「800Gbps/1.6Tbps光ファイバー通信用200Gbps pin-PDチップ」サンプル提供開始
光トランシーバーの受信用光デバイスを新開発、データセンター内通信の高速・大容量化に貢献。
800Gbps/1.6Tbps 光ファイバー通信用200Gbps pin-PDチップ(裏面・表面イメージ)
三菱電機株式会社は、次世代の光ファイバー通信速度800Gbps※1や1.6Tbps※2に対応可能な、データセンター向け光トランシーバー※3に搭載される受信用光デバイスの新製品として、「800Gbps/1.6Tbps光ファイバー通信用200Gbps pin-PD※4チップ」のサンプル提供を10月1日に開始します。受信用の光デバイスを初めてラインアップし、既存の送信用光デバイスと合わせ、光トランシーバーの通信容量拡大を実現し、データセンター内通信の高速・大容量化に貢献します。
IoT技術の発展を背景に、ネットワークに接続される端末の増加に加え、高解像度映像ストリーミングや生成AI技術の利用が拡大するなど、データ通信量が飛躍的に増加していることで、ネットワークの高速化や大容量化がこれまで以上に求められています。特に、市場が急拡大しているデータセンターでは、従来の光ファイバー通信速度400Gbpsから次世代の800Gbpsや1.6Tbpsへの移行が進んでおり、生成AI用演算機器のデータ通信経路を切り替えるスイッチを構成する光トランシーバーに高速・大容量通信が求められています。一方、光トランシーバーは、送信用の光デバイスでは次世代の800Gbpsや1.6Tbpsへ対応する製品が市場投入されているのに対して、受信用の光デバイスにおいては、性能を満たす製品が少ないという課題がありました。
当社は、光トランシーバーに搭載される送信用の光デバイスでは「200Gbps(112Gbaud※5 PAM4※6)EML※7チップ※8」を2024年4月より量産していますが、今回新たに、受信用の光デバイス「200Gbps pin-PDチップ」のサンプル提供を開始します。長年の光デバイスの設計・製造により培ったノウハウを活かし、裏面入射型構造※9と凸レンズ集積構造の採用で光電変換領域を可能な限り小さくしたことで、高速動作を実現したPDチップを新開発しました。光トランシーバー内に本チップを4つ搭載することで、1台の光トランシーバーで800Gbps、8つ搭載することで1.6Tbpsの通信が可能となり、データセンター内通信の高速・大容量化に貢献します。また、このPDチップは、凸レンズ集積構造の採用とフリップチップ実装※10に対応することで、光トランシーバーの組み立て作業の効率化や製造コスト削減に寄与します。
※1 Gbps(Giga-bits per second):1秒間に10億個のデジタル符号を伝送する通信速度
※2 Tbps(Tera-bits per second):1秒間に1兆個のデジタル符号を伝送する通信速度
※3 光トランシーバー:電気信号と光信号を相互に変換する電子部品
※4 pin-PD:pin接合を有するフォトダイオード
※5 baud:1秒間の変調回数を表す単位。112Gbaudの場合1秒間に1120億回変調する
※6 PAM4:4-level pulse-amplitude modulationの略。4値パルス振幅変調。従来の「0」と「1」から成る2値のビット列でなく、4値のパルス信号として伝送する方式
※7 Electro-absorption Modulator integrated Laser diode:電界吸収型光変調器を集積した半導体レーザーダイオ-ド
※8 2023年3月2日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2023/0302-b.html
※9 裏面入射型構造:半導体基板のpin接合を形成した側を表面、形成していない基板側を裏面とし、裏面側から光を入射する構造
※10 フリップチップ実装:チップを反転し、表面を下にして別の部品に実装する方法
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