Eplan、次のステージは»Thermal Design Integration,熱設計の統合»
ドイツで開催されたオートメーション分野の展示会SPS IPC Drives 2015で、Eplanとフエニック ス・コンタクト社、リタール社は共同で、»Thermal Design Integration (熱設計の統合)»コンセプトをご紹介しています。これは、環境制御システムを用いて、優れたエネルギー効率を持つ制御キャビネットの設計を標準化するという新たな可能性を拓くものです。この仮想エンジニアリング技術の統合により、お客様は環境制御システムを使い、設計ミスを回避し、思わぬダウンタイムや修理依頼の発生を防ぐことができます。これによりコストを抑えながら、プロセス品質も向上させることが可能になります。
図1:制御キャビネット内の熱損失分布を再現。(左)筐体をそのまま表示。(右)熱損失分布を合わせて表示。部品の色が熱負荷密度に対応。例えば、赤色の部品は、優先して冷却すべき部品であるとこを示しています。
SPS IPC Drivesでは、提携パートナーであるEplanとフエニクス・コンタクト社、リタール社から、Thermal Design Integration (熱設計の統合)コンセプトをご紹介しています。これは、製品のデジタル・データ、ソフトウェア・ベースのプロジェクト・プランニング、新たに開発した環境制御ソリューションの3つからなる統合コンセプトです。このThermal Design Integration(熱設計の統合)は、制御キャビネットのエンジニアリングを行うユーザーに、その設計や冷却、トラブル・フリーな運用といった各方面で、強力かつ永続的な向上をお約束します。設計者は、環境制御を考慮したうえで、設計の組立てレイアウトを検証でき、可能な限り優れた環境制御ソリューションをインタラクティブに整えることができます。
Eplan Pro Panelの仮想3D設計プランニングも、対応の特別機能によって拡張され、進化を遂げます。その大きな目標は、機能性や性能限界、どの環境制御システムを組み込むことができるかを設計者へ明確に伝え、その設計者が最も効率的な環境制御ソリューションを、なるべく直感的かつ簡単に開発できるようにすることです。
»ホット・スポット»が生まれないように
設計者は、環境制御機器を最適に配置するため、制御キャビネット内で特に冷却が必要な部品がどこにあるか、その全体像を把握する必要があります。重要なのは、設計初期段階から、いわゆる»ホット・スポット»の発生を防ぐことです。そこで2016年初秋、設置部品をその熱負荷密度に応じて個別に色付けする新機能をEplan Pro Panelに盛り込む予定です。この熱負荷密度は、設置部品のサイズに応じた最大熱損失に基づいて計算されます。
さらに設計者は、キャビネット内全域の熱負荷密度分布に関する情報も得られます。もしその分布に偏りがあれば、部品の取付けレイアウトを狙ったように変更して、この偏りを修正できます。必要なすべての情報は、Eplan Data Portalを通じた部品データとして利用できるようになります。最初のメーカーとしてフエニクス・コンタクト社から、同社の部品をEplan Data Portalへ統合できるよう、最大熱損失や最小スペースをはじめ、もし部品自体に換気機能が備わっていればその流れの方向に関するデータなど、関連部品データが提供されます。
最適な環境制御には、狙いどおりの冷却を
設計者が、理想的でトラブルフリーな空気循環を制御キャビネット内で実現するに、環境制御システムの決定要因となる部品の取付け位置を比較できるよう、ビジュアルな支援ツールが必要です。そこで、リタール社の環境制御ソリューション使用時に、空気循環のために確保しなければならない空間的余裕や、理想的な環境条件となっている領域を、グラフィカルに表示するようにしました。空気循環を阻害するスペースは、部品の取付けには使えません。そのスペースに部品を取り付けると、環境制御機器による必要な冷却空気の送風を大きく妨げてしまうからです。
空気流と熱損失を可視化
最適な環境制御可能範囲は、環境制御機器が出力可能な流量によって確実に冷却できる領域として表示されます。これに応じて、Eplan Pro Panelでは、例えば冷却空気が到達する最大距離や、部品周囲に流れ込む、あるいは周囲から流れ去る空気流の角度など、関連する部品パラメータを可視化します。さらに、環境制御機器からの距離に従って流速が低下することを考慮して、その冷却空気が到達する距離の限界を決めます。
風向板を利用するだけで乱流域を無くし、冷却空気が扉と平行にキャビネットへ流れ込むようにすることもできます。このために必要な環境制御機器ごとのアク セサリは、その領域が最適に環境制御されたかどうかの表示に応じて決まります。将来的には、リタール社のそれぞれの環境制御用部品について、必要なデータ と情報のすべてを製品データの一部として盛り込み、Eplan Data Portalを通じて利用可能にする予 定です。また、Eplan Pro Panel を利用すれば、様々な試験を行った場合の正確な検証ができます。
図2:(左)環境制御機器を扉に取り付ける構造とした場合、最適に環境制御された領域がキャビネットの壁に届いていません。(中央)左側面に取り付けた場合、すべての部品が最適な冷却領域に納まっています。(右)空気循環を妨げるような空間には、障害物がないようにします。
フエニクス・コンタクト社について
フエニクス・コンタクト社は、電気エンジニアリング、エレクトロニクス、オートメーション分野の部品やシステム、ソリューションで世界をリードしています。同族経営による安定した企業として、世界中で14,000名以上の従業員を擁し、2014年には総売上高17.7億ユーロを達成しました。そのフエニクス・コンタクト・グループは、グローバルな10社の企業と50社を超える販売子会社、さらに各国の現地代理店30社からなります。同社の製品には、風力および太陽光発電などのエネルギー供給分野や機械エンジニアリング、制御キャビネット・エンジニアリングに向けた部品やシステム・ソリューションが揃っています。
リタール社について
ドイツ・ヘルボルンに本社を構えるリタール社は、世界トップクラスのシステム・プロバイダとして、筐体や配電システム、環境制御システム、ITインフラ、ソフトウェアおよびサービスを提供しています。リタール社のシステム・ソリューションは、ほとんどすべての産業分野で目にすることができますが、なかでも自動車や発電産業、機械およびプラント・エンジニアリング、さらにITや制御分野で広く採用されています。リタール社も、約10,000名の従業員と58社の子会社によって世界的なビジネスを展開しています。