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自動車ガラス高速霜取り向け48Vパルス電力ネットワーク
BetterfrostとVicor Corporationは、電気自動車における自動車用霜取りの課題に対応するため、パルス電力供給と高密度DC-DC変換技術を統合している。
www.vicorpower.com

Betterfrost TechnologyはVicor Corporationとの技術協業により、最新の電気自動車(EV)アーキテクチャに最適化された精密電力電子技術を用いた48Vパルス電力システムを開発・実装した。本ソリューションは、従来方式では効率的な対応が困難であった厳寒環境下での自動車ガラス霜取りを対象としている。
協業の背景
先進的な車両用空調・熱管理システムを開発するBetterfrost Technologyと、電力変換技術を専門とするVicor Corporationは、電動化車両で顕在化している技術課題に対応するため協業した。その課題とは、内燃機関の廃熱を利用できない電気自動車において、フロントガラスを効率的に霜取りする方法である。
従来のHVAC方式では、ガラス全面を加熱するため霜取りに時間がかかり、消費電力も大きい。バッテリー電気自動車(BEV)では、この電力が航続距離に直接影響するため問題が顕在化する。Betterfrostは、1分以内で霜取り可能なコンパクトかつ低電圧の電力アーキテクチャを要件として定義し、Vicorは高電流パルスを精密に供給可能な高密度電力変換モジュールを提供した。
技術ソリューションと役割分担
本システムは、VicorのBCM®固定比バスコンバータモジュールを中核とする48V電力供給ネットワーク上で、Betterfrostの独自パルス電力制御アルゴリズムを動作させる構成となっている。Betterfrostは、ガラス表面に直接短時間の制御されたエネルギーパルスを供給する方式を開発し、氷とガラスの界面結合を弱めることで霜を迅速に除去する。
この方式では、氷全体を加熱するのではなく、界面に薄い準液体層を形成するため、必要エネルギーを大幅に低減できる。Vicorのコンバータモジュールは、400~800Vの車載高電圧を安定した48Vに変換するDC-DCトランスとして機能する。たとえば1/16の変換比を用いることで、800V入力を約50V出力に変換し、同時に高い出力電流を得ることが可能となる。
これらのモジュールは、車載用途に求められる沿面距離・空間距離要件を満たしつつ、従来型DC-DCコンバータと比較して最大90%小型化されており、毎秒数百万アンペア規模の過渡電流応答を実現する。
展開および統合
48Vパルス電力ネットワークは、車両の補助電源システムの一部として実装される。VicorのBCMモジュールはDC-DC変換段として機能し、25%デューティ比、20msパルスで最大約3.1kWのパルス電力を供給する。これにより、氷剥離に必要な急速な熱応答が可能となる。
コンパクトなモジュール構成により、高電圧配電や車両ハーネスの大幅な再設計を必要とせず、既存の電気アーキテクチャへ統合できる。
用途および適用分野
本協業は、寒冷地で使用される電動車両を主な対象としており、特にHVAC効率とバッテリー航続距離の両立が求められる車両プラットフォームを想定している。乗用車、商用EV、プラグインハイブリッド車における、始動時や走行中の迅速なフロントガラス霜取りが主な用途である。
従来方式では約25分を要する霜取りが、本システムでは約60秒未満で完了し、消費エネルギーも約20分の1に低減される。
成果および期待される効果
初期評価では、霜取りに要する時間とエネルギー消費を大幅に削減できることが確認されており、BEVにおける航続距離への影響低減に寄与する。高い電力密度と小型化により、複数の車両プラットフォームへの展開が可能となり、熱管理システム設計の簡素化や車両全体のエネルギー効率向上につながると考えられる。
本技術協業は、モジュール化された電力電子技術と高度な制御アルゴリズムが、車両電動化と空調制御における新たな技術課題を解決できることを示す事例である。
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