不快感を低減して、居住者の満足度やビルの付加価値向上に貢献します。また、気流を可視化するソフトウエアは、ビルオーナーや設計事務所に対し、適切な室内環境の実現に向けたソリューション提案に活用します。なお、本開発成果の詳細は、「第55回空気調和・冷凍連合講演会」(於:東京海洋大学 越中島キャンパス、4月20日~4月21日)で、4月21日に発表します。
開発の特長
気流解析で気流や温度分布を予測し、最適な吹き出し条件を見つける気流制御技術
- これまで把握が難しかった机の下やパーティションなどで遮られた空間、隣接する室内機などで発生する複雑な気流と温度分布を、気流解析(CFD※1解析)により予測
- 気流・温度分布を快適性指標とし、室内全体が所望の環境になるように室内機の最適な吹き出し角度や風量などを決定、制御
- 窓からの冷気で足元温度が上がりにくい窓際エリアにおいて、上下温度差(床上0.1mと床上1.7m)が3℃以上となる時間を現行制御の163分から3分に短縮※2
室内モデルを自動構築し、気流・温度分布・換気効果を可視化するソフトウエア
- 壁・床・柱・空調設備情報など建物の設計情報を含むBIM※3データから、部屋の形状や空調設備情報など気流解析に必要な情報のみを取り出し、3次元室内モデルを自動で構築
- 換気の給排気口や什器の配置、個数を自由に変更して気流解析を行い、室内機や給排気口からの気流を室内モデル上でアニメーション表示し、気流・温度分布・換気効果を可視化